【月刊LGBTQボイス 第1弾】人気ドラァグクイーン、ドリアン・ロロブリジーダにインタビュー! 「笑い飛ばせば自由になれる」 自分らしく生きる力と自由へのメッセージ

ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
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「月刊LGBTQボイス」の第1弾として、ハリウッドリポーター・ジャパンは、人気ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダに単独インタビューを行った。

新連載「月刊LGBTQボイス」では、毎月エンターテインメント界で活躍するLGBTQ+コミュニティの方々に焦点をあて、彼らの声を広く届け、サポートしていくことを目的としている。

記念すべき第1回は、ドリアン・ロロブリジーダをお迎えした。

新宿二丁目からキャリアをスタートし、約20年にわたり舞台やクラブ、テレビや映画など多彩なフィールドで活躍してきたドリアン・ロロブリジーダは、鋭い社会的視点とユーモアあふれる表現で、偏見や固定観念を笑い飛ばし、観る人に「自分らしく生きる勇気」を届け続けている。

近年は、テレビやイベント出演を通じて広く知られるようになり、LGBTQ+コミュニティの枠を超えて社会全体に多様性のメッセージを発信し続けている。

今回のインタビューでは、約20年にわたるキャリアを通じて積み重ねてきた経験、自分らしく生きるための哲学、そして次の時代に向けた展望について、率直で力強い言葉を聞くことができた。

ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka

ーーまずは自己紹介をお願いします。

ドリアン・ロロブリジーダ:みなさま、ごきげんよう。ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダと申します。よろしくお願いいたします。

ーー本日のお召し物も本当に素敵です。今日のファッションのテーマを教えていただけますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:そうですね。ゴッデス(女神)というか、ディバイン(神聖)な感じを出したいなと思って作っていただいたものなんです。よく「神様っぽく作って」とお願いするんです。

ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka

ーー「ドリアン・ロロブリジーダ」というユニークなお名前には、どんな意味や想いが込められているのでしょうか。

ドリアン・ロロブリジーダ:私が初めてドリアン・ロロブリジーダと名乗って人様の前でパフォーマンスをしたのは、2006年のことでした。そのとき新宿二丁目の小さなクラブで、「若手女装グランプリ」というコンペティションが開催されました。当時の若手のクイーンさんだったり、フレッシュなクイーンさんたちを集めて、今で言う『ドラァグ・レース』のようなイベントがあったんです。それに出場するにあたって、名前を決めなければいけないとなりました。

昔から私は、古き良き時代の映画や女優さんが大好きなんです。イタリアの往年の大女優でジーナ・ロロブリジーダさんという方がいらっしゃるんですが、素晴らしくグラマラスで壮絶に美しい方なんです。その方の勝気なスタイルが私は好きだったので、ロロブリジーダというお名前をそこから無断盗用いたしました。

そして、ファーストネームをどうしようかとなった時に、友人のドラァグクイーンから「ドリアン」なんていいんじゃないかと言われたんです。ドリアンというのは果物の王様ですし、トゲトゲしていますし、“臭いけどクセになる”というところもございます。しかも濁点がね、「ド」というところが気に入ったので、ドリアン・ロロブリジーダという名前でもうずっと20年ほどやらせていただいています。

ーー来年で20周年なんですね。

ドリアン・ロロブリジーダ:そうなんですよ。気づけば遠くに来たものです。

【動画】【人生年表】高学歴家庭の優等生が、センター試験前日に2丁目へ!?ドラァグクイーン・ドリアンが半生を語る!【前編|生誕〜早大入学】

新宿二丁目から始まった、ドラァグ人生20年の道のり

ーー大学時代に新宿二丁目で働きはじめたことが、ドラァグクイーンとしてのキャリアの始まりと伺いましたが、当時の心境を覚えていますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:今と20年前のクイーンシーンというのは、色々なものがまるっきり違いました。私が初めてドラァグクイーンというものを生で見たのが、そこからさらにさかのぼること3~4年ほど前の、自分が高校三年生の頃でした。

その時、近所で仲良くしてくれていたゲイのお姉さん方がいらっしゃって、その方々とある年の年末にちょっとしたカラオケ大会をやろうよとなり、近所のカラオケルームのパーティールームを借り切ってみんなで女装してカラオケをしました。

そこで、ある一人のゲイのお姉さんがクイーンメイクをして、クイーンの出で立ちでやってきたのを見て、「なんてかっこいいんだ!」と思ったんです。

それまでドラァグクイーンというものをちゃんと意識したこともなくて、いまいちよくわかってもいなかったんですけれども、その姿を初めて見た時に、雷に打たれたような。かっこよさにシビれまして。そこから見よう見まねでメイクを始めました。

