伊藤詩織監督『Black Box Diaries』待望の日本公開に万感「皆さんの前に立てることに感動」

/ /
(左から)エリック・ニアリ、伊藤詩織監督、ハナ・アクヴィリン、映画『Black Box Diaries』日本公開
(左から)エリック・ニアリ、伊藤詩織監督、ハナ・アクヴィリン 写真:The Hollywood Reporter Japan
スポンサーリンク

ジャーナリストの伊藤詩織氏が、自身が経験した性被害とその後の闘いを記録したドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』が12日、東京都内のT・ジョイPRINCE品川で公開された。伊藤氏は、プロデューサーのエリック・ニアリ、ハナ・アクヴィリンとともに初日舞台あいさつを行った。

伊藤氏は2015年4月、知人の男性ジャーナリストから性被害を受け被害届を提出。2017年に記者会見をして実名を公表し、刑事事件としては不起訴処分となったものの損害賠償請求の民事訴訟で勝訴するまでを自身の視点でつまびらかにした。

映画『Black Box Diaries』伊藤詩織監督
伊藤詩織監督 写真:The Hollywood Reporter Japan

2024年1月の米サンダンス映画祭でのワールドプレミア後、世界各国の映画祭で上映され高い評価を受けた。2025年3月のアカデミー賞では、日本人として初めて長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。

舞台挨拶に登壇後、「とても緊張しています」と大きく深呼吸。待望の日本公開に「私はこの映画を日本へのラブレターだと思っている。私一人の力ではなく、チームを信じて乗り越えられた。見ていただいた皆さんの前に立てることに感動しています」と万感の表情を浮かべた。

製作については、「向き合いたくないものに向き合わなければいけない葛藤の嵐だったが、できるだけジャーナリストとしての視点をゼロにして少しずつ距離ができたことでトラウマから逃げられた」と説明。さらに、「編集は全く違う世界で、450時間の映像に立ち向かいながら自分とバシバシ闘い築き上げていった。自分の中でいい意味で整理ができ、自分自身を語る尊さをもっと届けたい」と意欲を新たにした。

映画『Black Box Diaries』伊藤詩織監督
伊藤詩織監督 写真:The Hollywood Reporter Japan

日本での公開に当たり、防犯カメラの映像や会話などが許可なく使用されているとの指摘を受け、自身のホームページで謝罪した上で修正。「製作のプロセスにおいて、さまざまな意見があり反省するところもあった。上映できるのかという恐怖もありましたが、事実でないものは正していかなければいけない」と自ら言い聞かせるように話した。

観客には、ブラックボックスになる展開図のカードを配布。「私が経験したことを自分に当てはめて、その時にどう動くのかを想像してほしい。身の回りに話せない苦しいことを少しずつオープンにしていけることを願っています」と訴えた。

取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