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全世界1,000億円突破!『「鬼滅の刃」無限城編』誕生の裏側に迫る――ufotable創設者が語る「2D×3DCG」アニメ制作術

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『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:Koyoharu Gotoge SHUEISHA Aniplex ufotable/Sony Pictures
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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昨年7月に日本で、そして9月に全米で公開されたアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下「無限城編」)は、全世界興行収入1,063億円(2025年11月時点)を記録した。これにより、本作は日本映画史上初となる全世界興行収入1,000億円突破の快挙を成し遂げた。

アニメが世界的なメインストリームへと躍進する中で、本作が重要な節目の一つとなったことは間違いない。3部作である「無限城編」は、第二章・第三章の興行収入の行方も注目されている。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

本作の大ヒットを仕掛けた立役者が、外崎春雄監督とプロデューサーの近藤光氏だ。近藤氏は『鬼滅の刃』シリーズのアニメーション制作を手掛けるスタジオ、ufotableの創設者でもある。近藤氏は、カジュアルな雰囲気で協力的、かつアーティスト主導のアニメスタジオを作りたいという意向から、2000年にufotableを創設した。

『劇場版 空の境界』シリーズ(2007~2013年)や『Fate』シリーズ(2011年~)などを手がけた同スタジオは、手描きアニメーションと高度なCGを融合させた緻密な作画と、映画のようなカメラワークにより、日本のアニメ業界で高い評価を得ている。

米『ハリウッド・リポーター』は近藤氏にインタビューを行い、「無限城編」大ヒットの裏側や『鬼滅の刃』シリーズの今後を聞いた。


無限城への挑戦──「無限」をどう映像化するか

――無限城はシリーズの中でも最も印象的な舞台の一つです。近藤さん率いるチームが「無限城編」3部作に着手した時、無限城のビジュアルをどのように映画化しようと考えましたか?

遡ると、当初のアイデアは「無限城を大スクリーンに映し出そう」という非常にシンプルなものでした。スタジオとして、そしてプロデューサーとして、「ファンの皆さんが見たいものを作りたい」という思いが第一にありました。

同時に、私たちは自問自答を繰り返しました。無限城に入るとは一体どんな体験なのか?「無限」を視覚的にどう表現するか?キャラクターはこの空間でどのように走ったり、戦ったりするのか?……その結果、本作は非常に大きな挑戦になりました。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

私は脚本と絵コンテの監修を担当しているので、絵コンテの本来の目的についてよく考えます。私にとって絵コンテは「出発点」、つまりアイデアを引き出すものです。この枠組みを作った後、個々のアニメーターたちが「この部分で新しいアクションシーンを試してみたい」「ここでカメラの動きを試してみたい」といった反応をしてくれるのです。ufotableには約300人のスタッフがいます。私の役割はスタジオにきっかけを与え、アニメーターたちがその挑戦に立ち向かうのを見守ることです。

ufotableのメンバーは全員が社内スタッフで、長年一緒に仕事をしているメンバーもたくさんいます。だからこそ、各シーンを得意とするアニメーターは誰か、見極めることができるのです。たとえば、キャラクターが接触するシーンやCGを使った水の表現など、それぞれ得意とするアニメーターがいます。

絵コンテを描きながら、どのアニメーターがどのシーンを担当するか考えています。それと同時に、彼らが私の期待を超えてくれることも期待しています。このプロセスには深い信頼関係が必要です。その結果、皆さんの観る映画が生まれるのです。

続編の構想とハリウッド進出の可能性は?

――「無限城編」の製作費は約2,000万ドル(約31億円)と報じられています。これは日本のアニメ映画としては非常に高額ですが、ハリウッドの長編アニメーション映画と比べるとかなり安価です。この製作費は正確な情報でしょうか?また、第一章の大ヒットを受け、続編の製作費はもっと潤沢になる計画ですか?

