『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の興行収入が1億ドルに到達

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(以下、『ブレイブ・ニュー・ワールド』と表記)でマーベル・スタジオはキャストを一新した上でシリーズを「リブート」する方針を明確にしたが、その試みは吉と出ているようだ。
バレンタインから大統領の日(祝日)にまたがる週末に公開された本作の国内興行収入は、金曜日からの4日間で1億ドルを超えることが見込まれ、公開前の予想を大幅に上回っているそうだ。海外での興行収入9240万ドルをここに合わせると、本作は世界全体ですでに合計1億9240万ドルの興行収入を達成する見込みとなる。
評論家達による低評価にもかかわらず『キャプテン・アメリカ』シリーズの最新作は2025年にアメリカ国内で公開された映画の中でも最大の初動興行収入(8840万ドル)を記録している。ただし、観客の評価は必ずしも高評価一色というわけでもない。本作はシネマスコアにおける観客からの評価がB -となっており、これは今までのマーベル・シネマティック・ユニバース作品が受けた中でも最低の評価である。ただもちろん、そのように感じた観客は少数派のようで『ロッテン・トマト』においては8割もの観客が本作を高く評価している。
『ブレイブ・ニュー・ワールド』の予想を上回る成功は、大作映画への需要が高まっていることを示唆する結果となった。 また、『ポストトラック』によれば、この映画を気に入った子供たちや親たちだけでなく、多様な人種に対してアピールしたことも本作の成功要因に挙げられるという。その結果『キャプテン・アメリカ』は家族向け映画となったのである。また、観客の人種構成を見てみると、黒人の比率が23%と基準の指標を上回る形となった。(ちなみに白人が35%、ヒスパニックが23%、アジア系は10%)また性別で見ると観客のうち男性が62%で、女性が48%と、コアなファン層に止まらない幅広い層から本作が支持を受けていることも窺われる。
内容に関していうと、「多次元世界(マルチバース)」などSF的要素を多く盛り込む傾向のあった近年のマーベル作品と比べて本作は「手堅い」ものだ。本作ではかつてクリス・エヴァンスが演じたキャプテン・アメリカをアンソニー・マッキーが引き継ぐ形となったが、マーベルのトップを務めるケヴィン・ファイギも本作を『キャプテン・アメリカ』シリーズの第二作目『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』(2014)と似た「比較的にいって地に足のついたアクション映画」だと表現している通りである。
ジュリアス・オナーが監督を務めた本作にはアメリカ大統領サディアス・ロス役でハリソン・フォードも登場する。映画のあらすじとしては、マッキー演じるサム・ウィルソン(キャプテン・アメリカ)にロス大統領が軍の役職に就任することを打診するが、それをウィルソンが検討する最中にとある国際的な陰謀が発覚し、そこに巻き込まれたウィルソンが突然「レッド・ハルク」に変身してしまったロス大統領との対決などを経て事件を解決して行くというものだ。本作ではダニー・ラミレスもウィルソンの相棒である二代目ファルコンを演じるほか、リブ・タイラーやティム・ブレイク・ネルソンなど豪華キャストも出演する。
『ブレイブ・ニュー・ワールド』は大統領の日の連休に公開されたマーベル作品の中で、4番目に高い初動興行収入を記録した形だ。トップは主要キャストのほぼ全員が黒人だったことでも話題を集めたライアン・クーグラー監督作の『ブラックパンサー』(2018)で2億4220万ドル、そこにライアン・レイノルズが主演を務めた話題作『デッドプール』(2016)の1億5220万ドル、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)の1億2000万ドルが続いている。(金額はインフレ率修正をしていないもの)
ここ数年『マーベルズ』(2023)を始めとするいくつかの作品が興行的に失敗し、方針を再検討せざるを得なかったマーベル・スタジオにとって『ブレイブ・ニュー・ワールド』の成功は紛れもない朗報だ。同社は全世界で13億ドルもの興行収入を記録し、R指定の映画としては史上最大の成功を収めた『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)の成功以来、その勢いを取り戻しつつある中で、『ブレイブ・ニュー・ワールド』もそれに続く成績を収めてほしいと願っていることだろう。
その内容をめぐっては評価が分かれる『ブレイブ・ニュー・ワールド』だが、今後の伸び筋にも注目だ。
※本記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら
【関連記事】
- 『キャプテン・アメリカ』新作、大ヒットの見込み マーベルの希望の星となるか
- 『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』レビュー:アンソニー・マッキーが主演も、凡庸なマーベル作品に足を引っ張られる
- 『キャプテン・アメリカ』新作、大ヒットの見込み マーベルの希望の星となるか
- アンソニー・マッキー、物議を醸したキャプテン・アメリカに関する発言を釈明
- ハリソン・フォード、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の興行失敗について語る