【インタビュー】日本発、『ディズニー ツイステッドワンダーランド』がついにアニメーション化! ヴィランズ再創造から世界150カ国以上へ展開! 異例のIP進化とファンカルチャーの拡張…創造哲学をディズニー・ジャパンのキーパーソンが語る

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. 10月29日よりディズニープラスで独占配信
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ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション 』が、2025年10月29日(水)よりディズニープラスでアニメーションが配信開始となる。ゲームから始まった一つの学園物語が、今や世界を巻き込み、ディズニー史上でも異例の存在となっている。なぜ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』はここまで広がり、愛され、そしてアニメ化に至ったのか。その答えを探るため、ハリウッドリポーター・ジャパンは、ウォルト・ディズニー・ジャパンにて、キーパーソンとなる成田岳さんガド菜々さんにお話を伺った。

ディズニー作品に登場するヴィランズ<悪役たち>の魅力にインスパイアされたキャラクターが織りなす学園アドベンチャーゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』。『黒執事』を代表作とする漫画家・枢やなが原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを手がけたことやディズニーヴィランズという唯一無二のエッセンスと魔法士養成学校を舞台とした作り込まれた世界観は今もなおファン層の拡大を見せている。

【動画】『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」|ティザーPV


そして、アニメーション化プロジェクトとして、『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』が2025年10月29日(水)よりディズニープラスにて独占配信開始。コミックをベースとして、シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」の配信に加え、シーズン2「エピソード オブ サバナクロー」、シーズン3「エピソード オブ オクタヴィネル」の製作も決定している。

今回、『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のゲームの観点と日本発のアニメーションの観点から、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社のエグゼクティブ・ディレクター/ローカル・コンテンツ担当で、コンテンツ制作において20年以上の経験を持ち、ディズニーがグローバルで展開する動画配信サービス「ディズニープラス」で配信される日本のオリジナルコンテンツ制作部門を指揮・統括する成田岳さんと、同社で17年以上にわたりディズニーのゲームビジネスに携わり、数々のゲーム作品の立ち上げや運営に携わっているゲーム部門ディレクター のガド菜々さんにインタビュー取材をおこなった。

2人は、本作がどのように生まれたのか、アニプレックス、枢やな、ディズニーがどうタッグを組んだのか、そしてゲームからアニメへと世界を広げていく過程を、率直に語ってくれた。さらに、ヴィランズをどう再解釈したのか、SNSで広がったファンの熱、150カ国以上への展開を前に感じている期待まで、その舞台裏とこれからの未来をたっぷりと語ってくれた。

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日本発ゲームがアニメへと到達するまで

ゲームからコミック、そしてアニメへ

ーーー『ディズニー ツイステッドワンダーランド』は、ゲームから始まり、コミック、小説、そしてついにアニメーションへと発展しました。日本におけるローカルコンテンツの観点から、日本発のオリジナルゲームがここまで広がり、アニメーション化されることをどのように位置づけていますか。

成田:もちろんすごく嬉しいです。純粋にいくつか観点があって、一つはコンテンツ産業全体として、日本の優れたストーリーが世界に出ていくというのは、すばらしいことだと思っています。これからどんどんそういった機会が生まれればいいなという思いが一つ。

あと、純粋に会社から見ても、我々のビジネス上から見ても、やはり日本のアニメはすごく大事なものであり、極めて重要な位置づけにあります。その中で、我々ならではで何が提供できるのか。ディズニーが100年の歴史を持つアニメーションカンパニーとして何ができるのかを考えたときに、今回のような『ディズニー ツイステッドワンダーランド』という優れたゲームをもとにした作品を作れるというのは、ディズニーの強さでもあると思っています。今後もそういう形を続けられればと考えています。

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで10月29日より独占配信

ーーー今回のアニメーション化がきっかけになって、さらに日本発の作品を今後も同じように発信していきたいという、ある意味スタートになっているのでしょうか。

成田:そうですね。やはり優れたアニメーションはどんどん世界に出始めていると思っています。その一翼を担えればという思いもあります。ディズニーは世界的にはアニメーションで確固たる地位を築いていますが、日本のアニメとどう結びつき、世界中の皆さんに新しい冒険を提供できるか。そういった挑戦ができるのは本当に嬉しいことであり、今後も続けていきたいという位置づけです。