そのときはまだドラァグクイーンというものが、いわゆる世間の皆さんがお茶の間で楽しむような存在ではなくて、あくまでもアンダーグラウンドなもので、クラブシーンだったり、そういったところでのパフォーマンスが主なお仕事でした。そんな中でも、いわゆる新宿二丁目のクラブだったり、ドラァグクイーンが出演するイベントというのはたくさんございましたので、そういったものにまず出たい、まずドラァグクイーンになってみたいという気持ちが強かったです。

今でこそ昼間のテレビだったり、いろいろなメディアでドラァグクイーンがたくさん活躍されていらっしゃいますけれども、当時はまだ全然で。ゲイシーンの中でも、「あなたドラァグクイーンなんかになるの?」というような空気感が色濃く漂っていました。

ーードリアン・ロロブリジーダというキャラクターはどのようにして作り上げていったのでしょうか。

ドリアン・ロロブリジーダ:ドリアン・ロロブリジーダを20年やらせていただいておりますが、自分は特に「ドリアン・ロロブリジーダ」を何か特別な存在として創造したわけではないんです。あくまでこれは大竹正輝(本名)が、好きな格好をして、好きなウィッグをつけ、好きなメイクをして、好きにおしゃべりしているだけという感覚です。ドリアン・ロロブリジーダという名前はつけていますが、ドリアンさんという新しいペルソナがいるわけでもなく、私が好きなことをやっていたらいつの間にかこうなっていただけなのです。

すっぴんのドリアン・ロロブリジーダ↓↓

なぜ今、ドラァグクイーンが世界で市民権を得てきているのか

ーーこの20年で、ドラァグクイーンがここまで世間に広がっていった理由ってあるんでしょうか。

ドリアン・ロロブリジーダ:いくつかの要因があると思うんですが、日本国内で考えると、マツコ・デラックスさんと『ル・ポールのドラァグ・レース』だと思います。

マツコ・デラックスさんが、20年前ぐらいから少しずつテレビを中心とするメディアで活躍されていて、2010年代にいたっては、“マツコさん無双期”のようでした。どのチャンネル、どの時間帯でも、マツコさんが出られている時期がありました。そこでやはり、お茶の間のみなさん、今までドラァグクイーンを見たことがなかった皆さんも、男性が女性の格好をしているのを少しずつ見慣れてきたのではないでしょうか。

それと同時に、『ル・ポールのドラァグ・レース』という番組が、いま全世界を席巻しています。それが日本でも観られるようになって、トレンドに敏感な方だったり、そういうものがお好きな方が、「ドラァグ・レースってめっちゃいいよね」「ドラァグクイーンってかっこいいよね」というような文脈も出来上がりました。

この二つが同時期にこの20年ぐらいにあったので、日本におけるドラァグクイーンというものがどんどん市民権を得てきたんじゃないかなと思います。

ドリアン・ロロブリジーダ&マツコ・デラックスのツーショット↓↓

世界を熱狂させる『ル・ポールのドラァグ・レース』の影響力

ーー 『ル・ポールのドラァグ・レース』は世界的に影響力のある番組ですが、ドリアンさんご自身にとってはどのような存在ですか。

ドリアン・ロロブリジーダ:『ドラァグ・レース』に関しては、日本のクイーンシーンにおいても『ドラァグ・レース』以前と以後で、様々な価値観だったり、色々なものが大きく変わりましたね。日本に限らずだと思うんですが、『ドラァグ・レース』というものは、ドラァグクイーンシーンに非常に大きな影響を及ぼしました。

私がドラァグクイーンを始めた頃というのは、まだ『ドラァグ・レース』が放送される前でした。先輩方のお言葉だったり、自分でも様々なものを勉強しながら、少しずつ培っていったドラァグクイーン観があるので、そこと完全に一致するかどうかはわからないんですが、『ドラァグ・レース』というものが、世界に及ぼした影響、そしてドラァグクイーンという存在の立場をボトムアップさせて、認知度を上げたという影響はとても大きいと思います。

【動画】ル・ポールのドラァグ・レース:グローバル・オールスターズ 予告編

ーーもしご自身が『ドラァグ・レース』に出場するとしたら、どんなスタイル・キャラクター・演出で世界を魅了したいですか?

