【インタビュー】伝説的小説『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』がついにドラマ化! 監督と脚本家に単独インタビュー! 「楽園のサバイバルではない。彼らは“元の社会”に取り憑かれている」
今回、ついにドラマ化された『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』(U-NEXTにて独占配信中)の、監督・製作総指揮を務めたマーク・ミュンデンと、脚本・製作総指揮を務めたジャック・ソーンに単独インタビューを実施した。
本作はノーベル文学賞受賞作家ウィリアム・ゴールディングによる同名小説を原作とし、BBC(英国)とStan(オーストラリア)が共同制作したサバイバル・サスペンス作品。熱帯の無⼈島に取り残されたイギリス⼈の少年たちは、⽂明を保とうと⾃治を試みるが、その秩序は次第に崩壊し、権⼒争いと本能の衝突の末、彼らの希望は悲劇へと転じていく。
今回、ハリウッド・リポーター・ジャパンは、第76回ベルリン国際映画祭に参加した、マーク・ミュンデンとジャック・ソーンにオンラインでインタビューを実施。ウィリアム・ゴールディングの名作『蠅の王』をテレビシリーズとして映像化するにあたり、彼らは何を重視し、いまこの物語を描く意味をどう捉えているのかたっぷりと語ってもらった。


『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』は「ドラマの形に押し込んだわけではない」
――歴史的かつ象徴的な原作『蠅の王』を映像化するにあたり、最もチャレンジングだった部分はどこでしたか?
ジャック:むずかしさはたしかにありましたが、それ以上によろこびの方が大きかったですね。今回の企画では、本をドラマ向けに無理に形を変えるという感覚はありませんでした。むしろ原作そのものが自然にドラマのフォーマットに落ちていった。
(原作者)ウィリアム・ゴールディングの原作のセリフは本当にすばらしく、実際に多くをそのまま使用しています。全体としてはとても創造的で、よろこびに満ちたプロセスでした。
強いて挙げるなら、第3話のサイモンのエピソードはむずかしかったかもしれません。あの回はセリフ主導ではなく、よりビジュアルで語る構成にしたので。ただ、それも含めて制作は終始よろこびに満ちていました。

原作へのプレッシャーと“いま”という時代
――今このタイミングで『蠅の王』を映像化しようと思った理由は何でしょうか。
ジャック:もちろんです。正直、制作中ずっと怖かった。この本は私の大好きな一冊で、何度も何度も読み返してきました。以前からドラマ向きだと思っていて、過去にも映像化を試みましたが実現しなかった。だから今回実現できたこと自体がよろこびでした。

――映画ではなくドラマシリーズにすることで、より深く描けたと感じる部分はありますか?
ジャック:この作品は、登場人物一人ひとりに“時間”と“空間”を与えるべき物語だと思っていました。今回の構成はリレー形式で、ピギー、ジャック、サイモン、ラルフ、それぞれの内面に深く入り込むことができた。それはドラマというスタイルに適していると感じました。
そして「なぜ今か」という問いについては、まずこの物語が時代を超えているという点があります。15年前でも5年前でも作っていたでしょう。ただ同時に、世界的にポピュリズムが台頭している現在という時代は、この物語と強く共鳴しているとも感じています。ゴールディングは極端主義の余波の中で執筆しましたが、いま私たちが直面している状況にも重なるものがある。
この物語は“自然状態の人間”を描いたものではありません。特定の社会で社会化された少年たちが、その価値観を島に持ち込む話です。彼らは親や社会を模倣している。その構図は、いまの世界にも見られるものだと思います。
【動画】ノーベル賞作家の傑作をBBCが映像化『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』|U-NEXTで独占配信中【予告編】
ジャックがプロデューサーを務めた大ヒットドラマ『アドレセンス』との違いと共通点
――ジャックさんは『アドレセンス』のプロデューサーとしても、若い少年たちや男性性の問題を描いてこられました。『アドレセンス』と本作の間に、テーマ的なつながりを感じていますか?
ジャック:共通点はありますが、大きな違いもあります。『アドレセンス』は13〜14歳の思春期の物語でしたが、今回は10〜12歳、思春期前の段階です。キャストにはさらに幼い子どももいました。『アドレセンス』では主人公はアイデンティティに苦しんでいましたが、今回はそれを“形成している”段階にあります。ラルフやジャックはまだ自分が何者か分かっていない。揺れ動いている存在です。男性性やその危機というテーマは通底していますが、今回はその前段階を描いています。
マーク:原作は、学校や親、社会の権威の影響下にある少年たちの物語です。彼らはその権威を受け継ぎ、模倣し、島へ持ち込む。そこが重要なポイントです。