ウォルト・ディズニー・ジャパンの成田岳さん
ウォルト・ディズニー・ジャパンの成田岳さん

三位一体のパートナーシップ

偶然ではなく必然から生まれた「ツイステ」

ーーー「ツイステ」は、日本発の新しいIPであり、ディズニーとしても初めての試みだったと伺っています。どのように誕生したのか、その経緯を教えてください。

ガド:日本発のゲームという意味で言えば、実はこれまでも『キングダム ハーツ』や『LINE:ディズニーツムツム』といった、ゲームからフランチャイズへ成長したタイトルはいくつか存在します。「ツイステ」もその一つですが、どれも日本独自の強みを生かし、優秀なクリエイターの方々としっかりタッグを組んで作り込んだ結果、ヒットにつながってきたという実感があります。今回の「ツイステ」もまさにその最たる例です。

最初のきっかけは、社内のアニメーションチームから、 アニプレックスさん(アニメーション制作部門)を紹介してもらったことでした。「ゲームでご一緒できたらおもしろいですね」と話し始めたタイミングで、『Fate/Grand Order』も非常に人気を集めており、議論が自然と盛り上がっていきました。

ちょうどその頃、ディズニー内部でも、ヴィランズの視点から描いた映画『マレフィセント』などの影響もあって、ヴィランズに対する関心や機運が高まっていました。アニプレックスさんとの打ち合わせの中で、「ヴィランズといえば、『黒執事』の枢やな先生がまさに適任ではないか」というお話があり、しかも枢先生ご自身が大のディズニーファンでいらしたことから、「それならぜひご一緒に」と意気投合しました。

こうして、ディズニー、アニプレックス、枢やな先生という三位一体のパートナーシップが始まり、それが「ツイステ」誕生の原点です。

ウォルト・ディズニー・ジャパンのガド菜々さん
ウォルト・ディズニー・ジャパンのガド菜々さん

ーーーありがとうございます。本当にぴったりな形で生まれたプロジェクトなんですね。

ガド:そうですね。もう「なるべくして生まれた」と言える組み合わせでした。アニプレックスさんは、日本独自のアニメスタイル、特に大人の女性の琴線に触れるようなジャンルに非常に精通されていますし、ユーザーが何を求めているかを深く理解されている。一方で、枢やな先生にはすでに熱心なファンが多くいました。この二つが合わさったことで、ツイステにとって大きな強みとなり、まさに“黄金トリオ”が成立したのだと思います。

ディズニーパークの熱狂とアニメファンカルチャー

「ツイステ」が刺さった現象を読み解く

ーーー日本で初めて展開する段階で、日本のファンからの反応、特にヴィランズ人気や、いわゆるオタク層への刺さり方などは、意識されていたのでしょうか

ガド:そうですね。当時ちょうど、国内でもヴィランズへの関心が高まっていました。ディズニーシーで開催されていたヴィランズをテーマにしたショーやグリーティングが非常に人気で、キャラクターに大勢の大人の女性たちが熱狂していたんです。そうした反応を見て、「これは確実に響く要素がある」と感じていました。そうした空気感も追い風になり、「ツイステ」の世界観にも自信を持てた時期でした。

ディズニーらしさと日本的美学

ハイブリッドIPが示す新たな表現領域

ーーーツイステ」は、ディズニーらしさと日本らしさが融合した稀有な事例です。ローカルコンテンツとして、このようなハイブリッドな表現が実現したことは、日本市場やファンにとってどのような意味があるとお考えですか? また、世界的なコンテンツ市場においては、どのような意義を持つと思われますか。

成田:日本らしさとは何か。その定義は一つではありませんが、今まさに日本発のコンテンツが本格的に世界へ広がり始めている時期にあると感じています。その中で評価されているのは、やはり発想の独自性です。

「ツイステ」も、ディズニーの確立されたフランチャイズであるディズニーヴィランズという題材に対して、日本ならではの解釈や多様な才能を加えることで生まれた作品です。こうした発想は、おそらくアメリカからは生まれなかったものであり、それが実現し、なおかつ成功していることには大きな意義があります。海外のファンの方々にもゲームという形で受け入れていただけたことは非常に有意義でした。

