【レビュー総まとめ】ジョシュ・サフディ最新作『マーティ・シュプリーム』が絶賛の嵐──ティモシー・シャラメには“オスカー確実”の声も

『マーティ・シュプリーム』出演のティモシー・シャラメ 写真:A24/Courtesy Everett Collection
『マーティ・シュプリーム』出演のティモシー・シャラメ 写真:A24/Courtesy Everett Collection
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アンカット・ダイヤモンド』(2019年)のジョシュ・サフディが監督・脚本を務めた最新作『マーティ・シュプリーム』が、早くも大きな話題を呼んでいる。

10月のニューヨーク映画祭でサプライズ上映された本作は、Rotten Tomatoes(※)で批評家スコア95%という高評価を獲得。映画全体への称賛とともに、主演を務めたティモシー・シャラメに対しては”オスカー候補確実”との声が挙がっている。

(※Rotten Tomatoes:米最大の映画レビューサイト)

ティモシー・シャラメが天才卓球プレイヤーに

ティモシー・シャラメは本作で、天才的な腕前をもつ卓球プレイヤー、マーティ・マウザーを演じている。共演はグウィネス・パルトロータイラー・ザ・クリエイターオデッサ・アザイオンら豪華な顔ぶれだ。

マーティのモデルは、実在のプロ卓球選手、マーティ・レイスマン。シャラメ本人は、役作りのために長年卓球のトレーニングを積んだと語っている。

「ジャンルを越境した、躍動感あふれる映画」──THR

米『ハリウッド・リポーター』(THR)のチーフ批評家デヴィッド・ルーニーは、本作を「ジャンルを超越したオリジナル作品」と評し、「『アンカット・ダイヤモンド』(2019年)と『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002年)を掛け合わせたような感覚」と表現している。

さらに「絶え間なく動き続ける人生を描いた、躍動感あふれる映画だ」と賛辞を送り、「”ワイルド・ライド”という陳腐な言葉が、本作にはまっすぐ当てはまる」と絶賛した。

また、5年ぶりの俳優復帰となるグウィネス・パルトローについても「『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年)を彷彿とさせる、繊細で優美なすばらしい演技」と高く評価している。

「ずっと興奮が止まらない。今年最高の映画を届けてくれた」──New York Post

『New York Post』のジョニー・オレクシンスキは「これは映画版マウンテンデュー(※)だ。2時間半の上映時間の間、ずっと興奮が止まらない」と独特の言い回しで称賛。

「何度も笑い、思わず顔が赤くなった。マーティの頂点を目指す混沌としたレースには、心と情熱があふれている。1950年代のニューヨークを再構築した世界観も驚くほどリアルだ。サフディ監督と制作チーム、そしてシャラメは今年最高の映画を届けてくれた」とべた褒めである。

また『The Independent』のクラリッサ・ローグレイは、シャラメの演技を「70年代のハーヴェイ・カイテルジーナ・ローランズと同じステージに立てることを証明した」と絶賛。「初期のアル・パチーノのような爆発的で危ういエネルギーをまといながらも、視線の奥には脆さを宿している」と、その表現力の高さを評価している。

(※マウンテンデュー:ペプシコが製造するレモン・ライム風味の炭酸飲料)

「シャラメの演技はあまりにも魅力的」──BBC

BBCのキャリン・ジェームズは、「シャラメの演技はあまりにも魅力的で、彼の私生活の騒動を忘れるほどだ」と評価。

さらに「『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2025年)はシャラメの演技が作品そのものを超えていたが、『マーティ・シュプリーム』は作品自体が鮮烈で、予測不能な展開に満ちている」と述べ、「スポーツ映画に見えながら、実は”人生をこじらせた男”の物語だ」と分析した。

『The Guardian』のピーター・ブラッドショーは、「本作はスポーツ映画の定番を一切なぞらない。トレーニングのモンタージュ(※)も技術解説もない。映画全体が卓球そのもののリズムとスピードで動いている」と評価。シャラメについては「怒りと自虐に突き動かされるような落ち着きのない動きを、滑稽さを帯びて表現している」とユニークに評した。

(※モンタージュ:複数の短いカットをつなぎ合わせて、時間の経過や変化を一気に見せる編集手法)

「シャラメ、ついに”オスカー獲得のとき”が来たか」──Empire

『Empire』誌のジェイミー・グレアムは「NYの街角を埋め尽くす無名キャストも含め、すべての演者が凄まじい」としたうえで、特にシャラメを「すべてを抑え込みながらも、スクリーンを圧倒する存在」と評する。

サウンドトラックで、ティアーズ・フォー・フィアーズの楽曲”Everybody Wants To Rule The World”が流れると、グレアムは「シャラメ自身が語ってきた”偉大さを追い求める”という言葉が、現実になろうとしている。いまこそ、シャラメがオスカーを獲得するときなのかもしれない」と述べた。

映画『マーティ・シュプリーム』は2026年3月に日本公開予定。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました

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