『花緑青が明ける日に』レビュー│ベルリン国際映画祭で注目された監督・四宮義俊が描く幻想的アニメ
新海誠監督や片渕須直監督作品への参加経験を持つ日本画家・四宮義俊の長編監督デビュー作『花緑青が明ける日に』が3月6日(金)に公開された。
本作は第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、注目を浴びた。長編デビュー作が同部門に選出されたのは、日本アニメーション映画として初の快挙だ。
本記事では、米『ハリウッド・リポーター』による『花緑青が明ける日に』のレビューを紹介する。
実力派アーティスト・四宮義俊監督が描く物語『花緑青が明ける日に』レビュー
四宮義俊監督は日本画家から監督・アニメーターへと転身し、本作では原作・脚本も手がけている。新海誠監督の大ヒットアニメーション映画『君の名は。』(2016年)では特徴的な回想シーンを監修し、その名が知れ渡った。

そして監督デビュー作『花緑青が明ける日に』では、絵画的な背景や美しい手描きのキャラクター、躍動感あふれるクレイアニメーションを巧みに融合させ、独特の映像世界を構築している。
映画は、奔放な性格の帯刀(おびなた)敬太郎(声:萩原利久)とその兄・千太郎(声:入野自由)が、父親の榮太郎(声:岡部たかし)とともに暮らす場面から始まる。帯刀家は何代にもわたり、花火作りを家業としている。
本作は、敬太郎と千太郎、そして東京から帰ってきたカオル(声:古川琴音)という幼馴染の3人を軸に展開される。故郷の花火工場が町の再開発により立ち退きを迫られる中、3人は力を合わせて立ち向かっていく。蒸発した父親に代わり、3人は幻の花火「シュハリ」を完成させ、打ち上げる計画を立てるのだが……。
花火と記憶が交差する、幻想的アニメーション体験
本作のストーリー自体は実にシンプルで、ほぼ時系列に沿って進んでいく。しかし、随所に回想シーンを挿入することで、要点を提示しつつ、物語に深みを与えている。
『君の名は。』の回想シーンのような美しい演出は、本作でも存分に活かされている。特に、四宮の得意とする「水面の動きときらめき」は、夜空に映し出される花火の模様と共鳴し、クライマックスを盛り上げている。
幻の花火「シュハリ」は帯刀家にとって特別なものであり、花火の伝承にも深く根ざした重要な意味を持つ。そして、伝統的な手描きとCGI技術を組み合わせた多彩なアニメーションによって、実に幻想的な風景が描かれる。この風景は一見の価値ありだ。あまり深く考えずに素直に味わえば、きっと感嘆の声が漏れるだろう。
『花緑青が明ける日に』総評――日本アニメの神秘的世界観が再び開花
過去の日本アニメーション映画と比較してみよう。『AKIRA』(1988年)では、超能力に目覚めた少年が荒廃した都市を舞台に戦いを繰り広げる。ジブリ映画『千と千尋の神隠し』(2001年)では、少女が異世界の湯屋に少女が迷い込む。
『花緑青が明ける日に』は美しくもやや難解だが、日本アニメが秘めるこうした可能性を再び開花させるかもしれない。
『千と千尋の神隠し』が第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最優秀作品賞)を受賞したことで、日本アニメは実写映画と同等の地位に押し上げられた。同映画祭のコンペティション部門に出品された『花緑青が明ける日に』は今後、国際的な展開が見込まれる。

四宮監督の映像表現は、独創性のある見事なものだ。一方で脚本の観点では、『君の名は。』や『千と千尋の神隠し』、その他すべてのスタジオジブリ作品のような日本最高峰のアニメ作品と比べると、やや厚みに欠ける。ニッチなアニメファン層を超えて幅広い観客に映画を届けるためには、感情に訴えかける厚みが必要だ。
それでも、蓮沼執太によるEDM調のサウンドトラックと、トリップ感あふれる幻想的な映像表現によって、心地よく宙を漂うような映画体験を味わうことができる。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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