<ネタバレ>『ウィキッド』の再鑑賞がもっと楽しくなる!【豆知識・小ネタ集】

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【本記事には、原作『ウィキッド』・ブロードウェイ版・映画『ウィキッド ふたりの魔女』、今後の展開に関する重要なネタバレが含まれています。】
世界中の観客を魅了し続けている『ウィキッド ふたりの魔女』。
ジョン・M・チュウ監督によって2部作の映画として制作され、シンシア・エリヴォがエルファバ(西の悪い魔女)、アリアナ・グランデがグリンダ(善い魔女)を演じている。後編の『ウィキッド: フォー・グッド(原題)』は2025年11月21日に全米公開予定だ。
映画版では現代的なアップデートを加えながらも、グレゴリー・マグワイアによる原作小説、ブロードウェイ版、1939年の映画『オズの魔法使』、そしてL・フランク・ボームによる『オズ』シリーズという過去作品への敬意と、先人たちが築き上げた「黄色いレンガの道」を讃える姿勢を貫いた。そして、そのリスペクトは作品の随所に散りばめられた小ネタにも表れている。
1. オープニングのロゴ
ジュディ・ガーランド主演の1939年の名作『オズの魔法使』はMGM、『ウィキッド』はユニバーサルが制作しているが、新作ではオープニングロゴとタイトルカードに1939年当時と同じフォントを採用している。
2. あの4人組が!
オープニングシーンでカメラがオズの国を捉えた際、ドロシー、かかし、ブリキ男、ライオンがしっかり映り込んでいる。彼らは最終的に、2部作の後編『ウィキッド: フォー・グッド』で重要な役割を果たすことになる。
3. ディン・ドン
マンチキンの住人たちがシンシア・エリヴォ演じる西の悪い魔女の死を祝うシーンでは、子供たちが鐘を鳴らして「Ding Dong! The Witch is Dead」のメロディーを奏でる。この曲は、ハロルド・アーレンが作曲・エドガー・イップ・ハーバーグが作詞した『オズの魔法使』の名曲だ。
4. 銀色の靴
エルファバ(エリヴォ)の妹ネッサローズ(マリッサ・ボーディ)は、父親から竜巻を彷彿とさせる渦巻き模様をあしらった銀の靴を贈られる。
多くの人が象徴的な「ルビー色の靴」を期待したかもしれないが、あれは1939年の映画を制作したMGMがテクニカラーの鮮やかさを引き立てるために作り出したオリジナルのデザイン。L・フランク・ボームの原作小説では、靴は銀色となっている。
一方、ルビー色の靴は、『ウィキッド』でもグリンダ(アリアナ・グランデ)が「Popular」のシーンで見せるコレクションの中に登場している。
5. 消された歴史
エルファバが妹を守ろうとしてオズの魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)の紋章を破壊するシーンでは、その背後に動物教授たちの肖像画が隠されている。これは、動物たちが捕えられた末に文化を失い、話す力を奪われる未来を暗示している。
この展開には現代社会にも通じる象徴的な意味を読み取ることができるが、もともとはグレゴリー・マグワイアの原作小説における重要なサブプロットでもある。ピーター・ディンクレイジ演じるディラモンド教授が「過去を繰り返してはならない」と警告するシーンとも深く結びついている。
6. 虹の彼方に
エルファバが歌う「The Wizard and I」の終盤に虹が現れる。この曲のテーマと映画内での位置づけは、ドロシーの「Somewhere Over the Rainbow」と対になるものとなっている。
7. フィエロの運命
フィエロ王子(ジョナサン・ベイリー)が歌う「Dancing Through Life」は、人生への空虚感や、考えることへの無関心を表している。この態度は後に、自身の不幸を紛らわせるための対処法だったと明かされる。エルファバとの出会いを通じて、フィエロは内なる善良さを引き出されることになる。
見せかけの無知や軽やかなダンスは、やがてフィエロが「かかし」へと変わる未来を暗示している。また、初対面の際に彼が馬でエルファバを轢きかけた後、彼女が「詰め物でもしてもらったら?」と言い放つのは、『オズの魔法使』でかかしの詰め物が常にこぼれ落ちる様子へのオマージュである。
8. 子ライオンの未来
シズ大学に新しく着任した歴史教授は、檻に入れた子ライオンを教室に持ち込み、動物たちを話せないまま捕らえておく方が、皆にとって都合が良いのだと講義する。そしてエルファバはケシの粉を使って教授と生徒たちを眠らせるが、フィエロだけはその魔法の影響を受けなかった。この展開は、『オズの魔法使』でポピー畑のシーンにおいて、かかしだけが眠らなかった理由を説明している。
