『ガンニバル』人喰い村を描いた物語が、いかにしてディズニープラスで日本最大の実写ヒット作となったのか?

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柳楽優弥主演『ガンニバル』がディズニープラスで大ヒット
子どもを生きたまま食べるという、山間の村に秘められた風習を中心に描いたホラースリラー作品『ガンニバル』は、ディズニーが日本で初めて手がけた大規模な実写ストリーミング作品としては、極めて異例の選択であった。なにしろ、日本は長年にわたり、ディズニーの「家族向け」といったブランドイメージと深く結びついてきた。しかも、本作の1シーズン1およびシーズン2の制作は、スケジュール・予算ともに超過していた。それでもなお、ディズニーのこの大きな賭けは、見事に成果を上げているようだ。
『ガンニバル』は、2025年3月19日にシーズン2がディズニープラスで配信開始されて以降、同配信元における日本国内の視聴ランキングで首位を記録し、わずか9日間で累計100万時間以上視聴という新記録を達成した(アメリカでは、Huluにて独占配信されている)。
※本ページの情報は、2025年4月時点のものです。最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。
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「正直に言うと、このIPを最初に提案されたときには驚きがありました」と語るのは、ディズニー・ジャパンでオリジナルコンテンツ担当エグゼクティブディレクターを務める成田岳だ。「表面的には非常にショッキングな内容で、最初は正直かなり疑問もあったんです。けれど原作を読み始めた途端、ページをめくる手が止まりませんでした」
原作はカルト的人気を誇る同名漫画
本作は、2018~2021年にかけて連載された二宮正明による同名漫画を原作としている。日本国内では一定の知名度を誇る作品ではあるが、『幽☆遊☆白書』や『シティーハンター』のような国民的ヒット作品とは異なり、どちらかといえばカルト的な人気を集めていた。その両作品が、Netflixによって実写化されたことは記憶に新しい。
柳楽優弥演じる主人公・大悟は、都市部から地方の村「供花村」に左遷され、唯一の駐在警官として赴任。妻と幼い娘を連れて新天地へとやってきたが、着任直後に前任の警官が謎の失踪を遂げていたことを知る。村人たちは、大悟一家に対して日によって態度を変え、歓迎の素振りを見せるかと思えば、翌日には都会的な振る舞いを非難し、曖昧な理由で風習を破ったと責める。
やがて、近くの森で一体の死体が発見される(表向きは熊による被害とされている)。この事件を契機に、大悟は供花村で最も力を持つ後藤家と接触。次第に大悟は、後藤家が今なお密かに守り続けている古い迷信、すなわち毎年夏に行われる伝統的な祭りにおいて、幼い子どもを「供物」として喰らうという儀式の存在を知ることになる。
ショッキングな内容の裏にある普遍的なテーマ
『ガンニバル』シーズン1は、大悟が後藤家の異様な信仰と向き合いながら、村全体がこの奇怪な風習にどこまで関与しているのかを突き止めようとする。シーズン2では後藤家における食人の風習がどのようにして生まれ、その風習を存続させるために若き当主・後藤恵介(笠松将)がいかなる犠牲と妥協を強いられてきたのかがより深く掘り下げられている。非常におぞましい前提を持つ作品でありながら、登場人物たちの内面描写はきわめて深く、恵介の置かれた状況を理解させるレベルにまで達している。
「本作に惹かれた最大の理由は、“家族”という普遍的なテーマにありました」と成田は語る。「制作チームの間で本作の本質について話す中で、何度も立ち返ったキーワードが“守る”という言葉でした。家族を守るという意味に加えて、自分の価値観や生き方そのものを守るというテーマも含まれていました。そういった普遍性が、物語の底に確かに存在していたのです」
さらに成田は次のように付け加える。「今は世界中が不安定で、人々が分断や不安を感じている時代です。そうした状況の中で、このテーマは日本国内だけでなく、海外の視聴者にも響くのではないかと考えました」
国内の気鋭の才能が集結、映画レベルのクオリティ
『ガンニバル』のクリエイティブチームは、若い才能たちによって構成されている。脚本を手がけたのは、2022年に『ドライブ・マイ・カー』で濱口竜介監督と共にアカデミー賞脚色賞にノミネートされた大江崇允。メインプロデューサーは、同じく『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞にノミネートされた山本晃久だ。
また監督は、キャリア初期に韓国のポン・ジュノ監督の下で助監督を務めた経歴を持つ新鋭・片山慎三がほぼすべてのエピソードを担当。片山は現在、Netflixが2026年に配信予定の日本最大規模のドラマ企画『ガス人間』の撮影に取り組んでいる。
各シーズンごとの制作費について山本は、通常の日本の実写テレビドラマ1シーズンの約3倍が費やされたと推測している。撮影期間もそれぞれ約6か月と、日本国内の標準的な期間の約2倍に相当する。「テレビではなく、映画の世界で活躍している職人たちや制作スタッフを片山監督の周囲に集めたのは、映画レベルのクオリティを実現したかったからです。これは日本にとって非常に新しいアプローチですね」と山本は語る。
また、作品の約9割以上がロケ撮影によって行われた点も強調している。ロケ地は兵庫県、愛知県、長野県と幅広く、作品にリアリティと奥行きを与えており、たとえ物語に幻想的・非現実的な要素が含まれていても、足元の現実感を損なうことはない。
気になるシーズン3の可能性は…?
片山がシーズン2において最も重視したのは、後藤家との関係が探り合いから暴力的な対決へと変化していく中で、大悟を中心としたアクション性を高めることだったという。
「とにかく“観ていて面白いシーズンにするにはどうすればよいか”を徹底的に考えました。たとえば、銃を使ったアクションシーンも大幅に増やしたし、最終話では高速移動を伴うシーンもあって、かなり難しい技術に挑戦しています」
シーズン2の終盤は、原作漫画の最終話と同じ地点に着地する。制作陣によれば、物語を広げる可能性についての議論はすでに始まっているものの、原作者とディズニーの承諾がない限り、次に進むことはないとしている。
「大悟と恵介の物語は、ここで一つの終わりを迎えます」と脚本を担当した大江は語る。「次の展開について話す際には、いくつかのアイデアや方向性は思い描いていますが、それらはすべて二宮さんと話し合いを重ねた上で判断することになります。彼の協力なくしては、何も前に進めるつもりはありません」
高クオリティの日本コンテンツを世界へ
山本は、近年日本のコンテンツ業界全体に勢いが生まれていることにも言及。アニメの世界的な人気拡大、『ドライブ・マイ・カー』や『ゴジラ-1.0』のアカデミー賞受賞、そしてほぼ日本人キャストで構成された『SHOGUN 将軍』の大ヒットなど、その動きは確かに広がっている。
一方で、日本国内のテレビ業界は、Netflix、ディズニープラス、Amazon Prime Videoといった外資系ストリーミングサービスの参入と投資によって、旧来的な制作モデルが揺さぶられつつある現状への対応を模索している最中である。
「有料ストリーミング作品というのは、日本ではまだ新しい概念です。皆、どのくらいの予算や制作手法がこの新しい時代にふさわしいのかを探っている段階ですね」と山本は説明する。「その問いに対する明確な答えは、まだ誰も持っていません。だから『ガンニバル』では、とにかくクオリティを追求することに全力を注ぎました」
そして、山本は次のように締めくくる。「今は、日本の業界にとって極めて重要な時期です。私たちは、世界に存在を認識されたい――そして、世界の人々が“日本にもこれだけ優れた実写ドラマを作れる力がある”と信頼してくれるようになってほしいです」
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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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