『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を巡る文化戦争

勇敢な新世界 'は別のディズニー文化戦争を引き起こします
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』のアンソニー・マッキー 写真:Disney
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キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の主演を務めるアンソニー・マッキーは、イタリアでの記者会見で同作を宣伝している最中に次のように発言し、予想外の文化戦争を招くこととなった。

「僕にとってキャプテン・アメリカはさまざまなものを象徴しているが、『アメリカ』という言葉がその象徴のひとつであるべきとは思わない。重要なのは、約束を守り、名誉と尊厳、誠実さを持つこと。そして信頼でき、頼りになる存在であることだ」

後日、マッキーはインスタグラムで「はっきりさせておきたい」と釈明の投稿をした。

「僕は誇り高きアメリカ人であり、キャプテン・アメリカという英雄の盾を引き継ぐことは、一生に一度の名誉だ。祖国のために尽くしてきた人々に対して、心からの敬意を持っている。キャップには、世界中の人々が共感できる普遍的な特性があるんだ」と述べた。おそらく、これこそがマッキーの本来の意図だったのだろう。

MCUの前任キャプテン・アメリカであるクリス・エヴァンスも、2011年に「アメリカ的な側面にこだわりすぎたくない」と発言しており、これはディズニー/マーベルの戦略の一環と考えられる。キャプテン・アメリカの普遍的な価値を強調し、過度な愛国的イメージを抑えることで、特に海外市場での受け入れを狙っているのだ。しかし、少しの言葉の違いが大きな論争を引き起こし、マッキーの発言もSNSで炎上する事態となった。

釈明があったにもかかわらず、一部の人々は本作を「反米的」や「ディズニーのリベラル偏向」として批判。皮肉にも、ディズニーCEOのボブ・アイガーは文化戦争を避けたいと明言しているが、それでも『ブレイブ・ニュー・ワールド』は論争の的となっている。

本作は政治的なメタファーとして左右双方から利用されている。トランプ大統領が画期的な大統領令を発令する中、映画ではハリソン・フォード演じるアメリカ大統領がレッド・ハルクへと変貌し、暴走する。また、大統領暗殺未遂のシーンも含まれていたが、トランプへの暗殺未遂事件後、予告編から削除された。

さらに、この映画の当初のサブタイトルは『ニュー・ワールド・オーダー』だった。反グローバリストの陰謀論者たちがこのタイトルを格好のネタにしたであろうことは想像に難くない。

また、『ブレイブ・ニュー・ワールド』への批判の一つに、マッキー演じるサム・ウィルソンのキャプテン・アメリカ昇格が「DEI(多様性・公平性・包括性)」を重視した人選だと揶揄されていることだ。特に、トランプ大統領の反DEI発言や大統領令の影響で、この批判が目立っている。しかし、スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)がキャプテン・アメリカとして物語を終え、その後継者としてウィルソンに盾を託したことは筋が通っており、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で彼がキャプテン・アメリカにふさわしいかを真剣に悩んでいたことからも、マーベルのバトンタッチは慎重に進められている。

マッキーは、2014年からMCUに登場しており、十分なキャリアを積んでいるため、バトンの渡し方には一貫性があるといえる。この騒動が興行成績に悪影響を与える様子はなく、2月14日の公開時には全米で9000万ドルの好調なオープニング興行収入が予測されている。

※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

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