北野武監督最新作『Broken Rage』ヴェネツィアで熱狂のお披露目も自虐「もっと真剣にやるべきだった」

大森南朋(左)北野武(中央)浅野忠信(右)
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第81回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション(特別招待作品)に選出された北野武監督の最新作『Broken Rage』が6 日、メイン会場のサラ・グランデで初披露された。

北野監督とAmazon MGM スタジオが初タッグを組み、ビートたけしとして自ら主演。「暴力映画におけるお笑い」をテーマに、窮地に陥った殺し屋が生き残りを懸けて奮闘するストーリーを前半はクライムアクション、後半はパロディで描く野心作だ。

1997年の『HANA-BI』で金獅子賞(最高賞)を受賞するなど、「世界のキタノ」としてヴェネツィアでは絶大な人気を誇る北野監督にとって節目となる10度目の選出。出演の浅野忠信、大森南朋とともにレッドカーペットに登場すると、沿道を埋めた“キタニスト”をはじめとするファンから大歓声と拍手が沸き起こった。

上映中も1032席を埋めた観客から笑いと拍手が起き、終了と同時にスタンディングオベーションがスタート。6分ほどがたったところで、照れくさくなった北野監督が自ら制止を求めるほどの絶賛を持って迎えられた。

浅野は上映後、「お客さんに物凄く受けていたのでホッとしました。僕が日本で見た時に感じた面白いという感覚が、正しかったことが確認できて良かったです」と感想。大森も、「イタリアのファンの方は北野監督の世界観をよくご存じだと思いますが、こんなにも愛と喜びを持ってこの映画と向き合っていただけるんだと思い、非常にうれしかったです」と感激の面持ちで語った。

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上映前に行われた記者会見には世界各国から100人以上の取材陣が詰めかけ、北野監督は「劇場の人向けではなくテレビ画面で見る人に向けて、今までやってみたかったことをテストでやってみた。気楽に撮ってみたら、まさかこんな(ヴェネツィアに来る)ことになるとは。もっと真剣にやるべきだったな」と苦笑。その上で、「暴力もお笑いも感情を揺さぶるもの。人に対する衝撃という意味では、お笑いも暴力。暴力的なものなのか、愛なのか、日常的なものなのか、見る人によって違うのが映画や絵画などのアート」と持論を展開し、自信のほどをうかがわせた。

レッドカーペットに登場した北野武監督

そして、「この2人は俺が将来凄く期待している人たちで、いずれは映画界を引っ張っていく日本の役者さんだと思ってますんで、皆さんも心に留めておいてください」と、浅野と大森を世界に向けてアピール。これに対し浅野は、「他の映画監督とは全然違う要求をされるので、役に対して応えていく作業を現場でしていかないと北野監督が認めてくれないということが分かったので、役に対する取り組み方が変わった。常に新しいことにチャレンジしている姿勢も含めて俳優として学ぶことが多かった」と最敬礼。大森は、「生意気ながらも(後半のパロディパートは)武さんにもちょっと笑ってほしいという気持ちで撮影に挑んだんですけど、なかなかできなくて苦労しました」と反省点を挙げ、意欲を新たにしていた。

『Broken Rage』は、2025年に世界配信を予定している。

記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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