ドリアン・ロロブリジーダ:参加者としてエントリーすることは考えたことはなかったですね。『ドラァグ・レース』は、本当に多岐にわたることが求められるんです。自分でメイクできるのはもちろんなんですが、自分で衣装やウィッグを作れたり、リップシンクはもちろん、スプリット(開脚ポーズ)のような、ものすごい身体能力も求められるので、放送開始時期にちらっと観てから、「無理無理、私には無理!」と感じていました。

姉妹番組のようなもので、『クィーン・オブ・ザ・ユニバース』という番組があるんです。それは世界各国のドラァグクイーンたちの生歌のコンペティションで、そちらはエントリーしました。最終(審査)の惜しいところまでいきました。

【動画】『クィーン・オブ・ザ・ユニバース』予告編

ーー確かにドリアンさんのスタイルだと、リップシンクというより、ご自身での歌のスキルが高いのでそれでやっていけそうですね。

ドリアン・ロロブリジーダ:リップシンクのショーもするんですが、小さい頃から歌うことが好きでしたので、最近はもっぱら生歌でステージをお届けする機会が多いのです。だったら生歌で世界のクイーンたちとしのぎを削ろうかしらと思っていました。でもね、こちらに出場されている方はものすごくお上手なんです。もう、すごい。世界は広い!本当にトップのトップたちが集まっている。皆さん歌が上手すぎてビビりました。私なんか到底太刀打ちできるレベルじゃなかったわ。

ーーでも、まだチャンスはあるわけですよね。

ドリアン・ロロブリジーダ:待ってろよ!!笑

ドラァグを通して伝えたいのは「自分勝手に楽しむ自由」

ーードラァグという表現を通して、観る人に最も伝えたいメッセージは何でしょうか?

ドリアン・ロロブリジーダ:いくつかあります。私が思うドラァグクイーンの魅力の一つが、世間から押しつけられるもの、あるいは自分の中に潜在的にあるかもしれない“男らしさ”“女らしさ”、「男はこういう服を着ろ」「女はこういう服を着ろ」「こういう振る舞いをしろ」のような有形無形の圧力みたいなものを、高らかに笑い飛ばして、人からどう思われようと、自分で好きな格好をするところだと感じています。見る人がそれぞれ持っている固定観念、「男は」「女は」みたいなものをグラングランと揺り動かすのが、私はドラァグクイーンの魅力の一つだと思ってるんです。

なので、世間の方には私を見て混乱していただきたいのです。こんなに綺麗だけど、男だし、たまにすっぴんも出すし、「いったい何なんだ?でもなんかイイよな」って思っていただければありがたいです。でもそんな深いメッセージは、わざわざ受け取らなくていいとも思っています。あなたが受け取りたいように、勝手に持ってって。私は勝手に好きなことしてるから、というところもございます。

ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka

「だから私は美しい」──ジェンダー観と自己表現の答え

ーー男性としての自認がありながら、女性的・非二元的な表現をされる中で、どのように内なるバランスを取っているのでしょうか?

ドリアン・ロロブリジーダ:そんなややこしいことは考えていないですね!ドラァグクイーンが100人いれば、100通りのジェンダー観だったりセクシュアリティ観があるので。ゲイのドラァグクイーンの方もいれば、女性のドラァグクイーンもいらっしゃいますし、トランスジェンダーのドラァグクイーンもいらっしゃいます。

ゲイのドラァグクイーンの中でも、それぞれの中のジェンダーのバランスだったり、男性的、女性的とたゆたう濃度というのがそれぞれ全員が違う中で、私はむしろドラァグクイーンとして“男装”するのが好きですし、ドラァグクイーンだからこそ、男性的な部分をちょっと残しておきたいと思う口なんです。

きれいなお化粧をして、きれいなドレスを着て、ビチビチの美女になったとしても、私のメンタリティは、とても男性的だと思っています。繊細さだったり、たおやかさだったりみたいなものが、本当に少なくて。粗雑なんです。暴れん坊だし。

ーードリアンさんはこうしてしゃべってる時、すごく繊細さとか、言葉に美しさが出てるとも感じます。

ドリアン・ロロブリジーダ:美しい日本語を使いたいという想いは昔からあります。こういうオネエ言葉をしゃべるのももちろん好きなんですが、それは自分の中の女性性の発露というわけでは全然なくて。私の中でオネエ言葉というのは、会話の潤滑油であり、二丁目弁だと思っています。

ーードリアンさんにとって「美しさ」とはどういったものですか。それは、どう表現の中に現れていると思いますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:大きく言うと、美しさというのは、自分自身が美しさだったり、楽しさだったり、素敵だって感じることだと思ってます。

