竹野内豊『雪風 YUKIKAZE』完成イベントで力説「歴史の1ページで終わらせてはいけない映画」
俳優の竹野内豊が主演の映画『雪風 YUKIKAZE』の完成報告会見が9日、都内のスタジオで行われた。竹野内は共演の玉木宏、奥平大兼とともに登壇。「当時を生きた人々の心情を一緒に体感することで、より深く心の中に情景として残そうという思いでスタッフ、キャストが一丸となって作った。多くの方に広く届くことを願っています」と訴えた。
太平洋戦争で数多くの戦火を潜り抜け、海に投げ出された仲間たちを救いながら帰還した駆逐艦「雪風」に乗り込んだ人々の史実に基づく物語。約1万3000人の命を救い、戦後も復員輸送船として現役を続け「幸運鑑」と呼ばれた。
艦長役の竹野内は、「何よりも当時の人々の精神性の強さに心打たれるものがあった。現代を生きる中でも命の尊さを感じることはあるが、自国を守る艦長としての重責は容易に想像できるものではない」と力説。クランクイン前に自衛隊横須賀基地で現役の駆逐艦を取材し、「艦橋で模擬戦闘を拝見した。号令の口調やイントネーションは、今も受け継がれているということで大きな参考になったという。
その上で、「芝居をする中で皆が一致団結していく姿に支えられ、いつの間にか皆に艦長にしていただけた」と共演者に感謝。先任伍長役で初共演の玉木は、「物腰が柔らかく繊細な優しさがあった。きょうもここに来るまでの車で、風が皆に当たるよう(エアコンの)吹き出し口を一つ一つ皆に当たるよう調整してくれた。接しやすく穏やかに話せる先輩です」と“上官”を称えた。
水雷員役の奥平は、「台本を読んだら知らないことだらけで、戦争について勉強していたことはテストのために覚えているんだと思った。いろいろなことを知ることができ、若者の視点で若い人に届けばうれしいと思いながら挑んだ」と述懐。ナレーションも担当し、「未来の人につなげていこうという意識が持てたので、任せていただいてありがたかった」としみじみ話した。
この日は完成披露上映会もTOHOシネマズ日比谷で行われ、3人に加え、田中麗奈、藤本隆宏、三浦誠己、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、脚本の長谷川康夫氏、山田敏久監督が出席。竹野内は改めて、「戦争の資料や体験談で学ぶことはあったとしても、絶対に本当の恐ろしさを知ることはできない。決して歴史の1ページで終わらせてはいけない映画です」と力説した。
『雪風 YUKIKAZE』は、8月15日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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