柴咲コウ、『兄を持ち運べるサイズに』の中野量太監督に公開ダメ出し「もう一回じゃんってオーラがイヤ」
中野量太監督の5年ぶりとなる新作映画『兄を持ち運べるサイズに』の初日舞台挨拶が28日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた。中野監督は出演の柴咲コウをはじめオダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大とともに登壇。「このメンバーでなければ成立しなかったと思える幸せを感じた。最新作であり一番の自信作です」と力強く語った。
作家の村井理子氏が自身の体験を基につづったエッセイ「兄の終い」が原作。兄の急逝によってバラバラになっていた家族が集まり、遺品から人生をたどっていくうちに波紋が広がっていくホームドラマだ。

主演の柴咲は、「3カ月前から、皆でじわじわ盛り上げてきた宣伝活動が今日で終わるのは寂しい気持ちはあるが、この作品が皆さんに届いて広がっていくと思うと感慨深い」としみじみ。「私自身、家族のことをきちんと考えるきっかけになった。これからどう生きるかという見方をしてもらい、家族のことを考えるきっかけにして、豊かな気持ちになってくれたらうれしい」と笑顔で呼びかけた。
初めてタッグを組んだ中野監督から、「これからも監督を続けていきたいので、僕に足りないところはありますか」と問われると、「公開ダメ出しってこと?」と苦笑。それでも、「素直なリアクションをされる方で、いいよの時は凄くうれしいけれど、いまいちだった時に絶対にもう一回じゃんってオーラがもろに出すのがイヤだった」とばっさり切り捨て会場の笑いを誘った。

あまりに直球の指摘に、中野監督は「どうすればいいんだろう」と困惑。すると、『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)に出演したことのあるオダギリが、「とりあえず褒めておけばいいんじゃないですか」とフォローし、その場を収めた。
村井氏からはサプライズで手紙が寄せられ、「確かに兄ちゃんは兄としてはダメだったかもしれないけれど、父としては最後の瞬間まで精いっぱい頑張ったはず。苦労が多かった兄の人生に、大きなマルが付いたとも思っています」と称賛。柴咲は、「グッときますね。体現した我々を認めていただけてうれしい」と安どの笑みを浮かべていた。

取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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