Netflix『BEAST -私のなかの獣-』レビュー:静かな駆け引きで魅せる心理スリラー

『BEAST -私のなかの獣-』 写真:Netflix
『BEAST -私のなかの獣-』 写真:Netflix
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Netflixの新作ドラマ『BEAST -私のなかの獣-』は、クレア・デインズマシュー・リスという実力派の共演によって、緩やかに深まる心理戦とミステリーが描かれる全8話のサスペンス作品だ。

物語の中心となるのは、作家アギー(演:クレア・デインズ)。息子を亡くし、人生の歯車が止まったままの彼女の前に、ある噂を抱えた富豪・ナイル(演:マシュー・リス)が現れる。周囲から「妻殺し」と疑われる彼は、アギーに自伝の執筆依頼を持ちかけ、二人は“互いに探り合う関係”へと踏み込んでいく。

本作が魅せるのは、派手な展開ではなく、“静かに積み重なる緊張”。
視線の揺らぎ、会話に滲む嘘と本音、そして「相手は何を隠しているのか」という疑念が、長い対話劇の中でじわじわと効いてくる。デインズは悲しみを抱えた作家を繊細に演じ、リスは“無罪にも有罪にも見える”絶妙な曖昧さを保ちながら物語を引っ張る。

周囲を取り巻くキャラクターたちも見どころの一つ。
ブリタニー・スノウナタリー・モラレス、そしてジョナサン・バンクスらが物語に重層的な空気を加え、登場人物同士の関係性が物語の核を形づくっていく。

一方で、物語はあくまで“人間の内面”に重心を置いているため、ジェットコースターのようなスリリングさを求める視聴者にはやや静かに感じられるかもしれない。しかし、その落ち着いたテンポこそが作品の個性であり、アギーとナイルの心理戦をじっくり味わえる構造になっている。

「人は誰しも心の奥に“獣”を抱えている」というテーマのもと、
“信じたい気持ち”と“疑う心”の狭間で揺れるキャラクターたちを丁寧に描いた本作は、静かな緊張感と俳優陣の確かな演技を楽しみたい人におすすめの作品だ。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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