“楽園”ではない島を求めて
――シリーズは非常に印象的なビジュアルを持っています。ルックやトーンはどのように設計しましたか?
マーク:まず、美しい熱帯雨林という環境がありました。生命に満ち、共存し、時に締め付け合う植物たち。まるで野生の社会のようです。それは大きなギフトでした。ただ私は、この物語が“楽園のサバイバル”に見えてしまうことを恐れていました。飛行機事故で無傷のまま島に到着する少年たちは、避難前の社会的背景も持ち込んでいる。彼らは元の社会に“取り憑かれている”とも言える。だからこそ、彼らの出身社会の緊張感や対立構造が、島のビジュアルにも滲むように意識しました。
ジャック:マークはロケーションに非常に厳格でした。単なる無人島ではなく、独自の個性と不穏さを持つ場所を探し続けました。最終的にマレーシアがその条件を満たしてくれました。
マーク:観光番組のように見えてはいけない。自然の美しさだけでなく、複雑さや侵食性も映像に取り込みたかったのです。


「人々が思っている以上に複雑。単なる寓話ではない」
――本ドラマを楽しみにしている日本の観客へメッセージをお願いします。
ジャック:この本は美しく、そして人々が思っている以上に複雑です。単なる寓話ではありません。少年たちの関係性を精緻に描いた作品です。いま私たちが生きているこの“ポピュリズムの時代”を考えるうえでも重要な物語だと思います。シリーズからその複雑さを感じ取り、ぜひ原作も読み返してほしい。きっと多くの示唆を与えてくれるはずです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』は、U-NEXTで独占配信中。
作品情報

『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』
【あらすじ】
熱帯の無⼈島に取り残されたイギリス⼈少年たちは、⽂明を保とうと⾃治を試みる。
しかし、その秩序は次第に崩壊し、権⼒争いと本能の衝突の末、彼らの希望は悲劇へと転じていく。
【配信開始⽇時】2026年2⽉20⽇(⾦)全4話⼀挙独占配信(字幕版・吹替版)
【視聴ページ】https://video.unext.jp/title/SID0275076
【配信形態】⾒放題
【スタッフ】
原作:ウィリアム・ゴールディング(『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』)
脚本・製作総指揮:ジャック・ソーン(『アドレセンス』『ナショナル・トレジャー』『ワンダー 君は太陽』)
監督・製作総指揮:マーク・ミュンデン(『シンパサイザー』『ナショナル・トレジャー』『キングダム・ソルジャーズ -砂漠の敵-』)
製作総指揮:ジョエル・ウィルソン、ジェイミー・キャンべル、ナウファル・ファイズラー、ケイラ・スコービー ほか
キャスティング・ディレクター:ニナ‧ゴールド(『ゲーム・オブ・スローンズ』)
⾳楽:クリストバル・タピア・デ・ヴィーア、ハンス・ジマー、カラ・タルヴェ
【キャスト/⽇本語吹替キャスト】
ラルフ役:ウィンストン・ソーヤーズ/沢城みゆき
ジャック役:ロックス・プラット/⽥村睦⼼
ピギー役:デヴィッド・マッケンナ/花澤⾹菜
サイモン役:アイク・タルボット/佐倉綾⾳
原作⼩説、過去の映画作品もU-NEXTにて配信中
・原作⼩説
『蠅の王〔新訳版〕』(早川書房):https://video.unext.jp/book/title/BSD0000178671
・映画版(1990年)
『蝿の王』:https://video.unext.jp/title/SID0030044
【関連記事】
- 『LORD OF THE FLIES / 蠅の王』U-NEXTにて独占配信開始―― 花澤香菜ら豪華声優陣インタビュー公開
- ハンガー・ゲーム に似た映画&ドラマ10選 ディストピア、命がけの戦い…イカゲーム ほか
- 『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』U-NEXTで独占配信開始!―― 杉田智和×釘宮理恵の吹替版も2月より登場
- 【U-NEXT】2026年1月のおすすめ配信作品 ―― レオナルド・ディカプリオ主演の話題作『ワン・バトル・アフター・アナザー』ほか
- 【2025年】U-NEXT人気作品ランキング発表!映画部門1位は『グランメゾン・パリ』―― 全9部門の結果でわかる、今年のヒット作
