第18回アジア・フィルム・アワード『敵』吉田大八監督が最優秀監督賞

アジア全域版アカデミー賞とされる「第18回アジア・フィルム・アワード(AFA)」の授賞式がこのほど、香港の戯曲センターで行われ、『敵』の吉田大八監督が最優秀監督賞を受賞した。
『敵』は作品賞など日本映画最多の6部門でノミネートされていたが、監督賞で名前が呼ばれた吉田監督はきょとんとした表情。出演の長塚京三、瀧内公美らの笑顔と拍手に促されステージに上がると「皆さんが驚いているのと同じように、僕も驚いています」と淡々と話した。
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若い頃から愛読していた筒井康隆氏の同名小説を原作に、余生を過ごす元大学教授が1本の不穏なメールによって日常を脅かされていく姿を描く。昨年の東京国際映画祭では東京グランプリ、最優秀監督賞、同男優賞の3冠に輝いた。さらなる勲章が加わり、「信頼できるスタッフたち、素晴らしい俳優たちと一緒に作り上げるという監督としては最高に恵まれた体験でした。その上でこんな素晴らしい賞までいただいて、これ以上の喜びはありません」と喜びをかみしめた。
『HAPPYEND』に主演の栗原颯人が、日本人として初の最優秀新人俳優賞を受賞。AFAへの感謝を英語で話した後、「すべてのキャストの皆さん、すべてのスタッフの皆さんに感謝と愛を伝えたいです。本当にありがとうございます」と笑顔をはじけさせた。
また、特別功労賞を贈られた役所広司はまず、昨年『PERFECT DAYS』で主演男優賞に選ばれながら授賞式を欠席したことを謝罪。そして、「歴代の受賞者の方々のお名前を見ると、この賞の重みを感じます。この重みが励ましてくれます。残された俳優人生の中で、少しでもアジアの映画界に貢献できるように頑張ります」とさらなる意欲を語った。
ライジング・スター・アワードを受けたKōki,も、「胸が高鳴っています。この賞は、私に大きな勇気と決意を与えてくれました。これからも全力を尽くし、自分自身に挑戦し続け、この賞のように輝けるよう努力していきます。本当に光栄です」と英語のスピーチで感激に浸った。
なお、最優秀作品賞はインド、フランス、オランダ、ルクセンブルク合作の『All We Imagine as Light』に輝いた。
各最優秀賞は以下の通り。
⚫︎作品賞
『All We Imagine as Light』
⚫︎監督賞
吉田大八『敵』(日本)
・『敵』で東京国際映画祭最優秀男優賞の長塚京三「自分の姿を見て初めて感動した」
・ 吉田大八監督が東京国際映画祭コンペ作品『敵』について語る
⚫︎主演男優賞
ラウ・チンワン『お父さん』(香港)
⚫︎主演女優賞
シャーハーナー・ゴースワーミー『サントーシュ』(インド、イギリス、フランス、ドイツ)
⚫︎助演男優賞
リー・カンション『黙視録』(シンガポール、台湾、フランス、アメリカ)
⚫︎助演女優賞
ヤン・クイメイ『Yen and Ai-Lee』(台湾)
⚫︎新人監督賞
サンディヤ・スリ『サントーシュ』(インド、イギリス、フランス、ドイツ)
⚫︎新人俳優賞
栗原颯人『HAPPYEND』
⚫︎脚本賞
モハマド・ラスロフ『聖なるイチジクの種』(イラン、ドイツ、フランス)
⚫︎衣装デザイン賞
チェ・ユンソン『破墓/パミョ』(韓国)
⚫︎美術賞
ケネス・マク、CHAU Sai Hung Ambrose『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(香港)
⚫︎編集賞
チュン・カーファイ『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(香港)
⚫︎撮影賞
ホン・ギョンピョ『Harbin』(韓国)
⚫︎音楽賞
ワンピン・チュー『ラスト・ダンス』(香港)
⚫︎視覚効果賞
キム・ソンジン、ソン・スンヒョン『破墓/パミョ』(韓国)
⚫︎音響賞
ドゥ・ドゥーチー、TU Tse-Kang『黙視録』(シンガポール、台湾、フランス、アメリカ)
記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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