『サンセット大通り』の俳優トム・フランシス インタビュー:舞台からスクリーンへ、飛躍の時

『サンセット大通り』でブロードウェイを魅了した英俳優トム・フランシスが、映像の世界にも本格進出する。彼は現在、ブロードウェイ版『サンセット大通り』でニコール・シャージンガーと共演中であり、同作でトニー賞にノミネートされている。
音楽が導いた俳優人生
演技の原点は、7歳のときに聞いたオアシスのアルバム”Don’t Believe the Truth”だった。父親の「君には才能がある」という一言が、演技への道を開いたという。
舞台での成功と映像進出
ウエストエンド版『サンセット大通り』ではオリヴィエ賞を受賞し、ブロードウェイ版でもトニー賞にノミネートされた。一方で、Netflixドラマ『YOU―君がすべて―』のシーズン5に出演し、ハリウッドでも注目を集め始めている。
次なる挑戦は映画界
今後は、ジョージ・クルーニー主演のノア・バームバック作品『ジェイ・ケリー (原題)』、さらにNetflix映画『ザ・モスキート・ボウル(原題)』にも出演予定だ。本人は「夢のよう」と語りつつ、さらなる飛躍に意欲を見せている。
以下でトム・フランシスは、舞台での最も印象的な瞬間を振り返りながら、夢のキャリアに思いを馳せている。
── 演技を始めたきっかけを教えてください。
オアシスを演奏していたときに自分の才能を発見したとのことですが、その後プロを目指す決意をしたのですか?
子どもの頃から合唱団に入っていました。学校は苦手でした。重度のディスレクシアで、勉強に集中するのが本当に難しかったんです。ピアノの先生に「隣の大学に演劇コースがあるよ」と勧められました。実際に隣の建物でした(笑)。その後、正式な演劇学校に通い、パンデミック中はZoomでタップダンスの授業を受けたりしていました。ようやくキャリアの土台ができてきたところです。
ロンドンでは有名人が来る夜を“come for blood(本気出す)”と呼んでました。今は、恋人のマイア・レフィッコ(『ヘイディスタウン』出演)が観に来る時が一番緊張します。もう7回くらい来てくれてますけど、毎回ドキドキしますね。
以前は本当に舞台恐怖症でした。耳が真っ赤になったり震えたりしてました。でも、この作品では冒頭からキャラが崩れていくので、それを演技にぶつけて緊張をほぐしています。
── 観客の熱狂的な反応も話題ですが、どう感じていますか?
一番辛いのは、舞台に立っていない時に誰も拍手してくれないことです。歓声や拍手が日常になると、それがない時に物足りなく感じます。
しかし、1700人に拍手されるのは非現実的な体験です。それを「チーム全員が今日もやり遂げたことを祝っている」と捉えるようにしています。
── 『YOU -君がすべて-』での見た目は、普段とかなり違いましたね。
頭の一部を剃って、カツラのようなものを装着しました。後頭部までクリップで固定していました。撮影後にそれを外す瞬間は最高でした。役としての新しい挑戦でもあり、とても楽しかったです。
── 映像作品の現場は初めてでしたか?
実は『ジェイ・ケリー(原題)』(ノア・バームバック監督)で1~2日だけ撮影した経験がありました。とても素晴らしい現場でした。
『YOU―君がすべて―』の撮影現場は、アリの巣のようににぎやかで、大好きでした。ペン・バッジリーとの共演も最高で、初めての現場だった私に多くの助言をくれました。最後の日には、素敵な言葉もかけてくれました。いつか自分が主演を務めるようになったら、彼のような存在になりたいと思っています。
── 自分の死のシーンは観ましたか?
ちゃんとは観ていません。自分の演技を観るのはちょっと抵抗があります。でも、いいシーンなら今夜観てみようかな(笑)。
── 『サンセット大通り』の自分の演技は?
演出家のジェイミー・ロイドに「自分の演技は観るな」と言われているので、一度も観ていません。キャストアルバムも聴いていません。
舞台中は観客に向かって話しているので、背後の演出には気づかないことが多いです。最近やっと、あるシーンで後ろを通る役者に気づいたくらいです。終演後には、全体の映像を観てみたいと思っています。
── 楽屋には個人的な工夫をしていますか?
70インチのテレビとプレイステーションを置いています。共演者とFIFAをよくやっています。小さなバーもあり、公演後に一人で過ごす時間の癒しになっています。
── 公演中、大変なことは?
一番大変なのは食事です。毎日同じ3種類の食事を、同じ時間に食べています。2回公演の日は、早起きして食事スケジュールに間に合わせるようにしています。
── 『サンセット大通り』が終わったらイギリスに戻りますか?
少しだけ帰って家族や友人に会うつもりですが、正直ニューヨークにずっといたいです。映像の仕事をもっとやっていきたいし、それが現実になってきたことにワクワクしています。
── 目標とする俳優は?
マット・デイモンが大好きです。彼のようなキャリアを築けたら最高です。でも『グッド・ウィル・ハンティング』のような作品は、世代に一度のものですよね。
ただ、今後の展開が本当に楽しみです。CAAとLinden Entertainmentのチームがサポートしてくれていて、すごく頼りになります。
── トニー賞が近づいていますが、どう受け止めていますか?
どこへ行っても「象がいるような」存在感です。考えすぎると不安になってしまうので、競走馬のように視野を狭めて集中しています。
最近、オリヴィエ賞を受賞した時の映像を観返したのですが、「誰にも奪えない」と感じたあの瞬間の感情が蘇ってきました。今でも信じられない気持ちです。
まとめ
『サンセット大通り』で注目を集めたトム・フランシスが、舞台の成功を経て映像作品にも本格進出している。俳優としての原点や舞台裏での努力、そしてハリウッドでの新たな挑戦への意欲を語った。トム・フランシスの今後のさらなる飛躍が期待される。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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