第1回Cinema at Sea沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル2023が開幕
第1回Cinema at Sea沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル2023が23日、開幕した。
海洋文化を通して島々をつなぎ、沖縄がその発信基地となるべく立ち上がった映画祭。
那覇市のホテルコレクティブで行われたオープニングレッドカーペット、セレモニーにはアンバサダーを務める俳優の尚玄、映画祭理事で監督・俳優の東盛あいか、コンペティション部門の審査員長を務めるイランのアミール・ナデリ監督、コンペに選出された「水いらずの星」の主演でプロデュースも手掛けた河野知美ら多彩なゲストが出席した。
エグゼクティブディレクターの黄インイク氏は、「きょうが映画祭の誕生日。絶対に長く続け、地域の国、島々の人が集まり沖縄の映画史に羽ばたく映画祭にしたい」と宣言。沖縄出身の尚玄も、「沖縄で国際映画祭を開催することは長年の夢だった。映画を通して、世界から集まった人々との交流の場をつくりたい。多様性や社会問題を扱った作品もあるので、皆さんで語り合いましょう」と呼びかけた。
初めて沖縄を訪れたナデリ監督は、「これまで国際映画祭で世界中を飛び回っているが、素晴らしい土地、人々で新しいことを起こそうとしていることが重要」と評価。「世界に向けて発信する拠点として、新しい監督が生まれることを期待している」と語った。
この日は、既存の枠組みを打ち破る革新的な映画表現を広げてきたとして、石垣島出身の高嶺剛監督とそのスタッフ、キャストを「第1回マブイ特別賞」として表彰。高嶺監督は、「マブイはスピリット、魂と表現されるが沖縄のマブイはちょっとニュアンスが違う。戦争で亡くなった人々、沖縄の空気からマブイを感じてとれるが重要」と説明した。
その上で、「沖縄のマブイを追い求め、沖縄でしか撮れない映画を目指していきたい」と話し、既に新作の製作に入っていることを告白。85年「パラダイスビュー」に主演の小林薫、同作の音楽を手掛けた細野晴臣からも祝福のメッセージが寄せられた。
映画祭はコンペのほか、ハワイ出身のクリストファー・マコト・ヨギ監督の特集上映、VRセレクションなど多彩なラインナップで、29日までの会期中、37作品が上映される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元