『国宝』トークイベントに吉沢亮&横浜流星が登場! 「映画の中で歌舞伎役者になれた気がしました」 歌舞伎を演じる難しさを語る
ヒューマントラストシネマ渋谷にて「カンヌ監督週間 in Tokio 2025」が 12月12日(金)~25日(木)の 14 日間にわたって開催。会期中のイベントとして、12月16日(火)、実写の邦画における歴代1位の興行収入を記録した李相日監督作『国宝』から吉沢亮、横浜流星、李相日監督が登壇する特別トークイベントが開催された。

10代から90代まで――想定を超えた観客層の広がり
「監督週間」のアーティスティック・ディレクターのジュリアン・レジから、映画『国宝』がここまで日本人に深く響き、強く支持されている理由について聞かれると、李相日監督は、「まずは素直に、ありがとうございます。特徴として感じているのは、とにかく年齢層の幅が広いことです。若い方から、僕が聞いている限りでは90代の方まで、しかも何度も観に来てくださっている」と幅広い年齢層に支持されていることについて触れた。
さらに監督は「歌舞伎が題材で、上映時間も3時間ありますから、若い人にはむずかしいのでは、という予想もありました。でも、もしかしたら10代、20代前半の方にとっては、こうした映画体験自体が初めてだったのかもしれません。自分が若い頃、例えば『ラストエンペラー』(1987)などを観て、『映画ってこういうものなんだ』と、理屈を超えて映画の力を浴びた体験がありましたが、若い世代にも同じような体験をしてもらえたのではないかと思っています」とコメント。
また、「一方で、年齢層の高い方、特にご婦人方には、『この二人(吉沢亮と横浜流星)が美しければいい』という要素も大きかったのかもしれません(笑)。もちろん物語も含めてですが、映画の力と美の力、その両方が作用したのではないでしょうか」と、2人の美しさについても触れた。

横浜流星「正直、ここまで多くの方に届くとは思っていなかった」
これに吉沢亮は「我々が美しい…(笑)」とはにかみながらコメントすると、横浜流星は「正直、ここまで多くの方に観ていただける作品になるとは想像していなかったので、僕自身も本当におどろいています。歌舞伎というものは誰もが知っていますが、深く知っている人は決して多くありません。その伝統芸能を、エンターテインメントとして映画の中で届けられたことが、大きかったのではないかと思います」と述べた。
また、吉沢亮は、李監督の撮影スタイルについても触れた。「正直に言うと、何度もやり直しを求められるんですが、なぜやり直しなのかを教えてもらえないんです。普通なら『ここをもう少しこうしよう』という演出があると思うんですが、李監督は『もう一回』しか言わない。何がダメなのかを教えてくれないという監督の厳しさと愛情を現場で受け止めていました」と、演技面での学びについてコメントした。
その部分について横浜流星は、「僕は李監督とのタッグは二作目でした。一作目の時は本当に何もわからなくて、『もう一回』と言われるたびに、自分の中で答えを探すしかなかった。暗闇の中で探すっていう。でも、ここまで我々を信じて、妥協せずに向き合ってくれる監督は多くないので、それは本当に幸せなことでした」と、よろこびを語った。


知れば知るほど難しい――歌舞伎を映画で演じるということ
ここでジュリアンから、歌舞伎のシーンについて「短期間で稽古を重ね、本物の役者とは異なる形で役を作る中で、大変だったこと、振り返ってよかったことを教えてください」と質問。
これについて吉沢亮は「やるしかなかったですね。本物の役者さんと同じにはなれないと途中でわかりましたが、とにかく稽古を重ねて、映像もたくさん観て、どうにか形にしました」と苦労を語ると、横浜流星も「知れば知るほどむずかしかったです。ただ、実際の歌舞伎ではあり得ない感情表現を、映画だからこそ宿せる。その点をとても大切にしていました」と語った。
また吉沢亮は「そのおかげで、この映画の中で歌舞伎役者になれた気がしましたし、我々がこの作品をやる意味があったと思えました」と、その手応えも明かした。
ディレクターズカットは実現するのか――李監督の本音
そして最後にジュリアンから「ディレクターズカット版の予定はありますか?」と質問。これに李監督は「歌舞伎のシーンは、実はもっとあるんですよ」とうれしそうに明かすと、横浜流星「たしかに」とうなずいた。
しかし、李監督はディレクターズカット版には消極的な姿勢を見せた。吉沢亮も「観たい気持ちもありますけど、恥ずかしい気持ちもあります(笑)」と苦笑いし、李監督は、「どんな作品にもピークがあります。そのピークを4時間にして保てるかどうかは、難しいと思っています」と尺の面についての見解も明かした。

【動画】『国宝』予告編
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