2025年秋の国際映画祭の注目作品15選|ヴェネツィア・トロントほか、批評家のおすすめを一挙紹介

秋の国際映画祭の注目作品15選 写真:Courtesy of TIFF; Eros Hoagland/Netflix; Agata Grzybowska/FOCUS FEATURES
秋の国際映画祭の注目作品15選 写真:Courtesy of TIFF; Eros Hoagland/Netflix; Agata Grzybowska/FOCUS FEATURES
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2025年の秋の映画祭シーズンで話題となった作品を、米『ハリウッド・リポーター』(THR)の批評家たちが厳選。ヴェネツィア国際映画祭テルライド映画祭トロント国際映画祭で上映された話題作の中から、特に注目すべき15作品を紹介する。

1. 『Below the Clouds(英題)』

『Below the Clouds(英題)』より 写真:Venice Film Festival
『Below the Clouds(英題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

ドキュメンタリー監督ジャンフランコ・ロージが故郷イタリアに戻り、ヴェスヴィオ山麓の現在と過去を見事な映像で捉えた作品。ポンペイ遺跡から地下トンネル、ナポリ湾まで、災害の瀬戸際にある地域のさまざまな現実を描き出している。

2. 『Cover-Up(原題)』

『Cover-Up(原題)』より 写真:The New York Times/Redux
『Cover-Up(原題)』より 写真:The New York Times/Redux

上映映画祭:ヴェネツィア、テルライド、トロント

88歳の著名な調査報道記者シーモア・ハーシュに焦点を当てたドキュメンタリー。CIA国内スパイ活動からウォーターゲート、イラク戦争まで、ハーシュの主な暴露事件を過去と現在を交錯させながら描く。サスペンス満点の音楽も印象的。

3. 『The Currents(英題)』

『The Currents(英題)』より 写真:Courtesy of TIFF
『The Currents(英題)』より 写真:Courtesy of TIFF

上映映画祭:トロント

スイス・アルゼンチンにルーツを持つ監督、ミラグロス・ムメンターラーによる心理サスペンス。ブエノスアイレスのファッションデザイナーの内面世界を、大胆な色彩と没入感のあるサウンドで表現した心奪われる作品だ。

4. 『Father Mother Sister Brother(原題)』

『Father Mother Sister Brother(原題)』より 写真:Vague Notion/Yorick Le Saux
『Father Mother Sister Brother(原題)』より 写真:Vague Notion/Yorick Le Saux

上映映画祭:ヴェネツィア

ジム・ジャームッシュ監督によるヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。アメリカ北東部、ダブリン、パリを舞台にした3部作で、家族関係の不確かさを繊細に描く。アダム・ドライバーケイト・ブランシェットトム・ウェイツら豪華キャストが出演。

5. 『フランケンシュタイン』

『フランケンシュタイン』より 写真:Ken Woroner/Netflix
『フランケンシュタイン』より 写真:Ken Woroner/Netflix

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

ギレルモ・デル・トロがメアリー・シェリーの古典小説を映画化。オスカー・アイザックが苦悩する科学者を、ジェイコブ・エロルディが怪物を演じる。圧倒的な映像美で観客を魅了し、同時に心を揺さぶる感動的なストーリーを兼ね備えた傑作だ。

6. 『La Grazia(原題)』

『La Grazia(原題)』より 写真:Venice Film Festival
『La Grazia(原題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア、テルライド

パオロ・ソレンティーノ監督による政治ドラマ。架空のイタリア大統領の最期を描き、名優トニ・セルヴィッロがヴェネツィア国際映画祭最優秀男優賞を受賞。汚職やスキャンダルとは無縁の理想的リーダー像を提示している。

7. 『ハムネット』

『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska/Focus Features
『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska/Focus Features

上映映画祭:テルライド、トロント

クロエ・ジャオ監督がマギー・オファーレルのベストセラー小説『ハムネット』を基に、シェイクスピア夫妻の恋愛、結婚、悲劇を描く。ポール・メスカルジェシー・バックリーの演技が光る、涙腺崩壊必至の1作となっている。