アニメーションの側面から見ると、まずゲームが築いてきたファン層を大切にし、その上でファンの皆さんにより楽しんでいただける作品にすることが第一です。同時に、アニメーションをきっかけに「もう一度ゲームに戻ってみようかな」「始めてみようかな」と思ってもらえるような、良い循環が生まれれば理想的だと考えています。

ディズニーの強みは、多くのタッチポイント、つまり物語と出会う接点を複数持っていることです。ゲーム、アニメーション、商品展開、出版、音楽、そしてテーマパークまで、すべてがストーリーテリングという企業の核を中心に連携しています。本作はは、その強みが形になった好例でもあります。

日本のファンにとって親しみのあるゲームやアニメというフォーマットを通して、最大限楽しんでいただける作品を届けるべく、私たちも全力で取り組んでいます。

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで10月29日より独占配信

アニメーション化はゴールではなく始まり

既存ファンと新規視聴者が交差する瞬間へ

ーーーすでにゲームには多くのファンがいますが、アニメ化によって、ゲームユーザーにはどのような体験をしてほしいとお考えですか。

ガド:既存のファンの方々にとっては、ゲームと並行してアニメーションという新たな接点が加わることで、「ツイステ」への愛着やエンゲージメントがさらに高まることを期待しています。ゲームでは描かれなかったシーンや、アニメーションだからこそ可能な表現との出会いによって、新鮮な目線でもう一度作品を楽しんでいただけるのではないかと思います。

一方で、アニメーション化されることによって広がるもう一つの期待は、これまでゲームというメディアに触れてこなかった方々への入口になることです。まずはアニメで「ツイステ」の世界を知り、「ゲームもやってみようかな」と感じていただく。こうした好循環が生まれれば、ディズニーが理想とするエコシステム、すなわちメディアを越えて一つの物語が広がっていく構造が実現すると考えています。

ーーーアニメからゲームへという相互の行き来も期待されているのでしょうか。

ガド:おっしゃるとおりです。やはり、時間がなかったり、ゲームが得意ではなかったり、あるいはこのジャンルには触れてこなかったという食わず嫌いの方も少なくないと思います。ただ、「ツイステ」は特定のメディアに依存しない、本質的に“作品として魅力がある”と考えています。ですから、どのメディアから入っていただいても、その良さが伝わるのではないかと大いに期待しています。

ディズニーが追求する物語の価値

ーーーゲーム発のIPが成功し、アニメ化されるケースはまだ多くありません。今回のアニメーション化を通じて、ディズニーとしてはどのようなビジネス的インサイト(示唆)を得たいとお考えでしょうか。

成田:そうですね。これがインサイトと呼べるかはわかりませんが、期待しているのは、先ほども申し上げたとおり「ディズニーだからこそできること」を提供し、ユーザーや視聴者の皆さまに喜んでいただけるかどうか、そこに尽きます。そして、手応えとして良い反応をいただければ何よりです。

今回、日本発のプロジェクトであることには、私たち自身とても意義を感じています。今は世界中のあらゆる場所から物語が生まれ、配信によって瞬時に共有される時代です。それは本当にすばらしいことであり、世界を豊かにする動きだと思うのです。その中で、日本発のコンテンツが一翼を担えることは、非常に嬉しいことです。

もちろん、最終的にはビジネスとして成立させることも私たちの使命ですが、ディズニーという会社の中心には「どれだけ多くの人を楽しませられるか」というストーリーテリングの精神があります。ゲームで楽しんでいただき、そして今度はアニメーションでも喜んでいただけた、という経験が積み重なれば、「もっと届けよう」「もっと挑戦しよう」という次のステップへつながります。まさに、そうした未来への連続性を生み出すことに、大きな意味があると感じています。

ーーー今回のアニメーション化には、ゲーム、3Dライブなど多くのタッチポイントが存在しています。そういった複層的な展開の中で、ディズニーならではの独自性や、エコシステムの機能についてはどのように感じていますか。

