ジミー・キンメル、番組復帰で反米的圧力に反撃|支持者に感謝の涙

保守派活動家チャーリー・カークの殺害をめぐる発言で、9月17日から一時放送中止となっていたABCの人気深夜番組『ジミー・キンメル・ライブ!』が9月23日(現地時間)再開した。ジミー・キンメルがステージに登場すると、観客からは「ジミー!ジミー!」と大歓声が数分間続いた。
番組冒頭で、キンメルは自分を支持した人々に深く感謝を述べる一方、番組打ち切りを求めた声に対しては痛烈に批判。また、殺害事件についての自身の発言が誤解を招いたことに対し、涙を浮かべながら説明した。
「若い男性が殺害されたことを軽く扱うつもりは一切なかった。冗談にすることなどできない」と語ったキンメルは、特定の集団(トランプ支持者層)を責める意図もなかったと強調。「もし立場が逆なら、自分も怒りを感じたはず」と理解を示した。
しかし、番組は全米で一律に放送されたわけではない。全米の約4分の1の世帯をカバーする放送局グループ、ABC系列放送局のネクスター・メディア・グループやシンクレア・ブロードキャスト・グループは今も放送を中止している。視聴者はHuluやYouTubeで翌日以降に視聴可能となる。
キンメルの発言に対しては、連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員がABC系列局の放送免許停止を示唆するなど、政治的圧力も加わった。これに対し、俳優や映画監督、ミュージシャンら約400人がアメリカ自由人権協会(ACLU)の公開書簡に署名し、「表現の自由を侵害するもの」として抗議。元ディズニーCEOマイケル・アイズナーや業界団体、さらには共和党のランド・ポール、テッド・クルーズ両上院議員もFCCの介入に反対を表明した。
復帰したキンメルは「(スティーヴン・)コルベアを番組から引きずり下ろしたのに続き、今度は私を狙っている。これは合法でもなければ、アメリカ的でもない。まさに“反米的”行為だ」と批判。トランプ大統領が深夜番組の司会者を次々と攻撃していることにも言及し、「何百人ものスタッフの仕事を奪おうとしている」と怒りをあらわにした。
さらに、チャーリー・カークの妻エリカが夫の殺害犯を赦したことに触れ、「あれこそが私たちが見習うべき姿だ」と涙ながらに語った。
番組ではロバート・デ・ニーロがFCCの新長官役で登場するコントも披露された。ゲストには俳優グレン・パウエルと歌手サラ・マクラクランが出演。マクラクランは音楽イベントの出演をキャンセルし「表現の自由を支持するため」に出演を選んだと表明した。
一方、トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」で「ABCフェイクニュースはジミー・キンメルを復帰させた。これは違法な選挙資金供与だ」と激しく批判。自身がかつてABCを相手取った訴訟で和解金1,500万ドルを得たことにも触れ、再び争う姿勢を見せた。
ABCは放送直後から番組冒頭部分をYouTubeに公開し、ネクスターやシンクレア系列の視聴者も視聴可能となった。動画は1時間あまりで100万回再生を突破している。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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