木村拓哉×倍賞千恵子『TOKYOタクシー』が大ヒット!山田洋次監督「幸福の黄色いカード」秘話も披露
山田洋次監督が12月3日、最新作『TOKYOタクシー』の大ヒット御礼舞台挨拶を、出演の倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優とともに、東京・新宿ピカデリーで行った。
本作は、2022年のフランス映画『パリタクシー』の舞台を東京に置き換えたもので、タクシーに乗った老女が自身の半生を運転手に語りながら、東京・柴又から神奈川・葉山までの道のりで信頼関係を築いていく物語。11月21日に全国公開され、今週末には興行収入10億円を突破する見込みとなっている。

山田監督は、公開翌日の朝に自宅のポストに警察の巡回連絡カードが入っていたことを明かし、「黄色いカードで、メモ欄に『昨日、新宿で見てきました。とてもいい映画でした』と書かれていて、とてもうれしかった」と笑顔を見せた。その後、近所の派出所へお礼を伝えに行ったが、書いた本人とは会えなかったという。それでも「お巡りさんは遠い存在だと思っていたけれど、急に身近に感じた。作り手として幸せなことで、僕はこれを“幸福の黄色いカード”と呼んでいます」と、自身の代表作『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)になぞらえて喜びを語った。

主演の倍賞は、「見終わって『遺灰になっちゃったのね』という声が一番多いです。公開初期の頃は、舞台挨拶に出ると『生きていて良かった』という声もいただきました」と笑顔で語った。
木村は「『ありがとう』という言葉を多くいただけてとてもうれしいですが、本来は僕たちが『見てくれてありがとう』と声を大にして言いたい。その言葉の往来が尽きないのが印象的です」とコメントした。

山田監督作品への出演は2006年の『武士の一分』以来19年ぶりとなる木村は、「一つ一つの作り込み方が、高級品をそろえたぜいたくさではなく、光の当て方や色の選び方、気持ちの形のとり方までが豊かで、早く帰りたいと思う日が一日もなかった」と、改めて現場を振り返った。
蒼井も「緊張感はもちろんありますが、現場には作品に対する愛情があふれていて、疑う余地のない安心感がある。なんて幸せな時間、経験なんだろうと思いました」と感激を込めて語った。
映画公式SNSに寄せられた「理想のタクシー運転手は?」という質問に対し、倍賞は「どう考えても浩二さん(木村の役名)以上の人は想像できません」と断言。続けて「そうよね?」と同意を求められた木村は苦笑しつつも、「乗りたくなったら、いつでもご乗車をお待ちしております」と、さらなる観客動員を呼びかけた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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