細田守監督『果てしなきスカーレット』ヴェネツィア映画祭でお披露目「届いた感じ分かった」

『果てしなきスカーレット』第82回ヴェネツィア国際映画祭にて
左から岡田将生、芦田愛菜、細田守監督 ⓒKAZUKO WAKAYAMA
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細田守監督の最新アニメーション映画『果てしなきスカーレット』が4日、第82回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブコンペティション部門でワールドプレミアとして公式上映された。

メイン会場のサラ・グランデの1032席のチケットは、発売20分で完売する人気。細田監督が声優を務めた俳優の芦田愛菜岡田将生とともにレッドカーペットに登場すると、沿道からは大歓声が上がった。3人は取材に応じるだけでなく、ファンとの写真撮影、サインにも快く応じた。

上映ではストーリーが後半に進むにしたがって会場からはすすり泣く声も聞かれ、エンドロールが流れ始めると同時に割れんばかりの拍手が湧き起こった。スタンディングオベーションは実に10分以上。細田監督は芦田、岡田とがっちり握手を交わし、観客にも手を振って感謝の思いを示した。

世界初上映を終えた細田守監督は、「皆が届いた感じが凄く分かって、拍手をして伝えてくれたのが凄くすごくうれしかったです。」と安どの笑み。芦田も、「皆さんと一緒に同じ瞬間に見ることができて凄く楽しかったですし、拍手をしてくださった笑顔がうれしかったです」と感激。岡田も、「この空間が幸せすぎて、ダイレクトに見てくださった方々の思いが伝わってきた。一生忘れない時間になった」と声を弾ませた。

3人は上映前に記者会見に臨み、製作のきっかけを問われた細田監督は「復讐(ふくしゅう)劇の映画を作りたいと思いました。世界中の人が好きだと思ったので。もう一つの要素として、許しという部分を含めて今までにない映画を作ろうと思いました」と説明。そして、「今、この瞬間でも苦しい思いをしている子供が世界中にたくさんいると思います。そういう子供たちに、この世界に絶望しないでいてもらいたい。そういう子供たちを勇気づけるような世界になってほしいという願いを込めました」とアピールした。

細田守監督『果てしなきスカーレット』
ⓒ2025 スタジオ地図

王女スカーレット役の芦田は、役づくりについて「王女として生きる使命感、心構えをどう表現するか悩みました。中世の動乱の時代を生きたジャンヌダルクやエリザベス1世らの作品や映像を見て、イメージを膨らませていきました」と解説。現代からやって来た看護師の青年・聖役の岡田は「演劇でシェイクスピアをやったり、看護師の役を演じていたので、自分の体に染み込んでいる状態でした。スカーレットに対する気持ちや時間を大切にしようと演じました」と振り返った。

『果てしなきスカーレット』は、細田監督のオリジナル脚本。父である国王を殺した敵への復讐に失敗した王女スカーレットが死者の国で目覚め、現代からやって来た聖とともに再び使命を果たそうと立ち上がる冒険譚。11月21日に全国で公開される。

記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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