成田:まず、このプロジェクトの出発点そのものが、非常にディズニーらしいものだったと思います。ヴィランズという要素を扱う場合、普通なら既存のキャラクターを別のシチュエーションに置き換える発想が主流でしょう。しかし「ツイステ」は一度それを離れ、まったく別の世界を創造しつつ、元のディズニーヴィランズへのリスペクトを失わずに物語を構築しています。どちらのファンにとっても納得できる新しい世界観を作り出せたことは、まさにディズニーならではの挑戦であり、成功だったと感じています。

タッチポイントという観点で言えば、私たちアニメーションチームは最後に合流した立場です。土台には、ゲームという強固な基盤があり、そこからコミカライズ(アニメの原作であるコミック)、商品展開、音楽へと広がってきました。特に音楽はゲーム内でも反響が大きく、アニメーションでも新たに展開していく予定です。

全ての根底にあるのは「ストーリーをどう語るか」という一点です。フォーマットが変わっても、ストーリーテリングが軸にある限り、作品は自然に広がっていく。そうしたディズニーの理念が、このプロジェクトでは非常にうまく機能していると感じています。

私自身、「ツイステ」の世界に加わりながら、作り手の熱量に感心させられる場面が何度もありました。ゲームが誕生するまでには長い年月がかかり、その間に「どうすればもっとおもしろくできるか」「ファンが喜ぶにはどうするか」が徹底的に考え抜かれてきたと聞いています。その丹念な創作の積み重ねこそが、今の熱狂につながっているのだと思います。

タッチポイントが多いことに加えて、核となるストーリーが強固であることこそが重要です。だからこそ、アニメーション、ゲーム、音楽、あらゆる展開が連携し、ファンに楽しんでいただける。今回、改めてディズニーの中心にあるストーリーテリングの力を再確認する機会にもなりました。少し社内礼賛のように聞こえてしまうかもしれませんが、それほど強く実感しています。

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
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©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
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国境を超える熱狂

世界中で待つファンと新たなコミュニティ

ーーーストーリーとして、今回「ツイステ」がディズニープラスを通じて世界配信されます。日本発のIPがアニメーションとしてグローバルに展開されていくことについて、どのような意義を感じていますか。

成田:そうですね。まず、配信というメディアを通して、今は本当に革新的なことが起きていると感じています。一つの作品が、たとえ世界の片隅で生まれたとしても、瞬時に全世界へ届けられ、共有される。私たちは今、そうしたエポックメイキングな時代に生きているのだと思います。つい当たり前のように感じてしまいがちですが、実はとてもすごいことが起きている。

その中で、日本発のコンテンツが意味を持つのは、日本独自の発想やおもしろさの感覚を大切にすることだと思っています。世界に合わせて無理に形を変えるのではなく、日本で生まれた面白さを丁寧に煮詰めていけば、結果として世界の人々にも響く。もちろん表現手法などは常にアップデートし続ける必要がありますが、根本には「ローカルから生まれた普遍性」があると信じています。

少し青臭い言い方になりますが、そうした多様な物語が世界に届けば、世の中は少しずつ良くなっていくのではないかと思うんです。物語を通して、「自分のストーリーも大切だ」と感じてもらえたり、「そんな考え方もあるんだ」と気づいてもらえたりする。理屈ではなく、感覚として広がっていくものがあると信じています。『ツイステ』も、そうした一翼を担えれば嬉しいですね。

ーーー私も『ディズニーツイステッドワンダーランドザアニメーション』を拝見しました。『黒執事』の枢やな先生が描かれたゲームの持つ世界観やオリジナリティを忠実に再現しながらも、アニメーションならではの美しさや世界観の強度には圧倒されましたし、日本的要素や学園という舞台も相まって、日本だけでなく海外からの関心もさらに高まると感じています。今回のアニメ化によって、既存のゲームファンに加え、『黒執事』のファンやディズニーファンなど、異なるバックグラウンドを持つ新たなファン層が加わり、より大きく、多層的なコミュニティが生まれていく可能性があると思います。そうしたファンベースの広がりと融合について、どのように感じていますか。