残念ながら、正確な製作費はお伝えできません。質問に質問で返してしまいますが、もし約31億円という情報が正確だとしたら、第二章の製作費はどれくらいが適切だと思いますか?

――ハリウッドでは、全世界興行収入7億ドル(約1,090億円)を超える映画であれば、続編に1億~1億5,000万ドル(約156億~234億円)の製作費をかけることは難しくないでしょう。

ありがとうございます。実は隣に、配給会社・出資者であるアニプレックス経営幹部の高橋祐馬氏がいます。彼に聞いてみましょう。

〔高橋氏〕今お話しいただいた製作費はかなり巨額ですね。まだ正式にはお伝えできませんが、続編については誠心誠意、最善を尽くします。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 写真:ⓒ吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

――ありがとうございます。『鬼滅の刃』シリーズの成功は、ハリウッドでもますます注目を集めています。多くのアナリストが、「すべての大手スタジオ、特にディズニーは本格的な日本アニメ戦略を立てるべきだ」と提唱しています。本シリーズの成功によって、ハリウッドスタジオからの問い合わせは増えましたか?また、ufotableは社内完結型の制作スタイルですが、ハリウッドスタジオとの共同制作は可能でしょうか?

実は、以前からさまざまな問い合わせやオファーをいただいており、一つ一つのプロジェクトを個別に検討しています。重要なのは、各プロジェクトにどうアプローチすべきか?どのようにアニメ化すべきか?各作品をどう表現すべきか?そして、ファンの皆さんに最も楽しんでもらうにはどうすべきか?という点です。

ufotableという制作会社は、作品ごとに変化してきました。ビジネスの観点から見ても、すべてのプロジェクトを同じモデルで行ってきたわけではないのです。チームや機会が拡大しても、この基本的なアプローチは変わりません。これからもすべてのプロジェクトを慎重に検討していきます。

「持続可能なスタジオ」を目指して――試行錯誤のアニメ制作

――近藤さんは2000年に30歳でufotableを設立されました。日本のアニメ業界はアニメーターの報酬が低く、スタジオの利益率も悪いなど、過酷な状況で知られてきました。しかし、今では日本アニメは世界的ムーブメントとなり、「無限城編」は日本映画史上最高の興行収入を叩き出しています。近藤さんから見て、この道のりはどのようなものでしたか?

かつて、日本のアニメ業界は非常に厳しいものでした。私は経営者側よりも制作現場に近い立場にあり、常にスタジオにいましたが、20年前の労働環境は到底良いものとは言えませんでした。しかし、その時代から共に仕事をしてくれるメンバーがここまで残ってくれています。これは、私とスタジオにとって最大の功績であり財産の一つです。

現在では、こうした変革の恩恵を受けたベテランスタッフに加え、熱心に入社を希望してくれる新卒スタッフが毎年います。最も重要なのは、ビジネスが持続可能であり、スタッフ全員を支え続けられることです。

――ufotableのアニメーションは、2Dと3DCGをシームレスに融合させることで知られています。フレームレートの向上やAIツールなど、テクノロジーは急速に進化しています。こうした技術の進歩と、アニメファンが支持している「2Dの人間味」の両立について、どう考えていますか?

スタジオは成長しましたが、基本的なアプローチは変わっていません。まず「これを視覚的に表現したい」というアイデアから始め、それをストーリーボードに落とし込みます。そこから先は常に試行錯誤の連続です。

満足のいくショットになるまで、何十回も修正を重ねることもあります。その過程で新しいツールやテクニックを試していくのです。あるシーンでは失敗しても、別のシーンでは上手くいくこともあります。締め切りがある中で試行錯誤とフィードバックを繰り返すことが、私たちの技術の源となっています。まず2Dで試してみて、次に3Dで試し、調整していきます。

アニメーターたちは生まれつき天才的な才能を持っているわけではなく、努力、反復、そして経験を通じてスキルを身につけていきます。スクリーンに映し出されるアニメは、こうしたプロセスの積み重ねの結果なのです。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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