2026年アカデミー賞ノミネート分析|『罪人たち』16部門と国際映画台頭の理由
2026年のアカデミー賞ノミネートは、単なる作品評価にとどまらず、映画界の「価値観の転換」を鮮明に映し出す結果となった。
『罪人たち』の歴代最多級16部門ノミネート、非英語映画の躍進、そして続編大作の失速――。
今年のアカデミー賞ノミネート作品から見えてくる“決定的な変化”を整理する。
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■ アカデミー賞、『罪人たち』が最多16部門ノミネート 作品賞争いの新たな軸に
まず最大のトピックは、『罪人たち』が史上最多となる16部門ノミネートを獲得したことだ。演技、脚本、音楽、技術部門まで幅広く評価され、ノミネートの「取りこぼし」がほぼなかった点も際立つ。

一方、同じワーナー作品である『ワン・バトル・アフター・アナザー』も有力候補であり、同一スタジオ作品同士が作品賞を争うという珍しい構図が生まれた。ノミネート数が必ずしも作品賞受賞に直結するわけではないが、16部門という数字は無視できないインパクトを放っている。

■ 非英語映画が記録的躍進 アカデミー賞は“国際映画の時代”へ
- ワグネル・モウラ、『シークレット・エージェント』より 写真:Neon/Everett Collection
- 映画『センチメンタル・バリュー』より © 2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE
今回のノミネートで改めて明確になったのが、非英語映画の存在感の拡大だ。英語以外の言語を主とする作品が計22ノミネートを獲得し、主要部門にも複数進出した。
ブラジル作品の『シークレット・エージェント』や、ノルウェー作品『センチメンタル・バリュー』は作品賞候補に名を連ね、俳優部門でも、非英語作品での演技が複数評価された。とりわけ、ステラン・スカルスガルド(映画『センチメンタル・バリュー』)は、アカデミー賞外国語映画で初の助演男優賞のノミネートとなった。
アカデミー会員の約4分の1が米国外在住となった現在、字幕映画はもはや特別な存在ではない。
■ 前哨戦はもはや予測不能 ギルド賞とオスカーの乖離が鮮明に
ギルド賞や批評家賞と、アカデミー賞の投票結果の乖離も目立った。
SAG賞やDGA賞(全米監督協会賞)では評価されなかった非英語作品や俳優が、アカデミー賞ではしっかりと支持を集めている。
前哨戦は依然として参考材料ではあるものの、その結果だけでオスカーの行方を占う時代は終わりつつあると言えるだろう。

■ 作品賞候補に票が集中 演技賞ノミネートの偏りが示す変化
今回のノミネートでは、演技賞・脚本賞を中心に、作品賞候補作からの選出が極端に多い点も印象的だった。
比較的若い世代の会員が増えた結果、鑑賞作品数が限られ、評価が「見た作品」に集中する傾向が強まっている可能性がある。

■ 続編映画に逆風 『ウィキッド』『アバター』が直面した現実

注目を集めていた続編作品の苦戦も見逃せない。
『ウィキッド 永遠の約束』は全部門においてノミネート漏れとなり、『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』も技術部門のみにとどまった。
これは大作や娯楽作そのものへの否定ではなく、「シリーズを重ねること自体」への警戒感が強まっている結果と見る向きが多い。
■ 2026年オスカー作品賞レース展望 二強対決の行方は
現時点での作品賞争いは、『ワン・バトル・アフター・アナザー』と『罪人たち』の二強が軸となる展開だ。
監督賞、主演男優賞、助演賞、技術部門など、両作は多数のカテゴリーで直接対決となっている。
授賞式まで残された時間はまだ十分にあり、キャンペーンや話題性次第で流れが変わる余地も大きい。2026年のアカデミー賞戦線は、最後まで予断を許さない展開となりそうだ。
■ 記事内で紹介した作品・日本公開情報
ヨアキム・トリアー監督の『センチメンタル・バリュー』は2026年2月20日全国公開。『ウィキッド 永遠の約束』は2026年3月6日、クロエ・ジャオ監督の『ハムネット』は2026年4月10日、クレベール・メンドンサ・フィリオ監督の『シークレット・エージェント』は2026年日本公開予定。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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