ガド:実はゲームも、一部の英語圏、アメリカ、シンガポール、オーストラリアなどでは配信されており、運営を続けるなかで、特にアニメエキスポなどに出展すると、現地でも「ツイステ」のコスプレをした方々が集まってくださるなど、非常に高い熱量を感じています。つまり、良いコンテンツは国境を越えるという手応えを、すでにゲームの段階で実感しているんです。

今回アニメは150カ国以上で展開されます。ゲームがまだ届いていない地域、アジアやヨーロッパなどへ広がっていくことで、どのような反応が生まれるのか、とても楽しみですし、大いに期待しています。

ーーー今後、アニメエキスポのような海外イベントで、ファンと直接交流する場を設ける可能性もありますか。

成田:アニメーションとしても、機会があればぜひやりたいですね。もちろん簡単ではありませんが、今回150カ国以上で配信されるので、イベントという形で物語を補強できるのは理想的です。

優れた物語というのは多層的で、入口は「かっこいい」「かわいい」「面白い」でも構わない。大事なのは、観た人がどう感じて、自分の物語として心に残してくれるかだと思っています。その機会が世界中で広がることは、とても意義のあることだと思います。

ガド:コミュニティも、この作品には欠かせない要素です。アニメエキスポのような場だけでなく、SNSでも新コンテンツの発表があるたびに、多くのファンが自発的に反応し合い、Xではトレンド1位になることもあります。ファン同士が「いいよね」と共感し合う、その熱量こそが「ツイステ」の力だと感じています。

成田:本当に熱いんですよね。

ガド:ええ、とても熱いです。その声にしっかり耳を傾け、何を求められているのかに寄り添う運営でありたいと思っています。

ーーー本編を拝見して、原点となったディズニー映画がここまで丁寧に引用されていることに驚きました。だからこそ、ディズニー作品は好きだけれど「ツイステ」はまだ知らないという層にも、このアニメをきっかけに新たなファン層が広がっていく可能性があると感じました。そうした広がりについて、お二人はどのように期待されていますか。

ガド:実際、ゲームの段階でもその傾向はすでに見えていました。もちろんディズニーやアニメーションが好きで入ってこられる方もいますが、一方で、枢やな先生のファンや、このジャンルが好きでゲームを始めた方が、後から「そういえばこれ、ディズニーの作品だったんだ」と気づくケースもありました。つまり、入口がディズニーとは限らないし、その逆もある。そうして幅広い層に届いていることは、大きな強みだと思っています。

その理由は、ディズニーならではの世界観と、日本独自のアニメーションスタイル。この二つを当初から綿密に融合させて設計してきたことにあります。枢先生とアニプレックスさんとともに、「どこをオマージュするか」「どこまで引用するか」を議論しながら、わかりやすい露骨な引用ではなく、“じわじわ気づいて楽しめる仕掛け”を大切にしてきました。枢先生ご自身が大のディズニーファンであることも大きく、そこから生まれたアイデアが非常に素晴らしかった。私たちも議論に加わりながら、そのバランスを徹底的に追求してきました。ゲーム制作の現場から見ても、まさに理想的なパートナーシップでした。

成田:私も基本的には同じ考えです。ゲームから入った方がアニメーションで物語に触れ、さらに「原作の映画はどうだったっけ」とディズニー作品に戻っていく。これはとても望ましい流れだと思います。ディズニー作品の中には、数十年前に作られたものもありますが、“本当に良い物語”は、時を越えて何度観ても新たな発見があります。子どもの頃に観た作品を大人になって見返したとき、全く違う感想を抱くこともありますよね。普遍的な価値がそこにあるからです。

「ツイステ」がきっかけとなり、ゲームやアニメーションから原作へと遡ってもらえるのであれば、それは本当に嬉しいことです。物語は、人を豊かにするものですから。ぜひ、作品を通じてそうした体験をしていただきたいと思っています。

ーーー「ツイステ」は、キャラクターの名前は知っていても、原作映画を観たことがないという人も多い作品です。その意味でも、「ツイステ」からディズニー全体へ、新たなタッチポイントが生まれそうですね。

