ラグジュアリーブランドによる現代カルチャー見本市「PRADA MODE TOKYO」開催、文化施設で実験的な2日間

渋谷慶一郎による『ガーデン・オブ・アンドロイド』©︎PRADA

プラダによる文化企画「PRADA MODE TOKYO」が5月12日から13日に渡り、東京都庭園美術館で開催された。

「PRADA MODE」は、アートや音楽、食、エンタテインメントの垣根を超えたコンテンポラリーカルチャーをテーマにした世界巡回型イベント。アーティストのカールステン・ホーラーが手がけた「Prada Double Club」(2008、2009年・ロンドン/2017年・マイアミ)を起点に、これまでもマイアミや香港、ロンドン、パリ、上海、モスクワ、ロサンゼルス、ドバイなど世界各国で開催されている。

第9弾となる都によるユニークベニュー(歴史的建造物、文化施設や公的空間など)の実験的活用の一環で行われ、キュレーションは東京都庭園美術館長であり建築家の妹島和世が担当。

メインの仮設パビリオンと日陰を作る複数のパビリオンのなかで、アートインスタレーションやレクチャー、トークセッション、ワークショップ、ライブ演奏、DJなどのプログラムが準備され、建築や音楽、アート、ファッション、文学などのカルチャーが横断する。また日本式の弁当を始めとしたフードやドリンクのサービスもあり、さながら野外フェスのような2日間だった。

この日訪れたセレブはジェヒョン(NCT)や永野芽郁、坂口健太郎、江口洋介、黒木華、吉岡里帆、松岡茉優、江口洋介、川上洋平([Alexandros])、町田啓太、中村獅童、トリンドル玲奈、コムドットら。

トークセッションの座組は西沢立衛×石上純也、杉本博司×千宗屋、妹島和世×長谷川祐子、渋谷慶一郎×朝吹真理子。音楽パフォーマンスとしては渋谷慶一郎、トモコ・ソヴァージュ、ジジ・マシン、ハニャ・ラニ、デボン・ターンブル、ニック・ラスカム、クレイグ・リチャーズ、e/tape、イヴァン・スマッジ、CHIDA、ロメオ・ポワリエ、ジム・オルーク&石橋英子、Open Reel Ensemble、大塚広子、西川顕、U-zhaanが出演した。

そのなかでも2度の演奏と1時間強に渡るトークセッションへの参加で最多登場したのが、6月にフランスのパリ・シャトレ座でアンドロイド・オペラ『MIRROR』の上演を控えている渋谷慶一郎だ。1日目はシンセサイザーを用いたアンビエントな音像を日本庭園に響かせ、2日目は『ガーデン・オブ・アンドロイド』と題し、Chat GPTが出力した歌詞とアンドロイド・オルタ4の抽象的な質感の歌唱とともに即興演奏を展開。

圧倒された様子の観客もいるなかで演奏を終えた渋谷は「(演奏アーカイブを)20年後に観たら『当時、人類はロボットとAIに対してこういう反応をしていた』という記録になったと思う」と話す。続く「都市と音楽」をテーマにした小説家・朝吹真理子とのトークセッションも、都市のサウンドスケープや日本とフランスの文化的相違など多岐に渡るトピックで聴きごたえがあった。

先日、ルイ・ヴィトンのベルナール・アルノー会長がイーロン・マスクを抜いて世界最高の富豪になったと報じられたが、こうしたラグジュアリーブランド主導する文化企画はますます増えそうだ。そんな未来への日本における第一歩が今回の「PRADA MODE TOKYO」であったともいえるだろう。

(取材・文:小池直也/写真:©︎PRADA)

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