『イカゲーム』シーズン3の展開はどうなる?スピンオフの可能性も…製作者にインタビュー
[本記事には、『イカゲーム』シーズン2のネタバレが含まれています。]
Netflixの大ヒットシリーズ『イカゲーム』のシーズン2は12月26日に配信開始され、記録的な視聴数を叩き出した。
シーズン2では、前回の優勝者のギフン(イ・ジョンジェ)がゲームを完全に終わらせるという新たな目標に向かう姿が描かれる。しかしギフンの奮闘は、成功には程遠いものだった。
裏で物語を操る真の「フロントマン」であるファン・ドンヒョクが、シーズン2の展開、ファイナルとなるシーズン3に込めたテーマ、そしてギフンの物語が完結した後の『イカゲーム』の行方について語った。
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―――シーズン2の制作に役立ったアイデアはありますか?
シーズン1はギフンが飛行機に乗るのをやめ、電話を受けて「なぜこんなことをするのか知りたい」と誓いを立てる場面で終わります。シーズン2では、ギフンがゲームの背後にいるフロントマンら主催者たちを追うことを想定しており、彼がゲームを止めるために何をするのかという物語にしたいと考えていました。
それがギフンの物語です。しかし、フロントマンについてはどうでしょうか?彼は、ギフンがゲームを止めるのを阻止しようとする人物です。最終的には、彼らの信念や世界観の闘いとなるでしょう。そういった物語を、シーズン2全体に貫かせたいと思いました。
出場者には新たな001が必要だったので、フロントマンをゲームに登場させるというアイデアを思いつきました。ギフンは彼の顔を知らず、声だけを知っているからです。そこで、フロントマンがゲームに参加し、ギフンを助けるふりをしながら実際には彼の試みをすべて失敗に導いていくという物語を描こうと考えました。
―――シーズン2のなかで、フロントマンがギフンに対して同情的な瞬間はありますか?それとも、終始彼を操っていると思いますか?
フロントマン、つまりイノは、ギフンと非常によく似た目的でイカゲームに参加した人物です。彼も同じように残酷さを経験し、人間性の底辺を目の当たりにし、深く失望しました。その結果、人間性を完全に手放し、主催者となったのです。まるで、ジェダイになれなかったダース・ベイダーの物語のようにね。
同時に、彼がギフンに抱いている感情は「憎しみ」です。彼はギフンを見下し、上に立つことを望んでいます。しかし心の奥底では、ギフンがゲームで自分の時と同じ試練を乗り越えるのを目の当たりにし、ギフンが人間性を守ろうと努力している姿を見ると、フロントマンは奇妙な劣等感や敗北感を抱いているのではないかと思います。
さらにその奥には、彼がギフンに対して少しの敬意を抱いている可能性もあると感じています。それは、フロントマンを演じたイ・ビョンホンと準備段階に沢山話し合ったことでもあります。そういった解釈を基に作り上げたため、その心理がキャラクターを通して垣間見える瞬間があります。ギフンを見ることで、フロントマンは自分が手放し、失ったものに気づかされます。ひそかに、ギフンに戦い続けてほしいと思っているかもしれません。
―――それは、フロントマンに何らかの希望があることを意味しますか?
答えは、シーズン3で分かります。その問いへの答えが用意されていますよ。
―――シーズン2は、ギフンの親友がフロントマンに撃たれて幕を閉じます。なぜ、この場面で終わらせることにしたのでしょうか?
シーズン2は、ギフンのすべての試みが失敗に終わるところで締めくくりたいと考えていました。最初の試みは傭兵たちを集め、追跡用インプラントで島の場所を特定することでした。次は投票システムを通じて大多数の人々を説得し、ゲームから脱出させようとすること、そして最後の試みが反乱を率いることでした。その過程で犠牲を出さざるを得ませんでしたが、すべてが失敗に終わってしまいます。
その代償として、フロントマンの手によって最も大切な親友を失うことになります。シーズン2をまさにその瞬間で終わらせ、次は莫大な罪悪感と敗北感に苛まれた状態から始めたいと考えていました。そこから、ギフンがどこへ向かっていくのかを見てみたかったのです。
―――反乱の前にも、XチームとOチームの戦いがありましたね。T.O.P演じるサノスがここで死ぬとは衝撃的でした。
最後の反乱は、システムに対するものでした。しかしOとXの戦いは、そのシステムによって支配され、制御されている人々の間で起きるのです。これは、今の現実をよく反映していると考えています。イデオロギーの対立に限らず、世界中で多くの分断や戦争が起きています。私たちは、自分たちを分断する方法を次々と生み出しています。すべての人を敵だとみなしているのです。一方で、私たちは自分たちをそのような行動に追い込み、環境を作り出した根本的なシステムについてあまり疑問を持たなくなっています。人々の間の戦いに、そのことを反映させたかったのです。
サノスに関しては…私も大好きなキャラクターの一人です!あの時が、彼を見送るのに適切なタイミングだったと考えています。確かに、突然の死であったことは認めざるを得ません。非常に強烈でしたが、あれがサノスにとって適切な去り方でした。シーズン3まで観ていただければ分かりますが、サノスがプロットに与えた影響という面では、まだ彼の存在が感じられるはずです。
―――シーズン3の展開について、何か教えていただけることはありますか?また、シーズン3終了後に他の企画も考えていますか?
シーズン2と3は、連続で撮影しました。現在はポストプロダクション段階で、2025年に配信予定です。シーズン3では、喪失感や失敗、そしてギフンに重くのしかかる罪悪感を深く掘り下げていきます。そのような重圧を抱えながら、彼はどのようにして物語を進めていくのでしょうか。
個人的には、シーズン3をこの物語の完結だと考えています。それは、ギフンというキャラクターを通じて社会について語りたかった物語に、自分なりの決着をつけられると考えているからです。もし『イカゲーム』の世界に戻るとすれば、異なるキャラクターによる異なるストーリーになるでしょう。例えば、マスクの兵士たちについてなど、スピンオフのようなものかもしれません。彼らは、どうやってここに来ることになったのか?休憩時間には何をしているのか?そういったものかもしれません。
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『イカゲーム』シーズン2は、Netflixで配信中。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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