ビル・マーがジミー・キンメル擁護、ABC番組無期限停止に「私も同じ経験をした」|言論の自由めぐる論争が拡大

米HBOの人気トーク番組『リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー』の司会者ビル・マーが、ABCが『ジミー・キンメル・ライブ!』の放送を無期限で中止した件についてコメントした。マーは過去に同局で自身の番組が打ち切られた経験を持ち、その立場からジミー・キンメルを擁護している。
「私も同じ経験をした」
番組冒頭、マーはモノローグで次のように語った。
「みんな聞いただろう。私の友人ジミー・キンメルが、チャーリー・カークに関する発言でABCから降板させられた」
さらに、連邦通信委員会(FCC)の委員長が「ABCの放送免許を取り消す」と発言した件を引き合いに出し、「FCCなんか怖くない」と言い放った。
マー自身も2001年、ABCで放送されていた『ポリティカリー・インコレクト(Politically Incorrect)』での発言が大きな批判を呼び、シーズン終了後に打ち切りとなった。2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件直後であった当時「ハイジャック犯は臆病者ではない」と語ったことが問題視された。
「私は“キャンセル・カルチャー”という言葉ができる前にキャンセルされた」と苦笑しつつ、「ABCは“Always Be Caving(常に屈する)”の略だ」と同局を皮肉った。
キンメルへのエール
マーはキンメルに向けて次のように呼びかけた。
「ジミー、私は君を支持する。20年以上も素晴らしい番組を作ってきたじゃないか。誇りに思うべきだよ。私の時と同じように事が進めば、もっと良い局でまた長く続けられるはずだ」
広がる波紋
今回の中断は、キンメルが番組内で保守派活動家チャーリー・カークが殺害された事件について発言したことがきっかけである。連邦通信委員会(FCC)委員長のブレンダン・カーが強く反発し、ABCに対して措置を取ると脅したことから事態が拡大。ABCは番組を急きょ中断する判断を下した。
関係者によれば、キンメルは本来その日の放送で自身の発言について説明する予定だったが、番組が無期限休止になったため実現しなかったという。謝罪する意向はなかったとされる。
一方、スティーヴン・コルベアやジミー・ファロン、セス・マイヤーズら他局の司会者たちは一斉にABCの決定を批判。さらに、伝説的司会者のデイヴィッド・レターマンも「恐怖や権力への迎合で司会者を解雇するのは間違いだ」と厳しく指摘した。
言論の自由をめぐる皮肉
マーは番組内で、チャーリー・カーク自身の過去のSNS投稿を引用。
「カークは『アメリカには“ヘイトスピーチ”という概念は存在しない。どんな醜い発言も憲法修正第1条で守られている』と書いていた。ならば彼の言葉を尊重するべきだ」と皮肉を込めて語った。
さらに「キンメルの発言に同意するわけではないが、それによって職を失うべきではない」と強調した。
ABCのニュースや社会問題、エンタメなどを語り合うパネルディスカッション番組『ザ・ビュー(The View)』の出演者に対しても「強く発言してほしい」と呼びかけた。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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