ガザ襲撃と家族救出を描くドキュメンタリー映画が北米公開へ

物議を醸してきたドキュメンタリー映画『The Road Between Us: The Ultimate Rescue(邦題未定)』の波乱に満ちた歩みは、第50回トロント国際映画祭で新たな展開を迎えた。現地時間9月14日(日)に同作が観客賞(ドキュメンタリー部門)を受賞したのである。
作品の概要と題材
本作を手がけたのは監督バリー・アヴリッチ。物語は、2023年10月7日、ガザ近郊のキブツで息子一家を救うために命がけのドライブを敢行したテルアビブ在住の退役将軍を追うドキュメンタリーである。
授賞式での喜びの言葉
「この賞をマークとともに受け取れることは本当に胸が躍る思いだ。観客の皆さんに選んでいただき、心から感謝している。そして、この先の旅路を楽しみにしている」と、アヴリッチ監督はプロデューサーのマーク・セルビーとともに授賞式の会場であるライトボックス劇場で語った。
実話に基づく物語
カナダ製作の本作は、イスラエルの退役将軍ノアム・ティボンが、ハマスに襲撃されたナハル・オズのキブツ(集団農場)で、息子一家を救出する実話を描いたものである。
ワールドプレミアでの反響と混乱
『The Road Between Us: The Ultimate Rescue』はトロント国際映画祭(TIFF)のワールドプレミアで大きな話題を呼んだ。開幕前からプログラム選定をめぐり議論を呼び、現地時間9月10日にロイ・トムソン・ホールで行われたワールドプレミア上映では観客から喝采を浴びた。しかし同時に、イスラエル・パレスチナ紛争の渦中にある両陣営の支持者が会場前で抗議活動を展開し、緊張感に包まれる一幕もあったのである。
当初、TIFFは本作を2025年の上映作品として招待したが、その後、招待の取り消しを決定。しかしカナダのユダヤ人コミュニティやイスラエルの政治家・インフルエンサーらの反発を受け、再び上映が決定するという紆余曲折をたどった。最終的には、監督バリー・アヴリッチとTIFFのCEOキャメロン・ベイリーが「安全面、法的問題、プログラム編成上の懸念」をめぐって合意に達し、第50回となる映画祭でのワールドプレミア開催が実現したのである。
安全面での懸念と抗議の可能性
映画祭側は早い段階で、本作に使用されている映像の一部、ハマス側のカメラで撮影されたテロ攻撃の映像について、著作権や利用許諾の問題が未解決であると警告を発していた。また、2023年10月7日のイスラエル南部への襲撃を題材とする本作に対し抗議活動が発生する可能性も、安全面での大きな懸念材料となっていたのである。
『The Road Between Us: The Ultimate Rescue』は、10月3日より北米の20都市以上で約125館にて、主に自主配給で公開される予定である。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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