最近はよく、イエベだのブルベだの、ラウンドだのストレートだの、いろいろな診断があるじゃないですか。その診断を見て、私自身は本当は黄色が好きなんだけど、黄色は着ないようにしようって違う色を着ている方と、私は黄色が好きだから、診断には合っていないかもしれないけれど、私はこの色が好きなんだ、この色を着ている時の私が好きなんだって思われている方では、私は絶対、後者の方が美しいと思っています。

その人が思う、自身がこうしたい、こうしている時の自分が好き、というものを追求していることが、美しさにつながるんじゃないかなと思うんですよね。私は勝手に、自分が素敵だなって思うことをやっているだけ。だから私は美しいんです。笑

ーーすばらしいメッセージだと思います。その言葉に励まされる方も本当にたくさんいると思います。

ドリアン・ロロブリジーダ:そろそろ、ヒゲが伸びてきてるわね。すみません。笑

ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka

LGBTQ+の中でドラァグクイーンが果たす役割

ーードラァグクイーンという存在が、LGBTQ+コミュニティの中で果たしている役割とは何だと思われますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:先ほどのお話とも通じるんですが、ここ10年ぐらい、ドラァグクイーンだったり、そういった界隈の方々がメディアに登場している中で、世の中っていうのはいろんな人がいるんだ、変な人もいれば変じゃない人もいるし、自分たちが見ている世界の人間だけが、世の中を構成しているんじゃないんだ、ということを世間の皆さんに知っていただく上では、わかりやすい存在だと思います。

パッと見はギョッと眉をひそめるような格好をしていても、話すと筋が通っているな、という感じで、話すとおもしろいんだよ、この人頭いいんだよっていう方たちがいらっしゃったり。やっぱり人は見た目じゃ判断できないね、肩書きだけじゃ判断できないね、ということを伝える要素にもなっているとは思うんです。

ーーそういった、お互いを認め合うという意味では、世界平和に繋がるんじゃないかなと思います。

ドリアン・ロロブリジーダ:いろいろな人がいて、お互いを知って、分け隔てなくいっしょに話せる。それは国や人種や宗教も関係なくわかり合えていくという意味では、象徴的な存在なのかなと思いますね。それでも我々はダイバーシティを体現しているとはあまり思っていなくて、それぞれがみんな好きでやってるだけだと思うんですけれども。

世の中には本当にいろいろな人がいる。そこで「でも嫌いじゃないんだよな、あいつのこと」と思える。「よくわかんないけど、嫌いじゃないんだからいいか」という気持ちが紡がれていく端っこの端っこの方は、結果的に担っているのかもしれないですね。

ただ、LGBTQ+コミュニティの中で、ドラァグクイーンなんて0.00001%ぐらいしかいません。私たち以外の方たちは、ナチュラルな出で立ちで、それぞれ思い思いの生き方を過ごしていらっしゃる方がほとんどなので。私たちってのはごくごく少数のバグみたいなものであり、これを見習っちゃいけませんよ。

若者へのメッセージ:「悩みすぎるな、自意識過剰だぞ!」

ーー自分らしく生きることに悩む若い世代のLGBTQ+の方々に向けて、何か届けたい言葉はありますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:「好きなことをしろ」としか言えないんですよね。「あなたが気にするほど、世間はあなたのことなんか気にしてねーよ」ということ。“世間”だったり“社会”というものは、いざという時にあなたの人生になんの保証もしてくれない。だとしたら、好きなようにやるのが結果的には良いんじゃないかって思っています。

世間の目が気になるという理由で自分がなりたい姿になれなかったとしても、じゃあその世間ってあんたに何をしてくれてるの?というところを1回立ち返ってみると、少し息がしやすくなるんじゃないかなと思います。あんまり思いつめすぎず、できる限り自分を表現して、他人はそこまで気にせず。自意識過剰にならないように。

差別をどう受け流す?「笑い飛ばす」生き抜く知恵

ーードリアンさん自身が差別や偏見に直面した経験や、それをどう乗り越えてこられたか、具体的なエピソードがあれば教えてください。

ドリアン・ロロブリジーダ:ドラァグクイーンしているから感じたものというのはそんなになくて。こういった出で立ちで街中を歩いたり、ゲイパレードでフロートに乗って手を振ったりしていると、「気持ち悪い」って言ってくる人もいるんですよ。でも別に、あなたを気持ち良くさせようとしてやっているわけじゃないし、私は気持ち良いからやっている。気持ち悪いと思うのはご自由にどうぞ、私はとっても気持ちいいわぁ!というぐらいでしかないです。

ドラァグクイーンをしているからというよりも、やはり一人のゲイ当事者としては、まだ日本の様々な制度だったり仕組みだったりは、当事者にとって差別的な構造のままだなと思うことはたくさんあります。ゲイでもそうですし、トランスコミュニティの方たちもそうですし。ひいては男女という、社会における男性と女性の構造的な格差みたいなものも常に感じています。

