蓮實重彦を記念した企画展がNYで開催|小津安二郎研究の英訳刊行を機に世界へ

世界に名だたる評論家、蓮實重彦
日本映画論壇の重鎮、蓮實重彦氏が89歳にしてアメリカデビューを遂げることとなった。
現地時間10月9日から18日にかけて、ニューヨークのジャパン・ソサエティにて企画展「シゲヒコ・ハスミ:アナザー・ヒストリー・オブ・ザ・ムービー・イン・アメリカ・アンド・ジャパン」(蓮實重彦:日米におけるもう一つの映画史)が開催される。同企画展は蓮實の主著『監督 小津安二郎』(1983)の英訳版刊行を記念したものだ。
これまで、蓮實の名前は海外でも知られていたものの、その著書は日本語ということもあり、多くの海外における映画通や批評家にとって手を出しにくい存在だった。欧米では、今回の英訳刊行が、従来は欧米の評論家視点で語られがちだった小津作品を新たに読み解く切り口になると期待されている。
蓮實は1970年代から立教大学や東京大学にて映画論の講義を担当したことでも知られる。そんな彼の教え子には黒沢清や青山真治など錚々たる面々が名を連ねている。また、直接の師弟関係にはないものの、『ドライブ・マイ・カー』(2021)の濱口竜介監督は蓮實の弟子を自認するほど、強い影響を受けたという。さらに、蓮實はジャン=リュック・ゴダールやペドロ・コスタらの巨匠たちとも幅広く交友関係を持った。
蓮實による全面プロデュースの企画展:気になる内容は?
今回、ニューヨークで開催される企画展にてジャパン・ソサエティはそのキュレーションを蓮實に一任するという。この待遇はスーザン・ソンタグや杉本博司といったレジェンドに匹敵するとされる。その結果、企画展開催中に上映される映画は日米の名作を合わせた独特なラインアップとなった。
例えば、初日の9日にはマイケル・マンの『コラテラル』(2004)と鈴木清順の『東京流れ者』(1966)という異色の組み合わせが上映される。その他にも、会場では滅多にお目にかかれない黒澤清や青山真治の短編映画が『香も高きケンタッキー』(1925)のような往年の名作とともに上映されるそうだ。更に、最終日には蓮實が三宅唱監督と共に手がけたモンタージュ映画『ジョン・フォードと『投げること』-完結編』(2022)も上映される。
ニューヨーク開催のため日本から足を運ぶのは容易ではないが、気になる人はジャパン・ソサエティのホームページをチェックしてみてほしい。
※本記事は要約・抄訳です。オリジナル記事(英語)はこちら。
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