第49回日本アカデミー賞『国宝』が最多10冠、李相日監督歓喜「言うことが見つからない」
日本映画界最大級の祭典「第49回日本アカデミー賞授賞式」が3月13日、東京・グランドプリンスホテル新高輪で開催され、李相日監督の映画『国宝』が作品賞、監督賞など最多の10部門で最優秀賞を受賞した。
『国宝』吉沢亮が日本アカデミー賞主演男優賞 横浜流星と歓喜のハグ

興行収入203億円を超え、邦画実写の歴代興収記録を更新し続けている『国宝』が圧倒的な強さを見せつけた。作品賞で主演の吉沢亮(32)らキャスト、スタッフとともに登壇した李監督は「言うことが見つからないくらい(うれしい)。この場に立てた喜びは生涯忘れないでしょう」と感慨深げ。「本当に総力戦で、俳優たちの献身がなければ成り立たなかったし、スタッフの力がスクリーンの隅々までほとばしっている。だからこそ見る人の心を打ったのだと確信しています」と喜びをかみしめた。

主演男優賞の吉沢も、1年半に及ぶ歌舞伎の稽古で苦楽を共にしたプレゼンターの横浜流星(29)と歓喜のハグを交わした。「大変な稽古を乗り越えた彼がいなかったら、この場に立つことはなかった。映画にとっても、僕にとっても偉大な存在」と感謝した。
観客動員1440万人を超える大ヒットには「本気で何かに打ち込む姿に、見る人は感動するんだということがこの映画で伝わったと思う」と分析。そして、「僕自身、この映画で芸道を生きる人間の業、険しさを痛感し、その先にある本当の喜びに少しふれられ、この道に生きる自分を見つめ直すきっかけになった。これからも映画を愛する皆さんに楽しんでもらえるよう精進します」と決意を新たにした。
倍賞千恵子が45年ぶり主演女優賞

主演女優賞は「TOKYOタクシー」の倍賞千恵子が81年の「遙かなる山の呼び声」、「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」以来、45年ぶりの最優秀賞で「どうしましょう。震えています。とっても感謝します」としみじみ。木村拓哉(53)との共演には、「タクシーの中のシーンが多く、バックミラー越しに木村さんの目が映ると、なんて大きくて素敵な目と思い随分力をいただきました」と振り返った。
佐藤二朗、助演男優賞に涙

3人の『国宝』勢を押さえて助演男優賞を射止めた『爆弾』の佐藤二朗は、「泣くなあ、これは」と3度繰り返し感涙。続けて、「正直に言うと、最近の日本映画は見ていなかった。それは嫉妬を感じて悔しいと思うから」と明かした。
しかし昨年、『あんのこと』で同賞の優秀助演男優賞を獲得し「初めて参加して、役所広司さんが新人俳優賞を受賞した皆に、『大丈夫。ここにいる皆は味方だから』とおっしゃったのを聞いて、自分はなんてケツの小さな男なんだと思った。それからこの1年は毎日のようにたくさんの日本映画を見て、何て闘う価値のある場所なんだろう」と実感した。 そして、「日本映画に携わる全ての皆さん、映画を愛して見てくれる観客の皆さん、愛してるぜ。きょうはいい夜だ」と歓喜。「爆弾」で共演した山田裕貴ももらい泣きしていた。
森田望智が助演女優賞 蒼井優の言葉が支えに
助演女優賞も『国宝』出演者が3人いる中で、『ナイトフラワー』で総合格闘家を体当たりで演じた森田望智が戴冠。「信じられない気持ち。大学生の頃、オーディションに受からず仕事もなく、お芝居をやめた方がいいのかなと思っていた年の日本アカデミー賞で蒼井優さんが『彼女がその名を知らない鳥たち』で賞を獲られたんです。その時に『映画は本当にいいものだから、ぜひ来てください』とおっしゃって、もう少し頑張ってみようと背中を押してもらった」と、『TOKYOタクシー』で優秀助演女優賞を受賞しステージで隣り合わせた蒼井に感謝。
そして、「すてきな景色を見せていただき、あの頃の自分にあきらめなくてありがとうと言いたい。そして、お芝居でめげそうになっている人がいたら、少しでも背中を押してあげられる日になっていたらいいな」と未来の受賞者へメッセージを送った。
第49回日本アカデミー賞 主な最優秀賞
・作品賞:『国宝』
・アニメーション作品賞:『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
・監督賞:李相日『国宝』
・主演男優賞:吉沢亮『国宝』
・主演女優賞:倍賞千恵子『TOKYOタクシー』
・助演男優賞:佐藤二朗『爆弾』
・助演女優賞:森田望智『ナイトフラワー』
・脚本賞:奥寺佐渡子『国宝』
・撮影賞:ソフィアン・エル・ファニ『国宝』
・照明賞:中村裕樹『国宝』
・美術賞:種田陽平・下山奈緒『国宝』
・録音賞:白取貢『国宝』
・編集賞:今井剛『国宝』
・音楽賞:原摩利彦『国宝』
・外国作品賞:『教皇選挙』
取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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