ハリウッド再編が加速──Netflixの現金提示でワーナー買収戦が新局面へ
Netflixが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)買収提案の条件を大きく修正した。
同社は1月21日、従来の提案に含まれていたNetflix株による支払いを取りやめ、全額現金による買収案に変更したと発表した。
この修正により、Netflixはワーナー・ブラザース(WB)を1株当たり27.75ドル(約 4,412円)の現金で取得する方針となり、ディスカバリー・グローバルは分離・独立した企業として存続することになる。
Paramountとの対立が激化
この動きは、WBD全体を1株30ドル(約 4,770円)の全額現金で買収すると主張するパラマウント(Paramount)に対し、強い圧力をかけるものだ。
Paramount側は、自社提案のほうが「明確に優れている」と主張してきたが、Netflixの条件修正によって買収合戦は新たな局面を迎えた。
焦点はディスカバリー・グローバルの企業価値
今後の争点となるのが、分離後のディスカバリー・グローバルの評価額だ。
Netflix案では、ワーナー・ブラザースとディスカバリーが切り離されるため、株主にとっては「WBの現金対価+ディスカバリー株の価値」の合算評価が重要となる。
WBDは同日提出した委任状説明書の中で、ディスカバリー・グローバルの理論的株価を1株1.33ドル〜6.86ドル(約 211円〜約 1,091円)とする複数の算定結果を公表した。
- 類似上場企業比較(企業全体ベース):1.33〜3.24ドル
- 事業別評価(サム・オブ・ザ・パーツ):2.41〜3.77ドル
- 取引事例分析:4.63〜6.86ドル
一方、Paramountは今月初めの提出書類で、ディスカバリーの価値は実質ゼロ〜最大でも0.50ドル程度に過ぎないと主張しており、両社の評価には大きな隔たりがある。
評価額上方修正の背景
WBDによれば、Netflixとの当初合意時点では、ディスカバリーの想定評価額は0.42〜2.09ドルとされていた。しかし、その後の業績改善や算定精度の向上を踏まえ、今回の上方修正に至ったという。
株主総会とプロキシーファイトの可能性
デヴィッド・エリソンは今月、ディスカバリーの評価算定に関する詳細情報の開示を求めてWBDを提訴。あわせて、委任状争奪戦(プロキシーファイト)に発展する可能性も示唆している。
WBDは特別株主総会の開催を正式に認めており、Paramountが対抗する場合、株主にNetflix案の否決を訴える必要がある。総会の日程は現時点では未定だ。
NetflixとWBDは「迅速な完了」を強調
NetflixおよびWBDの経営陣は、今回の条件修正により、規制面を含めた手続きがより迅速に進むとの見方を示している。
WBDのデヴィッド・ザスラフCEOは次のようにコメントした。
「今回の修正合意により、世界最高峰のストーリーテリング企業同士が統合される未来に、さらに近づいた。100年以上にわたり人々を魅了してきたワーナーの物語を、次の世代へと届けていく」
Netflix共同CEOのテッド・サランドスも、「この取引は株主、視聴者、クリエイター、そして業界全体にとって最良の結果をもたらす」と強調している。
※1ドル=約159円前後のレートで換算。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- トランプ大統領、Netflixによるワーナー・ブラザース買収案に言及「問題になり得る」と警戒感も
- ジェーン・フォンダ、Netflixのワーナー買収を痛烈批判──「表現の自由を脅かす憲法上の危機」
- Netflixがワーナー買収、創業者の孫が複雑な心境を明かす「映画館での上映を守らなければならない」
- 世界を揺るがした2025年「ハリウッド事件簿」総まとめ――有名スターの炎上から企業買収、大コケ映画まで徹底解説
- 東宝グループが日本アニメのヨーロッパ展開を加速——英配給会社を買収&欧州新拠点を設立
