『Rip/リップ』出演のマット・デイモンとベン・アフレックが明かす映画制作の変化―「スマホ時代の視聴者」をどう引き留めるか
マット・デイモンとベン・アフレックが、ポッドキャスト番組『ジョー・ローガン・エクスペリエンス(原題:The Joe Rogan Experience)』に出演し、Netflixが映画制作で重視するようになった新たな考え方について語った。話題となったのは、スマートフォンに気を取られがちな現代の視聴スタイルを前提にした、ストーリーの在り方だ。
二人は、主演とプロデューサーを兼ねるNetflixの新作映画『Rip/リップ』(2026)のプロモーションを行う中で、劇場で映画を観る体験と自宅での視聴との違い、そしてその違いが映画制作にどのような影響を与えているのかについて意見を交わした。
「劇場体験は教会のようなもの」と語るマット・デイモン
まずデイモンは、大画面で映画を体験することの特別さについて語った。
「家族と一緒にIMAXで『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025)を観に行ったのですが、あの感覚は他に代えがたいものがありましたね」
「見知らぬ人たちと同じ空間にいながら、同じ体験を共有する。その感覚は、もはや同じコミュニティに属しているようなものです。私はいつも、映画館に行くのは教会に足を運ぶのに似ていると言っています。決まった時間に行かなければ始まってしまい、待ってはくれませんから」と話す。
一方で、デイモンは自宅での視聴はまったく異なる体験だとも指摘した。
「家で観ていると、部屋の明かりはついたままですし、途中で用事が入ったり、子どもや犬が走り回ったりもする。どんなに気をつけていても、映画に向けられる集中力のレベルは下がってしまうんです」
Netflixが求める『最初の5分の大掛かりなシーン』とプロットの反復
さらにデイモンは、視聴環境の変化が映画制作そのものにどのような影響を与えているのかについても踏み込んだ。
「例えばNetflixの場合ですが、これまでアクション映画で共有されてきた定石は、見せ場を三つ用意するというものでした。第一幕に一つ、第二幕に一つ、第三幕に一つ。そして最も大掛かりな爆発やアクションを第三幕に配置し、予算の多くをそこに注ぎ込む。それがフィナーレになるという考え方です」
ところが、今はその常識が変わりつつあるという。
「いまNetflixが考えるのは、『最初の5分で大きな見せ場を作れないか』ということ。とにかく視聴者を引きつけ続けたいからです。さらに、スマートフォンを操作しながら観ている人も多いので、会話の中で物語の要点を会話の中で3回、4回と繰り返しても問題ない、という発想になっています」
また、デイモンは「こうした考え方は、物語そのものに影響を与え始めている」と述べ、ストーリーテリングの変化を示唆した。
「現代の手法に頼る必要はない」ベン・アフレックの見解
この発言を受け、アフレックはワンカット作品として注目を集めたNetflix作品『アドレセンス』(2025)を引き合いに出した。
「でも『アドレセンス』を観れば分かるでしょ?あの作品は、そうした手法を一切使っていないですよね。それでも本当に素晴らしかったと思います」と語る。
その意見には、マット・デイモンも同意をしつつも「むしろそれが例外のように感じられる」とし、「そういった作品が例外にはならないでほしい」と付け加えた。
さらに、ベン・アフレックは「あの作品はそうした手法に頼らなくても、十分に視聴者を引き込めることを示していると思います」と述べ、いわゆるスマートフォン前提の作り方が、必ずしも視聴者獲得の方法にはならないことを強調している。
ストリーミングは「存在を脅かす脅威ではない」
そして、話題は次第にストリーミングと映画館の関係性へと広がっていった。アフレックは、ストリーミングが映画館の存在を脅かすものだという見方に、はっきりと否定的な考えを示す。
「状況は常に変わっていくものです」と前置きしつつ、「テレビが登場したときも、映画館に足を運ぶ人は確かに減りました。それはこれからも続くでしょう」と語る。
その一方で、「それでも、人々は映画館に足を運び続けるとは思いますよ。例えば、『オデッセイ』(2015)を劇場で観ることは唯一無二の特別な体験だと思うので」と続けた。
さらにアフレックは、「映画はこれからも、劇場で観るものとして残り続けます。そこは変わらないと断言できます」と述べ、劇場体験そのものの価値が失われることはないと強調した。
『Rip/リップ』の制作で示したNetflixへの新条件とは?
デイモンとアフレックが宣伝していたNetflix映画『Rip/リップ』(2026)は、二人が設立した制作会社を通じて手がけられた作品だ。
二人は本作にあたり、Netflixに対して新たな条件を提示したという。
それは、作品が好調な成績を収めた場合、制作に関わったスタッフにもボーナスが支払われる仕組みを設けること。この契約は、前払いのみを基本としてきたNetflixの従来のビジネスモデルに、一石を投じるものでもある。
スマートフォン時代を意識した制作が広がる一方で、マット・デイモンとベン・アフレックは、映画館での体験やこれまで受け継がれてきた映画の価値も大切にしていることがわかる。
その両立を模索する姿勢こそが、これからの映画制作の行方を考えるうえで、一つの手がかりとなりそうだ。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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