【レビュー】ドラマ『エトワール』:Amazonのバレエ・コメディ、魅力的なスタートもラストで失速

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エミー賞受賞シリーズ『マーベラス・ミセス・メイゼル』や、長年愛されている『ギルモア・ガールズ』を手がけたエイミー・シャーマン=パラディーノ&ダニエル・パラディーノが手がけたAmazonの新作バレエ・コメディドラマ『エトワール』。
かつて18話で打ち切られてしまった『バレエ・ガールズ ~パラダイスへようこそ~』の製作したデュオが、『エトワール』でバレエの世界に再び戻ってきた。全8話からなる本作は、6〜7話までは軽やかで魅力的であり、製作者たちのバレエに対する愛が注がれている。さらに、キャストのルーク・カービーやシャルロット・ゲンズブール、そして英語作品デビューを飾ったフランスの気鋭ルー・ドゥ・ラージュの演技も素晴らしい。
しかし、シャーマン=パラディーノ作品のファンなら馴染みがあるかもしれないが、物語はラストに向けて下降線をたどる展開が続く。『エトワール』の終盤で起こるいくつかの出来事は、あまりにも無意味かつ愚かで、それまでほとんど楽しんでいた作品に対して失望を感じずにはいられないのだ。
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■あらすじ
ニューヨーク・メトロポリタン・バレエ団の芸術監督ジャック(カービー)と、パリ国立バレエ団の暫定芸術監督ジュヌヴィエーヴ(ゲンズブール)がそれぞれ率いる団体は苦戦しており、2人は1年間実験的に団体のメンバーを交換することになる。
過去に恋愛関係があり、現在も互いに惹かれ合うジャックとジュヌヴィエーヴ。ジュヌヴィエーヴはメトロポリタンの風変わりな天才振付師トバイアス(ギデオン・グリック)と、数年前にパリの団体をクビになったフランス人ダンサーのミシ(タイス・ヴィノロ)を獲得する。一方ジャックは、パリのプリンシパルバレリーナ・シャイエン(ドゥ・ラージュ)を指名する。
■バレエへの愛に満ちた作品
『エトワール』はバレエへの愛、その動きと音楽によって盛り上げられている。バレエの専門用語の知識は必要なく、身体への過酷な負担や権力の濫用など、暗い裏側についての鋭い検証を目指しているわけでもない。その代わりに、クリエイターの持ち味である早口なセリフと優雅な演出が組み合わせた、エリート芸術形式に献身する人々を描く職場コメディに仕上がっている。
アメリカ人ダンサーのガエルを演じるデヴィッド・アルバレスを含め、一部のキャストは実際にバレエ経験を持っている。ダンスシーンは全身や舞台全体を捉えたフレーミングが多く、汗が滴るようなクローズアップはほとんどない。すべてが、均整の取れた滑らかな動きで撮影されている。
■キャストは好演も…展開に難あり?
『マーベラス・ミス・メイゼル』でエミー賞を獲得したジャック役のカービーとジュヌヴィエーヴ役のゲンズブールは、相性がピッタリだ。しかし物語はパリとニューヨークで分割されているため、人付き合いが苦手なミシと引きこもりがちなトバイアスを獲得したパリのバレエ団のパートは、ドゥ・ラージュ演じるシャイエンによって生き生きと展開されるニューヨークパートよりもエネルギーが欠けてしまっている。
セザール賞へのノミネート歴を持つドゥ・ラージュは、本作の語り手として機能し、長いモノローグも見事にやり遂げている。シャイエンとバレリーナを目指すスス(ラメイ・チャン)の関係は、本シーズンで最も効果的に感情を揺さぶる。『エトワール』は終盤までにシャイエンを台無しにしているが、ドゥ・ラージュの演技の卓越性には何ら影響はない。
クリスピン(サイモン・キャロウ)やデヴィッド・ヘイグ演じるニコラスなど、コミカルな脇役陣の演技は作品に軽やかさを与えている。ガエル(アルバレス)の扱いは迷走しており、最終話のいくつかのツイストには平凡さが残る。脚本家たちは、短い登場時間で存在感を残すヤニック・トゥルースデールやケリー・ビショップを含む、シャーマン=パラディーノ作品の常連たちから価値を引き出すことにはるかに自信を持っているようだ。
シャーマン=パラディーノ作品のファンとしては、疑問が残るシーズン1のクリフハンガーが彼女のストーリーテリング特有のものであることを知っている。大半は楽しめたシーズンのラストに、これほど失望すべきではないのだろう。
<『エトワール』作品情報>
・配信日:4月24日(Amazon)
・キャスト:ルーク・カービー/シャルロット・ゲンズブール/ルー・ドゥ・ラージュ/ギデオン・グリック/デヴィッド・アルバレスほか
・製作:エイミー・シャーマン=パラディーノ&ダニエル・パラディーノ
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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