『私たちの青い夏』シーズン3完結記念!原作者ジェニー・ハンが語る、ラストに込めた想いとは「作家としてのDNAの一部」

Amazonプライムビデオで独占配信中の大ヒット青春ドラマ『私たちの青い夏』が、ついに最終シーズンを迎えた。原作・脚本・プロデュースを手がけるジェニー・ハンが3シーズンにわたり紡いできた物語は、今なお世界中の視聴者を夢中にさせている。
『好きだった君へのラブレター』3部作で知られるジェニー・ハンは、常に「希望に満ちた結末」を大切にしてきた。ドラマ完結の直後には映画化も発表され、熱狂はさらに拡大中だ。米『ハリウッド・リポーター』はそんなハンに、若い世代に物語を届ける使命感やシリーズのラストに込めた想いを直撃した。
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▼多様化する視聴者層について
――『私たちの青い夏』の視聴者層について、どのくらい把握されていますか?本作はヤングアダルト世代向けですが、30〜40代のファンも多いですよね。
ミレニアル世代とZ世代、そしてそれよりも若い世代が半分ずつだと聞いています。体感としては、視聴者は非常に多様ですね。そして、シーズン3でリーチ(届く範囲)がかなり広がり、視聴者層もずっと大きくなりました。私の「おすすめ」ページを見ていると、大学生の女性が出てきたかと思えば、50歳の男性が出てきたりします。いろいろな方が、興味をそそられたのだと思います。
――視聴者層が世代間で分かれていると知って、作品へのアプローチは変わりますか?
私にとって、ヤングアダルト向けの物語と大人向けの物語の唯一の違いは、「希望に満ちた結末」かどうかです。若い人たちのために物語を語る大人として、彼らを傷つけたり、絶望的な場所に置き去りにしたりしないという、ある種の責任感を抱いているです。
大人向けに書く場合は、誰もが大人ですから、結末で悲しくなったり落ち込んだりしても、自分で対処できます。しかし、若い人たちはまだ成長過程にあります。希望に満ちた結末というのは、作家としての私のDNAの一部なのです。
――あなたにとって、「希望に満ちた結末」とはどのような意味ですか?
いろいろな意味があります。『ハンガー・ゲーム』の結末は少し暗いですが、それでも希望に満ちています。彼らは生き残るものの、戦争によって永久に傷つき、ダメージを受け、トラウマを抱えています。それは現実的ですよね。ですから、「希望に満ちている」というのは、すべてが完璧に解決するということではありません。かといって、憂鬱で破壊的な結末ということでもありません(笑)。
▼原作からの変更と徹底した秘密保持
――原作と異なる部分も多いと聞きます。Amazonや脚本チームとどの程度議論しましたか?
原作から残したいことに関しては、私の中で譲れない部分がいくつかありました。しかし、制作過程全体を通じて、常にオープンな姿勢で臨んできました。私は「観客は何を見る必要があるだろうか?」と自問自答します。第8話(全11話)はある意味、原作が終わったところです。2つの家族の間で、結婚式が破談になった後、どうなるのかは描かれていませんでした。
ベリー(演:ローラ・タン)がパリへ行き、その間に成長し、自立し、自分自身を試す姿。これらはぜひ入れたいと思っていました。あとは、どうやってそれを語るかという問題でしたが、物語の形は常にわかっていました。
――最終回は『ゲーム・オブ・スローンズ』級に秘密保持が徹底されていたようですね。
私は観客の体験を非常に大切にしています。ネタバレや情報漏洩は好きではありません。人々には、意図されたとおりに物語を受け取って、ハラハラドキドキを楽しんでほしいのです。観客よりも先に、誰かが内容を知ってしまうのは避けたかったのです。
Amazonは、それを実現するために非常に協力的でした。『ロード・オブ・ザ・リング』と同じレベルの最高峰のセキュリティを現場で採用しました。紙の台本はなく、全員が台本をもらえたわけではありませんでした。観客に「何が起こるかわからない」と思わせるには、危険な要素が必要なのです。
▼ソーシャルメディアとの向き合い方
――『私たちの青い夏』シーズン3に対する視聴者からのネガティブなコメントに直接返信されていましたね。
それはめったにないことですよ!(笑)。でも、いくつか返信したのはちょうど私の誕生日の頃だったので、気が立っていたのかもしれません。
――まだ有名になってまもない若手キャストたちに対し、厳しい批判にどう対処するように働きかけていますか?
