『スーパーマン』新作は“移民と善意の物語”──ガン監督の思い

『スーパーマン』写真提供:ワーナー・ブラザース
『スーパーマン』写真提供:ワーナー・ブラザース
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映画監督であり、DCスタジオの共同代表でもあるジェームズ・ガン監督が、彼の新作『スーパーマン』に込めたテーマについて語った。主演はデヴィッド・コレンスウェット(クラーク・ケント/スーパーマン役)であり、ロイス・レイン役にはレイチェル・ブロズナハンが名を連ねている。

ガン監督によれば、この映画は単なるスーパーヒーロー作品ではない。アメリカの今の政治的な空気、とくにトランプ大統領による移民政策などを背景に、より深いテーマが込められているという。

「スーパーマンは、アメリカの物語である」とガン監督は語る。「他の場所から来た移民が国を形づくっていった──その中の1人がスーパーマンだ。だが、私にとってはそれ以上に、“人間の基本的な親切心こそが大切な価値であり、それが今失われている”ということを伝える物語なのだ」

当然のことながら、このテーマは政治的な立場によって異なる受け取られ方をするだろう。しかし、ガンはそれを気にしていない。

「もちろん、受け取り方は人それぞれだろう」と彼は言う。「だが、この作品は“人間の善意”について語っている。だから、世の中には“善意”というだけで気分を害する、心ない人たちもいるだろう。でも、そんな人たちのことなんて気にしない」

ジェームズ・ガン 写真: PHILLIP FARAONE/GETTY IMAGES
ジェームズ・ガン 写真: PHILLIP FARAONE/GETTY IMAGES

ガン監督は続けて、この映画が政治的なテーマを含みつつも、より本質的には「道徳」の話だと語る。

「たとえば、“いかなる理由があっても人を殺してはならない”と信じるスーパーマンと、“状況によってはバランスが必要だ”と考えるロイス。2人の間にある根本的な道徳観の違いが、関係性に緊張をもたらす。それがこの物語の核なのである」

本作では、若き日のクラーク・ケントが自らのクリプトン人としてのルーツと、地球で育った人間としての価値観の間で葛藤する様子が描かれる。舞台となるメトロポリスでクラークは新聞記者として働きながら、スーパーマンとしての役割と向き合っていく。

※クリプトンとは、スーパーマンが誕生した架空の惑星

『スーパーマン』のデヴィッド・コレンスウェット 写真:DC/YouTube
『スーパーマン』のデヴィッド・コレンスウェット 写真:DC/YouTube

「この映画は、まさに“今”という時代にふさわしい」とガンは言う。「人々が他人の善意を信じられなくなっているこのタイミングで、私は“生まれながらにして善良な人物”の物語を描く。それが今、求められていると思う。なぜなら、文化的な影響力を持つ人物たちが、ネット上で他人に冷たくあたるような風潮が広がっているからだ」

そして最後にこう締めくくった。

「私は世界を変えるために映画を撮っているわけではない。だが、この作品を観た後、ほんの少しでも“人に優しくしよう”と思ってくれる人がいれば、それだけでもう十分だ」

ジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』は、7月11日、劇場公開される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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