【ベルリン国際映画祭2026】金熊賞は政治弾圧描く『Yellow Letters』│染谷将太主演の日本映画『チルド』がフォーラム部門で受賞!
現地時間2月21日(土)、第76回ベルリン国際映画祭の授賞式が開催され、『Yellow Letters(原題)』(イルケル・チャタク監督)がコンペティション部門の金熊賞(最高賞)に輝いた。
日本からは、染谷将太主演のホラー映画『チルド』(岩崎裕介監督)がフォーラム部門で国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞した。
コンペティション部門に出品された日本のアニメーション映画『花緑青が明ける日に』(四宮義俊監督)は、惜しくも受賞を逃した。
芸術家の弾圧描く『Yellow Letters』が金熊賞――政治色が濃い授賞式に
『Yellow Letters』は、トルコ政府に弾圧される2人の舞台芸術家を描いている。アンカラとイスタンブールを舞台とする同作だが、チャタク監督の出身地であるドイツで全編撮影された。ドイツ人監督が金熊賞を受賞するのは、『愛より強く』(2004年)のファティ・アキン監督以来となった。
審査員長を務めた映画監督のヴィム・ヴェンダースは、「全体主義の政治的な言語と、映画の共感的な言語が対峙するドラマ」と同作を評した。この映画祭の記者会見で、ヴェンダースは「映画製作者は政治に介入すべきではない」と発言して物議を醸したが、最終的に考えを覆す結果となった。

今年のベルリン国際映画祭授賞式は、政治色の強さが目立った。『Someday a Child(原題)』で短編部門の金熊賞を受賞したレバノン人映画監督マリー=ローズ・オスタは、中東でのイスラエルによる軍事攻撃や「国際法の崩壊」を非難した。
短編映画部門の審査委員長を務めたシリア人監督アミール・ファケル・エルディンは、「複雑さを主張してください」とアーティストたちに訴えた。
注目の俳優ザンドラ・ヒュラーらが銀熊賞受賞
銀熊賞(主演俳優賞)は、オーストリア人監督マルクス・シュラインツァーの『Rose(原題)』に出演したドイツ人俳優、ザンドラ・ヒュラーが獲得した。17世紀のドイツの農村を舞台とする同作で、ヒュラーは男性として生きる女性を演じた。
ヒュラーは『落下の解剖学』(2023年)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実力派俳優だ。3月公開のライアン・ゴズリング最新作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督)、今年公開のトム・クルーズ最新作『DIGGER/ディガー』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)にも出演し、ハリウッド進出を果たした。

銀熊賞(助演俳優賞)は、ランス・ハマー監督の『Queen at Sea(原題)』で老夫婦を演じたイギリスの名優、アンナ・カルダー=マーシャルとトム・コートネイの2人に贈られた。本作で、カルダー=マーシャルは認知症の女性を、コートネイはその介護をする夫を演じた。主演はジュリエット・ビノシュ。同作は銀熊賞(審査員賞)も受賞した。
銀熊賞(監督賞)は『Everybody Digs Bill Evans(原題)』の監督、グラント・ジーが受賞を果たした。本作は世界的ジャズピアニストのビル・エヴァンスを描いた伝記映画で、『センチメンタル・バリュー』のノルウェー人俳優アンデルシュ・ダニエルセン・リーがエヴァンスを演じた。
銀熊賞(審査員大賞)は、トルコ人監督エミン・アルペルの『Salvation(原題)』が獲得した。同作は、孤立したトルコの山岳地帯の村で巻き起こる土地をめぐった争いを描いている。スピーチでアルペル監督は、「パレスチナの人々、圧政に苦しむイランの人々、クルディスタンの人々、そして私の祖国の国民よ、あなたたちは孤独ではありません」と語りかけた。
▼第76回ベルリン国際映画祭 受賞結果一覧
■コンペティション部門
金熊賞(最高賞)
『Yellow Letters(原題)』(イルケル・チャタク監督)
銀熊賞(審査員大賞)
『Salvation(原題)』(エミン・アルペル監督)
銀熊賞(審査員賞)
『Queen at Sea(原題)』(ランス・ハマー監督)
銀熊賞(監督賞)
グラント・ジー『Everybody Digs Bill Evans(原題)』
銀熊賞(主演俳優賞)
ザンドラ・ヒュラー『Rose(原題)』
銀熊賞(助演俳優賞)
アンナ・カルダー=マーシャル、トム・コートネイ『Queen at Sea(原題)』
銀熊賞(脚本賞)
ジュヌヴィエーヴ・デュリュド=ド・セル『Nina Roza(原題)』
銀熊賞(芸術貢献賞)
『Yo (Love is a Rebellious Bird)(原題)』(アンナ・フィッチ&バンカー・ホワイト監督)
■パースペクティブ部門
GWFF最優秀長編映画賞
『Chronicles From the Siege(原題)』(アブダッラー・アル=ハティーブ監督)
スペシャル・メンション
『Forêt Ivre(原題)』(マノン・クビア監督)
■ベルリン国際映画祭ドキュメンタリー賞
『If Pigeons Turned to Gold(原題)』(ペパ・ルボヤツキ監督)
■短編映画部門
金熊賞(最高賞)
『Someday a Child(原題)』(マリー=ローズ・オスタ監督)
審査員特別賞
『A Woman’s Place Is Everywhere(原題)』(ファニー・テクシエ監督)
■フォーラム部門
エキュメニカル審査員賞
『River Dreams(原題)』(クリスティナ・ミハイロワ監督)
国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)
『チルド』(岩崎裕介監督)
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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