『好きだった君へのラブレター』が配信された時のことを経験しているので、そのことについてはたくさん話し合いました。ラナ・コンドル(『好きだった君へのラブレター』の主演)と私は、たくさんコミュニケーションを取りました。大人である私にとっても、とても大変なことでしたから。
私は作家で、アメリカ人が1年間に読む本は平均1.7冊だと言われています。読者との関係は、もっと個人的なものに慣れていました。ソーシャルメディアもずっと小規模でした。今は、反応を気にせずに、物語を語ること自体を楽しめるような、ドアを閉めた状態で執筆したいという気持ちとの間で葛藤があります。
▼視聴者の心理とキャラクターの選択
――コンラッド派とジェレマイア派、ファンの心理に共通点はありますか?
年上のきょうだいは、コンラッド(演:クリストファー・ブライニー)に共感する人が多いことに気づきました。そして、私の妹は長い間チーム・ジェレマイア(演:ギャヴィン・カサレーニョ)でした。生まれた順番は、間違いなくこの2つの陣営の間で見られる特徴です。
男性視聴者は完全に分かれていますが、どちらのチームにしても…彼らは本当に熱心な支持者ですね。でも、シーズン3はジェレマイアにとって厳しかったですよね。チーム・ジェレマイアは、本当に彼に寄り添ってくれています。
――ジェレマイアにとって「厳しい」とはどういう意味ですか?
どの登場人物も、それぞれのタイミングで苦境に立たされ、人々が好まないことをしなければなりませんでした。観客は動揺するでしょう。コンラッドも、シーズン1と2でそのような瞬間がたくさんありましたし、ベリーもそうでした。今回は、ジェレマイアが失敗し、人間らしいけれど視聴者にとって難しいことをする番なのです。
▼監督としての新たな挑戦と今後
――シーズン3では、初めて監督を務められましたね。コンラッドに焦点を当てたのは意図的でしたか?
コンラッドの視点のエピソードを撮ることは、決まっていました。シーズン2でジェレマイアの回を撮ったので、シーズン3ではコンラッドに時間を与えるつもりでした。彼は非常に内向的なキャラクターなので、私が担当したいと思いました。
このエピソードはコンラッドが何シーズンにもわたって本音をさらけ出し、自分自身の一部を見せてきた、本当の道のりを垣間見る瞬間だったからです。
――以前、「またこのシリーズに戻ってきたい」と前向きな姿勢を見せていらっしゃいました。今も同じお考えですか?
はい、もしそのアイデアが心から楽しみに思えるなら、ぜひやりたいです。私はこのシリーズの世界観が大好きですし、出演者やスタッフも大好きです。だから、すべては「本当に良いと思える物語」が見つかるかどうか、そして、その物語を最優先にできるかどうかにかかっています。
▼視聴者へのメッセージ
――『私たちの青い夏』の結末から、視聴者にどんなことを受け取ってほしいですか?
間違いを犯すことはあるけれど、常に前に進む道があるという気持ちを持ってほしいです。たとえ何かが壊れても、時間と努力があれば、修復できないわけではないのです。ベリーの旅は、自分が下した決断に対して恥ずかしさを捨て、自分自身を許せるようになるためのものです。自分に優しくあってほしいですね。
――――ドラマは本当に終わりですか?
シーズン3が、本シリーズの最終シーズンです。それは事実です。(追記:シーズン3の最終回が配信された数時間後、Amazonプライムビデオは、『私たちの青い夏』の完結編となる長編映画の制作を発表した。)
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ドラマシリーズ『私たちの青い夏』シーズン1~3は、Amazonプライムビデオにて独占配信中。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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