映画『あかし』がウィスラー映画祭を席巻 吉田真由美監督が主要部門を総なめ
映画『あかし』より、吉田真由美監督 写真:PETER PLANTA
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カナダ・ウィスラー映画祭にて、日本出身でカナダを拠点に活動する吉田真由美監督による日本語映画『あかし(Akashi)』が主要賞を独占し、大きな話題を呼んでいる。バンクーバーで悩めるアーティストが、東京で祖母の秘密を知ることで人生を見つめ直す――そんな多世代にわたる愛と家族の物語が、審査員と観客の心を掴んだ。
■ カナディアン長編部門ほか主要4部門を受賞
吉田監督は以下の部門で受賞を果たした。
- ボルソス・コンペティション最優秀カナディアン長編作品賞
- 最優秀俳優賞
- 最優秀B.C.監督賞(ブリティッシュ・コロンビア州監督賞)
- ヘーブラー賞(最優秀長編作品)
授賞式で吉田監督は、思い入れのある日本語の諺を紹介しながら喜びを語った。
「待てば海路の日和あり。ずっと待ち続けてきたので、本当にうれしいです」
俳優としてキャリアを始めた彼女は、「監督賞を受けると、いつも“間違いでは?”と思ってしまう」と率直に吐露しながらも、「ようやく自信を持てるようになってきた」と笑顔を見せた。
■ リール・アジアン、バンクーバーに続く快進撃
映画『あかし』はすでに リール・アジアン映画祭で最優秀新人長編賞、バンクーバー国際映画祭で観客賞を受賞しており、北米で高い評価を獲得している。
本作で主人公カナを演じた吉田監督自身が、ボルソス・コンペティション最優秀演技賞を受賞。10年にわたる海外生活を経て帰国した女性の“居場所の揺らぎ”を繊細に表現した点が評価された。
さらに、撮影監督 ジャリル・リム(Jaryl Lim) が 最優秀撮影賞 を受賞するなど、作品全体の完成度が高く評価された。
■ その他の受賞作
ウィスラー映画祭では、映画『あかし』以外にも以下の作品が選出された。
- 最優秀脚本賞(ボルソス):チャンドラー・レヴァック(Chandler Levack)『Mile End Kicks』
- 最優秀監督賞(ボルソス):ザカリアス・クヌク(Zacharias Kunuk)『Wrong Husband』
- ヘーブラー賞・短編部門:セタレ・サレフ(Setareh Saleh)『For Dawn』
└ イランの少女たちが女性と人権のために声を上げる姿を描いた短編 - 最優秀マウンテンカルチャー短編作品賞:ナット・シーガル(Nat Segal)『Beauty In a Fall』
- 最優秀マウンテンカルチャー長編作品賞:アリソン・リード(Alison Reid)『The Art of Adventure』
└ 野生動物画家ロバート・ベイトマンと生物学者ブリストル・フォスターの友情と活動を追うドキュメンタリー - ワールド・ドキュメンタリー賞:アマリー・アトキンズ(Amalie Atkins)『Agatha’s Almanac』
└ 監督の叔母と自然との深い結びつきを描いたデビュー作
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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