【第38回東京映画祭】クロエ・ジャオ『ハムネット』クロージング、オープニング&コンペティション全作品紹介

東京国際映画祭は、2025年10月27日から11月5日まで開催される第38回東京国際映画祭のラインナップを発表した。コンペティション部門には、アジアの名匠から国際的なアート系作家、注目の新人まで、多彩な作品が揃う。
マレーシア系中国人監督チョン・キット・アンの『母なる大地(英題:Mother Bhumi)』では、ファン・ビンビンがこれまでのスクリーンイメージを刷新する役柄で登場。一方、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督の心理サスペンス『死のキッチン(原題:Morte Cucina)』は、クリストファー・ドイル撮影、浅野忠信が出演する。
ハンガリーの異端作家パールフィ・ジョルジ監督は、逃げ出したニワトリを題材に人間の滑稽さを描く寓話『雌鶏(英題:Hen)』を出品。カンボジアのベテラン記録映画監督リティ・パンは、北部山岳地帯の少数民族の伝統的生活を4年間にわたり追ったドキュメンタリー『私たちは森の果実(英題:We Are the Fruits of the Forest)』を発表する。
パレスチナのアンマリー・ジャシル監督は、1936年を舞台にした植民地時代の大作『パレスチナ36(原題:Palestine 36)』を初公開し、ヒアム・アッバスが出演する。米国からは、モデル出身のヘイリー・ゲイツ監督による風刺デビュー作『アトロピア(原題:Atropia)』が出品され、ルカ・グァダニーノが制作、アリア・ショーカット、カラム・ターナー、クロエ・セヴィニーが出演する。
開幕作は、登山家・田部井淳子の生涯を描く阪本順治監督の大作『てっぺんの向こうにあなたがいる(英題:Climbing for Life)』。エベレスト登頂を果たした初の女性登山家を描く。94歳の巨匠・山田洋次監督は、倍賞千恵子と木村拓哉が出演する東京を舞台にした優しいドラマ『TOKYOタクシー(英題:Tokyo Taxi)』で久々の新作を発表する。
クロエ・ジャオ監督の話題作『ハムネット(原題:Hamnet)』は、ジェシー・バックリーとポール・メスカル主演し、クロージング作品を務める。
コンペティション以外でも、第38回東京国際映画祭では国際的な映画ファンを魅了する作品を多数上映する。
ガラ・セレクションでは、ブレンダン・フレイザーが主演する『レンタル・ファミリー(原題:Rental Family)』が上映され、日本での公開が待たれていたアリ・アスター監督の風刺作『エディントンへようこそ(原題:Eddington)』は、ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーンが出演している。
日本からは、坂下雄一郎監督の『金髪(英題:Blonde)』がコンペティション部門でワールドプレミアを迎えるほか、Nippon Cinema Now部門では国内の最新作が上映される。
映画ファンにとって注目は、三島由紀夫生誕100周年を記念した特集上映である。日本で長年公開されなかったポール・シュレイダー監督のカルト的映画『MISHIMA(原題:Mishima: A Life in Four Chapters)』が、待望の上映となる。
アニメやドキュメンタリー作品も例年通り充実している。押井守監督のカルトアニメ『天使のたまご』は、40周年4Kリマスター版で上映され、河森正治監督は新作オリジナル長編『迷宮のしおり(英題:Labyrinth)』を披露。ドキュメンタリーでは、小津安二郎の人生と思想を追った『The Ozu Diaries』が上映され、ジュリエット・ビノシュは振付師アクラム・カーンとの舞台コラボを追った監督デビュー作『イン・アイ・イン・モーション(原題:In-I in Motion)』を発表する。
例年通り、第38回東京国際映画祭では2025年10月29日から31日まで東京都立産業貿易センターにて、アジアを代表するマルチコンテンツマーケットTIFFCOMを同時開催。
プロジェクトマーケットやコンテスト、幅広い分野での商談のほか、ソイ・チェン監督によるマスタークラス、山田洋次監督と今年の黒澤明賞受賞者である李相日監督(『国宝』)のトークイベントなども行われる。
コンペティションでは、審査委員長のカルロ・シャトリアンを筆頭に、台湾の女優グイ・ルンメイ、フランスの編集者マチュー・ラクロー、日本の俳優・監督斎藤工、中国の映画監督ヴィヴィアン・チュウが務め、東京グランプリ/東京都知事賞ほか主要賞を11月5日のクロージングセレモニーで決定する。
コンペティション部門出品作品一覧
(作品名 プレミア 監督名 製作国)
- 『アトロピア』ヘイリー・ゲイツ監督(アメリカ)
- 『金髪』坂下雄一郎監督(日本)
- 『恒星の向こう側』中川龍太郎監督(日本)
- 『ポンペイのゴーレム』アモス・ギタイ監督(フランス)
- 『裏か表か?』アレッシオ・リゴ・デ・リーギ・マッテオ・ゾッピス監督(イタリア/アメリカ)
- 『雌鶏』パールフィ・ジョルジ監督(ギリシャ/ドイツ/ハンガリー)
- 『マリア・ヴィトリア』マリオ・パトロシニオ監督(ポルトガル)
- 『死のキッチン』ペンエーグ・ラッタナルアーン監督(タイ)
- 『マザー』テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督(ベルギー/北マケドニア)
- 『母なる大地』チャン・ジーアン監督(マレーシア)
- 『春の木』チャン・リュル監督(中国)
- 『パレスチナ36』アンマリー・ジャシル監督(パレスチナ/イギリス/フランス/デンマーク)
- 『虚空への説教』ヒラル・バイダロフ監督(アゼルバイジャン/メキシコ/トルコ)
- 『飛行家』ポンフェイ監督(中国)
- 『私たちは森の果実』リティ・パン監督(カンボジア/フランス)
オープニング作品
『てっぺんの向こうにあなたがいる』阪本順治監督(日本)
センターピース作品
『TOKYO タクシー』山田洋次監督(日本)
クロージング作品
『ハムネット』クロエ・ジャオ監督(イギリス)
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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