エルファバは子ライオンを自転車で連れ去るが、これは『オズの魔法使』でマーガレット・ハミルトンが演じた西の悪い魔女の姿を彷彿とさせるシーンである。
その後、エルファバとフィエロは子ライオンを森に逃がし、自由に成長して話す力を身につけるよう見守ることになる。やがてドロシーが同じ森で成長したライオンと出会うが、幼少期に味わった恐怖は、彼の心に消えない傷を残していた。
9. 不器用な心
ボック(イーサン・スレーター)が、やがてブリキ男へと変わる未来も映画の中で暗示されている。彼は「よく泣く」と話し、左胸のポケットには赤いハンカチを忍ばせている。この変身は、ネッサとの関係に深く結びつきながらも、彼が未だにグリンダへの想いを捨てきれないことに由来する。ボックの心は引き裂かれ、最終的には心が奪われる運命にある。
10. 奇妙な天候
マダム・モリブル(ミシェル・ヨー)は、天候を操る力を持っていることを明かす。彼女は、エルファバが魔法使いに会いに行く前に髪や服が台無しにならないように、雨を避ける魔法をかける。この一見単純な行為が、後に「悪い魔女は水に弱い」という都市伝説の土台を作ることになる。
さらに、最終的には異常気象による竜巻がドロシーをオズに運び込み、ネッサを死に追いやる。この一連の出来事によって、エルファバの元教師であるマダム・モリブルは、魔法使いと並ぶ彼女の最大の敵として立ちはだかることになる。
11. あの2人がカメオ出演
ブロードウェイ版の初演でそれぞれエルファバとグリンダを演じたイディナ・メンゼルとクリスティン・チェノウェスが、映画版では「One Short Day」のシーンでカメオ出演を果たしている。
12. 青いレンガの道
映画版には、舞台版にはないシーンがいくつか追加されている。その1つが、魔法使いがエルファバとグリンダに「オズへ続くレンガの道の色をどうするか決めてほしい」と相談する場面だ。
2人は青、赤、緑、紫といった様々な色を試した末、最終的にグリンダが黄色を提案する。この選択が、後に有名な「黄色いレンガの道」へとつながる。
13. 空を飛ぶ猿
エメラルド宮殿で、エルファバは魔法使いにそそのかされる形で、意図せず翼の生えた猿を生み出してしまう。彼女は猿たちに苦痛を与えてしまったことに動揺するが、魔法使いは彼らをオズの国の支配のためのスパイとして利用しようとする。
マダム・モリブルは、猿たちが変貌した責任をエルファバに押し付け、猿たちを彼女のもとへ差し向ける。『オズの魔法使』でも描かれているように、翼の生えた猿たちは最終的に西の悪い魔女に仕える存在となる。
なお、グレゴリー・マグワイアの原作小説では、翼の猿たちはエルファバが意図的に作り出した存在として描かれている。彼女は、「魂とは何か」、そして「人間と獣を分けるものは何か」を探求する中で、この実験を行った。
14. カーテンの裏にいる男
『オズの魔法使』では、魔法使いがブリキ男に向かって「忘れるな、友よ。心はどれだけ愛するかではなく、どれだけ愛されるかでその価値が決まるのだ」と言う。
しかし『ウィキッド』では、魔法使いは権力を維持するためだけに人々の崇拝を求める存在として描かれる。魔法使いの歌「A Sentimental Man」では、カーテンの後ろで影絵を操るシーンがある。これは、『オズの魔法使』での名セリフ「カーテンの裏の男には注意を払うな」へのオマージュとなっている。
さらに、『ウィキッド』では無数の熱気球が登場する。これは、魔法使いがオズの国にたどり着いた方法を示唆している。また、エメラルド宮殿の最上階には、魔法使いが地球にいた頃の遺物が保管されており、その中には「オスカー・ディグス」と名が書かれた荷馬車も含まれている。
実は魔法使いの本名は オスカー・ゾロアスター・ファドリグ・アイザック・ノーマン・ヘンクル・エマニュエル・アンブロワーズ・ディグス であることを、L・フランク・ボームによる『オズの魔法使い』の原作小説が明かしている。
彼はもともとイニシャル「O.Z.P.I.N.H.E.A.D.」を名乗ろうとしたが、それが「オズ・ピンヘッド(間抜け)」と読めることに気づき、最終的に “Oz” だけを残したのだった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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