仏俳優ブリジット・バルドーが死去、91歳 フランスが生んだ伝説的アイコン
フランスが世界に誇る伝説的な俳優であり、歌手としても知られるブリジット・バルドーが91歳で死去した。バルドーが設立した「ブリジット・バルドー財団」が声明を通じて発表し、AFP通信やBBCなどが報じた。
声明の中で財団は、世界的な名声を手にした俳優としてのキャリアを捨て、人生とエネルギーのすべてを動物愛護活動と自身の財団に捧げる道を選んだブリジット・バルドーの功績を称え、深い哀悼の意を表した。現時点で、亡くなった正確な日時や場所については明らかにされていない。
1934年9月28日、パリの裕福な家庭に生まれたブリジット・バルドーは、1950年代のフランス映画界で瞬く間にスターダムを駆け上がった。特に1956年に公開されたロジェ・ヴァディム監督作『素直な悪女』への出演は、バルドーの運命を決定づけるものとなった。母国フランスで「BB(ベベ)」の愛称で親しまれ、その圧倒的な美貌と奔放な魅力で、50年代における「性の解放」の象徴として世界的なブームを巻き起こした。生涯で出演した映画は50本近くにのぼり、映画界におけるアイコニックな地位を不動のものとした。
主な代表作には、マルチェロ・マストロヤンニと共演したルイ・マル監督作『私生活』(1962)、名匠ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』(1963)、ルイ・マル監督と再びタッグを組んだ『ビバ!マリア』(1965)などがある。
一方で、絶頂期にあったブリジット・バルドーは、華やかな銀幕の世界から身を引くという決断を下す。名声よりも動物たちの命を守ることに自らの使命を見出し、活動家に転身した後は自身の財団を通じて動物福祉の向上に尽力した。一方で、晩年は人種差別を扇動したとして複数回にわたり罰金刑を受けるなど、その過激な言動が物議を醸すことも少なくなかった。光と影を併せ持ちながら、最後まで自身の信念を貫き通したバルドーの死は、1つの時代の終焉として世界中に大きな衝撃を与えている。
記事/和田 萌

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