カンヌ最年少選出の団塚唯我監督、『見はらし世代』日本初披露に「心待ちにしていたから緊張」
今年5月の第78回カンヌ映画祭の監督週間に、日本人として最年少(当時26歳)で選出された団塚唯我監督の長編デビュー作『見はらし世代』のジャパンプレミアが2日、東京・Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下で行われた。
団塚監督は主演の黒崎煌代、遠藤憲一、井川遥、木竜麻生、菊池亜希子、中山慎悟とともに上映前に舞台挨拶。「カンヌでは割と受けが良くてイケイケな感じだったけれど、日本の人に見てもらうのを心待ちにしていたから緊張しています」と初々しさをのぞかせた。
バラバラになった家族の心を再び取り戻そうとする主人公の姿を、東京の街の移り変わりを通して描く物語。団塚監督によるオリジナル脚本で、「23歳で書き始めたけれど知らないことも多かったので、一番長く一緒にいるコミュニティである家族をテーマに企画した。家族に対しての違和感と変わっていく東京への違和感が重なる感じがあって、そこから筆が進んだ」と説明した。
黒崎はカンヌにも参加し、「撮影が今年1月で、カンヌもあったからあっという間の日々。もう公開かと思うと寂しい気持ちもある」と素直な心情を吐露。映画初主演となったが、「家族のストーリーの中で切り取られる主人公なので、主演だから何をしたということはなく、皆に助けられて過ごしていました」と撮影を振り返った。
- 黒崎煌代 ©︎The Hollywood Reporter Japan
- 遠藤憲一 ©︎The Hollywood Reporter Japan
父親役の遠藤は、「こんな若い監督とやったことがないから、初めて会った時、監督と思った人がプロデューサーで一番下っ端と思っていたら監督だった」と苦笑。それでも、「演出が的確すぎて、俺はああしたいこうしたいと言う方だけれど、今回は全部言う通りにやった。ただ、『もう一回』が多くてちょっとだけ時間がかかったかな」と冗談交じりに絶賛した。
母親役の井川も、「衣装合わせの時に遠藤さんと2人でリハーサルをしたら、やる度にそのシーンが思いがけないところにいった。若くして人のことが分かるんだなと思った」と感心。完成した作品については、「映し出される人と話している人が違ったり、切り取り方によってこんなにも見え方が違うのかと驚いた。なるほどと思うところが多々あった」とべた褒めした。
タイトルは脚本の時点では『新しい景色』だったそうで、団塚監督は「硬いなと思って、新しく変わっていくというイメージを世代に託してみようと、たくさん考える余白のあるタイトルにした」と解説。黒崎も、「タイトルの意味は、見た人それぞれの考えが生まれる映画。皆さんの解釈を聞かせてくれたらうれしいです」と観客による考察を期待した。
『見はらし世代』は、10月10日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
【関連記事】
- 【カンヌ国際映画祭2025】日本人監督の過去作品をご紹介!早川千絵監督『PLAN 75』ほか
- 『国宝』実写の日本映画で22年ぶりの興収100億円突破、歴代興収でも3位に
- 映画の原作を今すぐ体験!Kindleで読むべきおすすめ名作コミック&小説特集『国宝』『三体』、注目の新作映画まで
- 【予約必須】『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』デジタル配信開始&DVD・Blu-Ray特典付き予約情報
- 松坂桃李「めちゃくちゃ面白い」、染谷将太「最高に面白い」声優務めた『ひゃくえむ。』を自画自賛