英歌手クリス・レアが死去、74歳 ――クリスマス定番曲「ドライビング・フォー・クリスマス」や「レッツ・ダンス」など80年代にヒット連発
「ドライビング・フォー・クリスマス」(’86)などの世界的なヒット曲で知られる英国のシンガーソングライター、クリス・レアが、74歳で死去した。現地時間12月22日、家族が発表した声明により明らかになった。英国通信社(PA)に寄せられた家族の言葉によると、レアは短期間の闘病の末、入院先の病院で静かに息を引き取ったという。
クリス・レアは1980年代、音楽シーンで一躍脚光を浴びた。「フール」(’78)、「オン・ザ・ビーチ」(’86)、「レッツ・ダンス」(’87)といった楽曲を次々とヒットさせ、その唯一無二の歌声で世界中のファンを魅了した。1989年に発表されたアルバム『ロード・トゥ・ヘル』と1991年の『オーベルジュ』は、本国イギリスのチャートで1位を記録し、レアのキャリアにおける黄金時代を象徴する作品となった。
クリス・レアの代名詞とも言える名曲「ドライビング・フォー・クリスマス」は、1986年のリリース当初から爆発的なヒットを記録したわけではなかった。一方、その穏やかで温かみのあるメロディは、数十年という長い年月をかけて人々の心に深く浸透していった。現在では英国で最も愛されるクリスマスソングの一つとして定着しており、時代を超えて親しまれ続けている。
クリス・レアの生い立ちは、イングランド北東部のミドルズブラに遡る。1951年、イタリア人の父とアイルランド人の母の間に生まれたレアは、学校を卒業後にさまざまな職を経験した。実家のアイスクリーム事業を手伝っていた時期もあり、音楽の世界への入り口は決して早いものではなかった。ギターを手にしたのは21歳の時で、ミュージシャンとしては比較的遅咲きのスタートだった。やがて、数々のバンド活動を経てソロに転向し、渋みのあるハスキーボイスと卓越したスライドギターを持ち味に、その類まれなる才能を開花させていった。
クリス・レアの晩年は、深刻な健康問題との闘いの連続だった。すい臓がんの闘病を経験し、2016年には脳卒中に見舞われるなど、幾度となく困難に直面。近年は華やかなポップミュージックの世界から距離を置き、ブルースに深く傾倒したアルバムを精力的に発表していた。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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