ガド:はい、それは確実にあると思います。実際、ゲームのリリース直後にもディズニープラス内で“「ツイステ」にインスパイアされた作品特集”を組んでいただき、『白雪姫』や『ライオン・キング』などを改めて観てもらう試みもありました。今回のアニメーション化でも、その効果はさらに広がるのではないかと期待しています。

成田:先ほども触れましたが、ゲームの制作陣は常に「原作への敬意」「ファンが喜ぶポイント」を徹底的に意識しています。だからこそ、アニメーションでも「あ、ここは元の映画のあのシーンだ」といった発見を楽しんでいただけるはずです。ぜひ、そうした視点でも楽しんでほしいと思っています。

“難しく考えず、自由に旅してほしい”

ーーー最後に、10月29日のワールドプレミアを目前に控えた『ディズニーツイステッドワンダーランドザアニメーション』に、どのような未来を託しているのか。アニメを楽しみにしている人や、これから入ってくる新しい視聴者に向けて、メッセージをお願いします。

成田:何より伝えたいのは、「ツイステ」が日本発でありながら、ディズニーならではの視点で築き上げたストーリーであるということです。ファンの皆さんにまず喜んでいただきたいという思いで制作していますが、アニメーション化によって、「こうなるんだ」と世界観がさらに広がっていくことを楽しんでもらえることが一番重要です。

同時に、今回が初めての入口になる方も大勢いるはずです。ですから、アニメーションとしての“体力”──つまり、単体でも楽しめる完成度も強く意識して制作しています。「初めて観たけど面白い」「これ、何の世界なんだろう?」と感じていただければ、自然と他のメディアにも広がっていく。そうした物語の旅路を、自由に楽しんでいただけたら嬉しいですね。どうか難しく考えず、私たちが紡いだストーリーを、純粋に楽しんでください。

ウォルト・ディズニー・ジャパンの成田岳さん(左)と、ガド菜々さん(右)
ウォルト・ディズニー・ジャパンの成田岳さん(左)と、ガド菜々さん(右)

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『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』は、2025年10月29日(水)よりディズニープラスにて独占配信開始。

【作品情報】

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」
©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC.
ディズニープラスで10月29日より独占配信
『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』 シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」 ©2025 DISNEY ENTERPRISES, INC. ディズニープラスで10月29日より独占配信

『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』

ディズニープラスで10月29日より独占配信

ディズニーヴィランズにインスパイアされたダークファンタジーアニメーション。異世界の魔法士養成学校に迷い込んだ高校生の雄剣と、<ハートの女王>のルールを守り抜く寮長リドルが出会った時、ルールに縛られた寮生たちの運命が動きだす──。

【インタビュー出演者プロフィール】

(以下は本記事の取材にご登場いただいた人物のプロフィールです)

成田 岳 Gaku Narita 

エグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ

2019 年に入社。コンテンツ制作において 20 年以上の経験を持ち、ディズニーがグローバルで展開する動画配信サービス「ディズニープラス」で配信される日本のオリジナル コンテンツ制作部門を指揮・統括する。1997 年に株式会社フジテレビジョンに入社。一貫してドラマ畑を歩み、『プロポーズ大作戦』など幅広い視聴者を対象とした数々のヒット作品に携わり、ドラマ演出家として名を馳せる。ドラマ以外でも、リドリー・スコットプロデュースの映画『Japan In A Day』では監督を務め、舞台「歌姫」では演出を務めるなど幅広い経験を有する。

ガド菜々 Nana Gadd

ディレクター、ゲームス

ゲーム部門ディレクターとして、ディズニーのブランド価値を最大限に活かしながら、日本とグローバルの両市場におけるゲームビジネスの深い知見をもとに、日本発のゲーム開発と展開を統括。

17年以上にわたりディズニーのゲームビジネスに携わり、数々のゲーム作品の立ち上げや運営に携わり、日本発のローカルコンテンツの国内外への展開に尽力してきた。代表的な作品は、アメリカ、イギリス、東アジア市場を含む154の国と地域で展開され、世界累計1億ダウンロードを突破(2024年2月時点)しているカジュアルパズルゲーム『LINE:ディズニー ツムツム』や大人気のヴィランズ学園アドベンチャーゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド 』など。

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