『ピースメイカー』シーズン2をジェームズ・ガンが語る|世界観誕生のきっかけ、『スーパーマン』新作との関係、DCUの今後まで
※この記事には『ピースメイカー』シーズン2第6話「知らぬが仏」までのネタバレが含まれています。
映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)に登場するピースメイカー(演:ジョン・シナ)を描くDCUのドラマ『ピースメイカー』が、8月末からついに配信開始した。
シーズン2では、「ピースメイカー」ことクリストファー・スミスが、量子展開室(QUC)を通じて異次元「アース2」に辿り着く。アース2の中の父親オギー(演:ロバート・パトリック)は思いやりがあり、事故死したはずの兄キース(演:デヴィッド・デンマン)は健在で、エミリア・ハーコート(演:ジェニファー・ホランド)との間には愛が生まれている。そこは、スミスが求めていた全てのものが存在する理想的な世界だった。
シーズン2第5話『裂け目に戻れ』までの時点で、スミスはこの世界に永住することを決めていた。しかし、アース2は「サンダウン・タウン」、つまり有色人種を排除した世界だったことが判明する。この世界ではドイツが第二次世界大戦で勝利し、実際の世界と異なる歴史を辿っていたのだ。
米『ハリウッド・リポーター』は製作者のジェームズ・ガンにインタビューを行い、『ピースメイカー』シーズン2のストーリーの真意、レックス・ルーサー役のニコラス・ホルトの復帰、DCスタジオの今後の動向などを聞いた。
『ピースメイカー』の驚くべき世界観が生まれた経緯
――「アース2は第二次世界大戦でナチス・ドイツが勝利した世界」という設定はどのように生まれたのですか?
この設定は、クリストファーが自分の置かれた状況を受け入れられず、現実逃避したいという個人的な理由から生まれました。これを政治的な視点ではなく、個人的な視点から見た時、私たちは現在の状況から逃げ出したくなります。自分が今置かれた状況を受け入れられないことが、あらゆる問題の根源なのです。
クリストファーは、現実とはかけ離れた異次元へ移ることによって、物理的に逃避します。彼は自分に課された試練を受け入れない代わりに欲しかったものを全て手に入れ、元の世界で抱いていた違和感を解消するのです。しかし最終的には、最初よりさらに状況が悪化してしまいます。個人的な観点から見たものが、偶然、私たちの世界における政治的な問題と重なるのです。
――有色人種が排除された世界で(黒人俳優の)ダニエル・ブルックスがレオタ・アデバヨ役を演じるプレッシャーは、他のメンバーよりもはるかに重いでしょう。この設定について彼女とは何を話しましたか?
この脚本を書いた時、ダニエルに最初に送って意見を聞いたんです。彼女は本当に気に入ってくれました。今回のように、観客の感情に関わることは自分自身で確認しないといけません。その最初の窓口がダニエルだったんです。
――レックス・ルーサーもベル・レーヴ刑務所で再登場します。リック・フラッグ・シニア(演:フランク・グリロ)が贖罪を申し出たことは、『スーパーマン』の続編『Man of Tomorrow(原題)』に直接繋がるのでしょうか?
そうですね、重要なのはフラッグとルーサーの関係だと思いますし、これは『Man of Tomorrow』にも間違いなく繋がっています。彼らの関係の動向は、今後のDCUの一部となるでしょう。
――刑務所での1~2ヶ月の生活を経て、レックスは変わったようですね。ニコラスにダークでエッジの効いた演技をするよう指示しましたか?
いいえ。終身刑を課されるというストーリーから、彼は自然によりダークな演技をしたんです。『ピースメイカー』のセリフは『スーパーマン』よりも自然で、あまり誇張されていません。その点も、自然によりダークな演技へシフトした理由の一つです。
――『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』ではバットマンに言及し、『ピースメイカー』ではスパイダーマンに言及しています。マーベルやソニー・ピクチャーズに正式な依頼をしましたか?
いや、どちらの場合も正式な相談はしませんでした。でも、彼らとは話をしているし、皆仲良くやっています。
DCスタジオ責任者として――マーベルとの関係、DCU作品の今後
――「DCスタジオ責任者」という役割は、ガンさんにどんな影響を与えていますか?マーベルでのこれまでの経験を改めて振り返るような瞬間はありましたか?マーベルの社長ケヴィン・ファイギ氏が置かれた状況や決断の理由について、どう考えていますか?
私はケヴィンの思慮深さを知っていますし、彼と話したり、彼が考え事をしている姿を見たりして、インスピレーションを受けています。私自身も監督や脚本家の役割を務めることが多いので、今はケヴィンのことをより理解できましたし、彼から多くのことを学びました。彼と仕事をする上で、問題が起きたことは一度もありません。(マーベル・スタジオ共同社長の)ルイス(・デスポジート)も同じです。本当に良いパートナーシップでした。
彼に対して文句があったとすれば、それは物事を曖昧なまま進めることについてです。例えば、彼らがどこに向かっているのか、物事がどう繋がっているのか、キャラクターたちをどう扱うのか、などですね。物事は常に変化していきますから、その点では彼に対して少し同情の気持ちがあるかもしれません。難しい問題です。
――『ピースメイカー』シーズン1では、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でリック・フラッグ・ジュニア(演:ジョエル・キナマン)を殺したことを後悔しているクリストファーが贖罪を果たします。しかし、ハーレイ・クイン(演:マーゴット・ロビー)やブラッドスポート(演:イドリス・エルバ)、ラットキャッチャー2(演:ダニエラ・メルシオール)から見れば、彼はまだ贖罪が済んでいません。彼らはクリスがコルト・マルテーゼの任務で生き延びたことすら知らないかもしれません。再び彼らの対決を描く予定はありますか?
いいえ。(あの対決を再び描くことを)私は望んでいません。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』についてよく聞かれますが、あの作品はDCUではないので難しいんです。『ピースメイカー』シーズン1はほぼ全編が完全にDCUですが、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は答えよりも多くの疑問を投げかけます。
今後、これらのキャラクターが再登場しないとは言えません。ただ、リック・フラッグ・ジュニアを殺したことに対するクリストファーの贖罪は、リック・フラッグ・シニアとの関係を通してすでに描きました。今後、ブラッドスポートらを通してクリストファーの贖罪を描いても、どこか物足りないストーリーになるでしょう。だから私は興味がないんです。
――ガンさんが司会を務める「ピースメイカー オフィシャルポッドキャスト with ジェームズ・ガン」で、テイラー・シェリダン製作のドラマ『1923』を観ていると発言されました。これは新バットマン役のチェックを兼ねていたのでしょうか?
(※同ドラマに出演しているブランドン・スクレナーを新しいバットマン役候補としてチェックしているのではないか?という憶測がファンの間で飛び交った。スクレナーは“ダークナイト”(バットマン)を演じたいという意欲を、米『ハリウッド・リポーター』の最近のインタビューで語っている)
『1923』を観ていたことは確かです。しかし、それはシェリダンのファンだからであり、バットマン役を探すこととは関係ありません。
とはいえ、テレビドラマを観る時は、いつも登場人物をよく観察して俳優をチェックしています。『1923』では、ジュリア・シュレプファーが特に上手くてすばらしかったです。最近、あるプロジェクトに彼女を推薦しました。もちろん、ブランドンもすばらしい俳優だと思いますよ。
『ピースメイカー』シーズン2は全8話を予定しており、U-NEXTでは現在6話まで独占配信中。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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