柚木麻子さんの“最も危険な小説”『私にふさわしいホテル』堤幸彦監督、のん主演で映画化

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2015年「ナイルパーチの女子会」で山本周五郎賞を受賞した作家・柚木麻子さんの小説「私にふさわしいホテル」が堤幸彦監督、俳優・アーティストののん主演で映画化され、今年12月に公開されることが分かった。

これまで「嘆きの美女」が2013年、ランチのアッコちゃん」が15年にNHK・BSプレミアムでドラマ化されるなど、話題作を生み出してきた柚木さん。その中でも「いちばん危険な作品」と評されるのが「私にふさわしいホテル」だ。

舞台は文壇界。新人賞受賞作が大御所作家の東十条宗典に酷評され、小説を発表する場を得られなかった新人作家の加代子が、復讐のためさまざまな妨害工作を講じる。2人の対決は徐々にエスカレートしていき、周囲も巻き込んで予想外の方向に展開していく。

撮影は、川端康成や三島由紀夫らが定宿として「文化人のホテル」と呼ばれ、今年2月に閉館した東京・千代田区の山の上ホテルでも行われ、作品は既に完成。堤監督は、「原作が面白すぎるので、役者やスタッフと映画ならではの面白ポイントを探りながら、リアル山の上ホテルのロケも頑張りながらわいわいとやっていたら、なんとも面白カワイイ、ちょっと切ない映画ができてしまった。しかしこれは、のんさんの力によるところも大きい」と手応えをつかんでいる。

加代子役に指名されたのんも、「堤監督はカリスマ的存在で、かねて出てみたい、堤作品の中に入りたいと願っていたので夢のひとつがかなった感銘がありました」という念願の初タッグ。「加代子は今まで演じてこなかった役柄で、無理やりにでも自分の道をこじ開けて進むところは共感を覚えました。この荒唐無稽で強引、そう快な物語はたくさんの人の元気と勇気を引っ張り上げる光になると思います」と新境地への自信のほどを語った。

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柚木さんは作品を観賞し、「のんさんの不敵なたたずまい、そして山の上ホテル。デビューしたばかりの頃の自分を重ねて何度も泣きそうになりましたが、書店員さんの機嫌を必死にとる場面では本当に涙がこぼれました」と感動。そして、「華やかでちょっと苦くて、とびきり面白い文壇ピカレスクコメディになっています」と太鼓判を押している。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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