そういった中で、婚姻の平等がいまだに果たされてないというのは、やはり差別的な現状だと感じています。この数年、アメリカやヨーロッパでは、LGBTQ+コミュニティに対してだったり、いわゆるダイバーシティみたいなものに対して、強烈な逆風が吹いています。これは2010年代にコミュニティが様々な権利を獲得していった末の逆風だと思うんです。それが日本においては、当事者の権利はまだまだ発展途上。欧米に比べて権利の獲得も進んでいないのに、逆風のタイミングだけは一緒なので、なんか割に合わないわって思いますよね。

ーーこんな日本ですが、どのように変化していってほしいというのはありますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:これはもう、難しいと思うんですけれども、“おじさん”が支配する構造がもうちょっと少なくなれば、いろいろなものが変わるんじゃないかなと思うんです。

あまりにも長きにわたって、いわゆるおじさんと形容されるような世代の人たちが、世の中の仕組みやルールを決めすぎてきたんじゃないかなと思います。国会議員の数もそうですし、上場企業の社長の数もそうですけれども、そこらへんの不均衡が変わってくれないかなと思うんですよね。

日本ももうそろそろ同性婚ができるかなと思っていたんです。去年あたり裁判がずっと進んでいたので。この世界の空気感の中で果たしてどうなるかは、注視しています。

ーードリアンさんは海外のドラァグクイーンの活動やコミュニティにも目を向けられているのでしょうか。

ドリアン・ロロブリジーダ:有名な方はSNSで見たりはしますけれども、海外のクイーンコミュニティと仲がいいわけではないので。仲良くしたいなとは思っています。

ーー今後、海外進出もあるのではないでしょうか。今英語を勉強されてるとお聞きしました。

ドリアン・ロロブリジーダ:私がどこまでできるかはわかりませんが、あったらおもしろいとは思います。ドラァグクイーンシーンに限らず、「世界はいつ私を見つけるんだろう?」と思っています。そのためにも英語を勉強するので「世界は早く見つけに来い!」って感じです。

ーーそのための準備中なんですね。

ドリアン・ロロブリジーダ:そうですね。Duolingo(語学アプリ)をやっています。笑

尊敬する人たちから受け継いだ“自由に生きる力”

ーー最近、心を動かされた出来事や、インスパイアされた人物がいれば教えてください。

ドリアン・ロロブリジーダ:心を動かされた人物はいっぱいいます。最近はありがたいことに、ゲイシーンだけではなく、お茶の間だったり、幅広いところに向けてステージをお届けする機会が増えてきました。そういった意味では、自分より先に世間と立ち向かってこられたこの村の先輩たちは、もれなく尊敬しています。

それこそ美輪明宏さんから始まり、カルーセル麻紀さんだったり、ピーターさんだったり。もちろんマツコ・デラックスさん、ミッツ・マングローブさん、ナジャ・グランディーバさん、ブルボンヌさんといった、ドラァグクイーンの先輩も含めて、この村の先輩の人たちのことはみんな尊敬しております。

ーードリアンさんに憧れていたり、ドリアンさんに影響を受けた方に、どういう部分を引き継いでほしいというのはありますか。

ドリアン・ロロブリジーダ:「好きなことをしな!」ってことだけですね。好きなことをしていると、先輩からだったり、違う業界からいろいろやいのやいの言われることはあるんですが、へこたれずに好きなことを続けていった方が楽しいぞって伝えたいです。

ーー最後に、ドリアンさんの存在に勇気づけられている方々に向けて、メッセージをお願いいたします。

ドリアン・ロロブリジーダ:これからも私は、好きなことを好きなように、お調子に乗りながら、たまにへこたれながら、続けて参ります。自由にご覧いただき、自由に感じ取っていただければ、それだけで私は御の字でございます。これからも引き続き、ドリアンを見守っていてくださいませ。

ドリアン・ロロブリジーダとインタビュアーの山咲こむぎ Photo: Ryo Tateoka
ドリアン・ロロブリジーダとインタビュアーの山咲こむぎ Photo: Ryo Tateoka

次回予告

LGBTQ企画第2弾では、ネットフリックスの人気恋愛リアリティー番組『ボーイフレンド』に出演し、今人気急上昇中の高橋アランへのインタビューを掲載予定。こちらもお楽しみに。

ドリアンと高橋アランのツーショット↓↓

高橋アランと、ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka
高橋アランと、ドリアン・ロロブリジーダ Photo: Ryo Tateoka

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