8. 『ハウス・オブ・ダイナマイト』

レベッカ・ファーガソン、『ハウス・オブ・ダイナマイト』より 写真:Eros Hoagland/Netflix
『ハウス・オブ・ダイナマイト』より 写真:Eros Hoagland/Netflix

上映映画祭:ヴェネツィア

キャスリン・ビグロー監督が放つ緊迫感溢れるスリラー。アメリカ主要都市へのミサイル攻撃に対するホワイトハウスの対応を描く。イドリス・エルバレベッカ・ファーガソンらが出演する圧倒的な政治サスペンスだ。

9.『Landmarks(原題)』

『Landmarks(原題)』より 写真:Venice Film Festival
『Landmarks(原題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

ルクレシア・マルテル監督初のドキュメンタリー長編。アルゼンチン北西部で起きた先住民リーダー殺害事件を扱い、土地問題と民族文化の危機を鳥瞰的映像で捉えた社会派作品。視覚的な美しさも兼ね備えている。

10. 『The Last Viking(英題)』

『The Last Viking(英題)』より 写真:Venice Film Festival
『The Last Viking(英題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

マッツ・ミケルセン主演のブラックコメディ。自分をジョン・レノンだと信じる男を描いた不条理な強盗劇。アナス・トマス・イェンセン監督が暴力とユーモアを巧妙に織り交ぜ、最終的に感動的な家族の物語へと昇華させる。

11. 『Maddie’s Secret(原題)』

『Maddie's Secret(原題)』より 写真:Courtesy of TIFF
『Maddie’s Secret(原題)』より 写真:Courtesy of TIFF

上映映画祭:トロント

ジョン・アーリーの監督デビュー作。摂食障害を隠す女性シェフの物語を、コメディとメロドラマの境界を越えて描く。80〜90年代のテレビ映画オマージュを含む独創的な脚本で、まったく新しい映画体験を提供する。

12. 『On the Road(英題)』

『On the Road(英題)』より 写真:Venice Film Festival
『On the Road(英題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア

ダビッド・パブロス監督によるメキシコ映画。暴力的な設定ながら、暗闇の中で出会ったふたりの男性の深いロマンスを描く。ディエゴ・ルナがプロデューサーを務める、予想を裏切る優しさに満ちた愛の物語だ。

13. 『Remake(原題)』

『Remake(原題)』より 写真:Venice Film Festival
『Remake(原題)』より 写真:Venice Film Festival

上映映画祭:ヴェネツィア

78歳のロス・マケルウィー監督による自伝的ドキュメンタリー。息子の薬物依存による死と、自身の過去作の映画化計画を並行して描く。人生をやり直すことの不可能さというテーマを、深遠かつ鋭い視点で探求した作品。

14. 『The Tale of Silyan(英題)』

『The Tale of Silyan(英題)』より 写真:Ciconia Film
『The Tale of Silyan(英題)』より 写真:Ciconia Film

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

『ハニーランド 永遠の谷』のタマラ・コテフスカ監督第3作。北マケドニアの村で農民と白コウノトリが共存する様子を描いたドキュメンタリー。自然映画、寓話、経済ドキュメンタリーの要素をあわせ持つ魅力的な人間と鳥類の絆の物語。

15. 『The Voice of Hind Rajab(英題)』

『The Voice of Hind Rajab(英題)』より 写真:Mime Films, Tanit Films
『The Voice of Hind Rajab(英題)』より 写真:Mime Films, Tanit Films

上映映画祭:ヴェネツィア、トロント

カウテール・ベン・ハニア監督による衝撃のドキュメンタリードラマ。2024年1月29日、ガザで戦車に包囲された6歳少女の実際の音声記録を使用し、パレスチナ赤新月社の救助活動を緊迫感溢れる映像で再現した心を揺さぶる作品。

 ※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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