AFMで紹介される『リスボン丸沈没』と『只此青绿』、中国映画市場の多様性が注目される
ファン・リー(方励)は、漁師から聞いた話がきっかけで、『リスボン丸沈没』の制作が始まるとは信じられない思いだった。
2014年、ファンはプロデューサーとして『いつか、また(原題:后会无期)』の撮影中に、浙江省東部沿岸から東極島へ向かう途中だった。その時、漁師が語った70年以上も語られなかった物語を耳にしたのだ。
それは1942年10月1日の出来事で、日本の軍用貨物船が1,816人のイギリス軍捕虜を船底に隠しながら香港から日本へ向かっている途中、米潜水艦「USSグルーパー」によって魚雷攻撃を受けたというものだった。
攻撃を受け、船がゆっくりと沈んでいく中で、日本軍は捕虜たちを船倉に閉じ込めたままにしていた。しかし、捕虜たちは命がけで抵抗し、船倉から脱出して海に飛び込んだが、日本軍は彼らに発砲した。その後、中国の漁師たちが現れ、彼らを海から救い上げ始めた。結果として384人が生き延び、828人が船倉や海の中で命を落とした。
ファンは「歴史についてそれなりに知識がある自分が、こんな話を全く知らなかったことに驚きました。地元の人々に聞いたり、自分でも調べてみましたが、本当に実際にあったことでした」と語った。
ファンは、この話を映画にするべきだと直感した。しかし、『リスボン丸沈没』が完成するまでには6年がかかった。まず、1942年以来手つかずのまま海底に横たわる沈没船を見つけ出し、事件の目撃者や生存者を探さなければならなかった。
「当時、西側諸国は主に西側戦線に目を向けていて、極東の状況にはあまり関心を持っていませんでした」
「さらに、戦争という大きな状況の中では、これは小さな事件に過ぎなかったため、あまり語られることもなかったのです。最初の目撃者たちの家族にインタビューをした時、圧倒的な悲しみが胸に迫ってきました。この物語には、作り話では表現できない数々の喜びや悲しみが詰まっていました」
『リスボン丸沈没』は、ラスベガスで開催される今年のアメリカン・フィルム・マーケットにて、中国映画ブースで紹介される2本の作品のうちの1つで、中国映画合作公司(CFCC)が中国映画業界からの多様なコンテンツの成長をアピールしている。
その多様性が存分に発揮されているのが、中国映画ブースが紹介するもう1つの作品であるドラマ『只此青绿(原題:只此青绿、英題:A Tapestry of A Legendary Land)』である。一見すると『リスボン丸沈没』とは何の共通点もないように見えるが、実はどちらの作品も中国の歴史における知られざる章を映像として掘り下げている点で共通している。
『只此青绿』の物語は、現代の架空の遺物研究者が、北宋時代(960-1127年)に活躍した画家・希孟に会うために時空を超えて旅をする姿を描く。希孟は有名な中国画『千里江山図』を18歳前後で完成させたとされるが、その後の文献には一切登場せず、作品自体もその脆弱さゆえにほとんど一般に公開されることがないという謎に包まれている。この映画はセリフを使わず、ダンスだけでその絵がどのようにして生まれたのかを想像力豊かに表現している。
しかし、ラスベガスの中国映画ブースで紹介される作品は『リスボン丸沈没』と『只此青绿』だけではない。ブースでは、50以上の中国映画会社と200本以上の映画が展示され、歴史や文化に根ざしたジャンルにわたっており、『射鵰英雄伝:侠之大者』や『封神第一部:朝歌風雲』などの有名小説を原作とする作品や、『走走停停(原題)』『好东西(原題)』『雲邊有個小賣部(原題)』といった現代的な物語、アニメーション作品『白蛇:浮生(原題)』、大人気の『熊出没』シリーズの最新作『熊出没・逆転時空』、『雄獅少年/ライオン少年』なども含まれる。
「CFCCは、AFM(アメリカン・フィルム・マーケット)向けの映画ラインアップについて、「国内映画の国際的な取引を促進するだけでなく、リソースの共有やグローバル市場での協力を促進することを目指している」と声明で述べている。
「将来的には、中国映画ブースが中国の映画製作者にとって国際的な交流の場を広げ、より多くの中国映画を世界中の観客に届ける機会を増やしていきたいと考えている」
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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