【訃報】ロックの殿堂入りデュオ、”サム&デイブ”のサム・ムーア89歳で逝去

Sam Moore
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1992年にロックの殿堂入りを果たした「最高のソウルデュオ」サム&デイヴの高音パートを担当していたサム・ムーアが2025年1月5日、フロリダ州コーラルゲーブルズで手術後の合併症により死去したと、ムーアの代理人であるジェレミー・ウェストビー氏が発表した。享年89歳であった。

「サム&デイブ」は、「ソウルデュオの最高峰」として1992年ロックの殿堂入りを果たした、デイヴ・プレイターとサム・ムーアのデュオ。殿堂入りを果たした際には、プレイターの長男デヴィッド・プレイター・ジュニアをステージに連れて栄誉を分かち合った。

その音楽は、アイザック・ヘイズとデイヴィッド・ポーターによるソングライティングとプロデュース、バックバンドとしてブッカー・T & MG’sやメンフィス・ホーンズを得て、1965年から68年にかけて数々の名曲を世に送り出した。「You Don’t Know Like I Know」「Hold On, I’m Coming」「Soul Man」「I Thank You」などの楽曲は、熱狂的なコール&レスポンススタイルで知られる。

Sam & Dave アルバム『The Hits』
引用元:Amazon
Sam And Dave アルバム『The Hits』
引用元:Amazon

1935年10月12日にマイアミで生まれたサムエル・デイヴィッド・ムーアは、教会音楽の中で育ち、ゴスペルグループ「The Gales」や「The Millionaires」で活躍した。1961年にマイアミの「キング・オブ・ハーツ」クラブでデイヴ・プラターと出会い、ヘンリー・ストーンに発掘されてルーレット・レコードと契約した。

ルーレット・レコードでは目立った成功を収めなかったが、1964年にアトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラーのもと、スタックス・レコードに「貸与」される形でキャリアが本格化。

1965年11月にリリースされた「You Don’t Know Like I Know」でブレイクを果たし、続く数年でR&Bチャートトップ20に10曲がランクインするヒットを記録した。

しかし、相方のデイヴ・プラターとの関係は常に波乱に満ちており、1970年にスタックスとの契約が終了するとデュオは解散。1981年には再結成するも、この年の大晦日にサンフランシスコの「オールド・ウォルドルフ」で最後の公演を行った。その後プラターは1988年4月9日に交通事故で亡くなった。

サム・ムーアはその後、ソロアーティストとしての活動を開始し、ウィルソン・ピケットらとヨーロッパでツアーを行う一方、薬物依存の克服に取り組んだ。1983年には公然と薬物問題を告白し、薬物撲滅の活動家としても知られるようになった。

ムーアの活動は音楽界にとどまらず、ブルース・スプリングスティーンルー・リードとのコラボレーション、さらには映画やテレビにも進出。アレサ・フランクリンと共演した『ブルース・ブラザーズ2000』では牧師役を演じ、彼の夢であった説教者の姿をスクリーンで実現させた。また、1999年には『Soul Man』がグラミー殿堂入りを果たした。

映画『ブルース・ブラザース2000』 引用元:Amazon
映画『ブルース・ブラザース2000』 引用元:Amazon
サム・ムーア『Overnight Sensational』 引用元:Amazon
サム・ムーア『Overnight Sensational』 引用元:Amazon

ムーアは晩年まで精力的に活動し、2006年にはソロアルバム『Overnight Sensational』を発表。このアルバムでは、スティングやマライア・キャリージョン・ボン・ジョヴィなど豪華ゲストが参加した。
そのうちの1曲、ビリー・プレストンとエリック・クラプトンをフィーチャーした「You Are So Beautiful」のカバーはグラミー賞にノミネートされた。

同年、グラミー賞授賞式のクロージングパフォーマンスとして、ブルース・スプリングスティーン、エルヴィス・コステロ、ジ・エッジとともにウィルソン・ピケットへのトリビュート公演に参加した。

妻ジョイス・マクレー氏との間で多くの困難を乗り越えたムーアは、彼女をビジネスマネージャーとし、アーティストの権利や年金のための活動に尽力した。ムーアには数人の子供との交流がある一方で、「すべての子供たちと関わりを持ちたい」と語りつつも複雑な感情を抱いていたことが知られている。

サム・ムーアは、ソウル音楽界の伝説的存在として、また人間味あふれる人生を生きた人物として、その名を後世に残すことだろう。

※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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