西島秀俊、日・台・米合作『Dear Stranger』は「ラストは不思議な爽快感がある」
俳優の西島秀俊が主演する日本・台湾・アメリカ合作映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の完成報告会見が5日、東京・丸の内TOEIで行われた。
ニューヨークで暮らす日本人と台湾系アメリカ人の夫婦が、息子の誘拐事件をきっかけにお互いに秘めた真実が浮き彫りになっていく、真利子哲也監督のオリジナル脚本によるサスペンス。西島は妻役の台湾の俳優グイ・ルンメイ、真利子監督とともに登壇し「力強い作品が完成しました」と自信の笑みを浮かべた。
真利子監督は2019年に新進芸術家海外派遣制度で米に留学。「その後コロナが起こって世界が一変し、凄く大事な日常が失われる経験をした。それをきっかけに夫婦の愛を描きたいと思った」と説明。2人のキャスティングについては、「西島さんはボロボロになる役が似合う印象で、言語に頼らず役を生き抜いてくれると思った。ルンメイさんは一映画ファンとして見て、繊細なことができるし強さを持っていると思ったから」と明かした。
全編ニューヨークでのロケを敢行し、セリフは90%以上が英語。西島は、「目の前にいるルンメイさんがナチュラルに感情を出してくれたので、内面に集中することで後から言語がついてくる感覚だった。全てを作品に投げ出す方で、常に丁寧に準備をされている。アジアを代表する素晴らしい女優さん」と“妻”に感謝した。
対するルンメイも、「見た目は落ち着いているけれど、心の中に無尽のエネルギーを持っている。私は毎日そのエネルギーを浴びて、その下で自由自在に演じることができた」と最敬礼。真利子監督は、「2人とも素晴らしい演技でやり切ってくれた。見る人の立場、状況によっていろいろな印象があると思う」と手応え十分の様子だ。
西島は、「映画を作るという共通言語があったから、いろいろな国の人があつまっても皆が同じ感性で同じ方向を向いていた。挑戦しがいがあり豊な時間を過ごせた」と満足げ。そして、「登場人物が生々しく、困難を乗り越えていく映画。ラストシーンには不思議な爽快感があって、見る人によっては希望の光、解決への糸口が感じられるかもしれない」と意味深にアピールした。
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』は、9月12日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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