森田剛、戦時中のアナウンサー演じた主演映画公開に感無量「大切な人を守ることを考えて」
俳優の森田剛が16日、主演した『劇場版 アナウンサーたちの戦争』の東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた初日舞台挨拶に一木正恵監督とともに出席した。
太平洋戦争で、ラジオ放送による声の力を戦意高揚、国威発揚に利用した日本軍に翻ろうされた日本放送協会のアナウンサーたちそれぞれの正義を描く、史実に戻づく物語。森田は、開戦ニュースと玉音放送の両方に関わり伝説のアナウンサーと称された和田信賢を演じた。
昨年8月にNHKで放送されたドラマ「アナウンサーたちの戦争」を再編集した映画版。終戦記念日翌日の公開に「監督がずっと映画にしたいと言っていて、この日を迎えられた。素敵な作品に携われて光栄です」と感慨深げに話した。
和田は戦況が悪化するにしたがって、大本営の発表、偽の情報を伝えることに疑問を抱いていく。「アナウンサーとして純粋に言葉には力があると信じて、自分の言葉で国民を楽しませたい、明るくしたいと思ってしゃべっていた人だと思う」と分析した。
役づくりに当たっては現役のアナウンサーらにもアドバイスを受けたが、「『自分らしくやってください』と言われて、特別にこう言おうというのではなく、芝居の延長として言葉に引っ張られてその人になっていくことを意識して演じた」と解説。撮影中から「言葉の力」について常に考えられるようになり、「言葉に救われることがある半面、人を傷つけてしまうこともある。便利で自由な時代だからこそ何を信じればいいかは難しいところだが、自分を信じて自分、周りに優しくなればというシンプルなことでいいのかなと思うし、確実に言葉には力があると考えています」と真摯に話した。
自身や周囲が知らなかった史実であり、「未来ある若者に見てほしいという思いがあった」と出演を決めた動機を語った森田。「事実なので、昔話ではなく今の話。この映画を見て、自分や大切な人を守るということを皆が考える時間になればいいなと思っています」と言葉に力を込めた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元