国内初の新型コロナのクラスターと戦った医師たち描く『フロントライン』小栗旬主演で映画化

映画『フロントライン』ティザービジュアル 写真: ⓒ2025「フロントライン」製作委員会
映画『フロントライン』ティザービジュアル 写真: ⓒ2025「フロントライン」製作委員会
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日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が確認された豪華客席ダイヤモンド・プリンセス号の船内で対応、治療に当たった医師たちを描く映画『フロントライン』が製作され、俳優の小栗旬が主演することが分かった。劇映画としてコロナを真正面から描く初の作品になりそうだ。

ダイヤモンド・プリンセス号は2020年2月3日、世界56カ国の乗客・乗員3711人を乗せ横浜港に入港。1月25日に香港で下船した男性客1人に新型コロナの感染が確認され、入港時も100人を超える乗客が同様の症状を訴えていた。

出動要請を受けて船内に乗り込んだのは、災害派遣医療チーム「DMAT」。災害医療を専門とする精鋭たちだが、当時は未知だったウイルスと最前線で闘い、政府の方針による葛藤もありながら全員の下船が完了した2月21日までが描かれる。

映画『フロントライン』ティザービジュアル 写真: ⓒ2025「フロントライン」製作委員会
映画『フロントライン』ティザービジュアル 写真: ⓒ2025「フロントライン」製作委員会

小栗は、DMATの指揮を執る医師・結城英晴役。フジテレビのドラマ「救命病棟24時」、「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」などを手掛けた増本淳プロデューサーが、実際に乗船した医師の話に基づいてオリジナルで執筆した脚本を読み、「当時自分が知らなかった、戦った人たちがいるという物語に非常に引き込まれ、映画として作るべきだと感じた」と出演を決意した。

メガホンを執った関根光才監督は、「稀有で、挑戦的で、私たち皆が共有すべき作品になると思いました。そして、この作品に参加できるなら、それはフィルムメイカーとしての重要な責務だと感じた」という。映画は既に完成しており、「もし次にパンデミックが起きた時、私たちは一体どうするか。知られざる物語からひも解ける何かがきっとあると思う」と期待を込めた。

小栗も、「忘れてはいけない大きな出来事だと思うし、それを映画として届けるということは僕たちにとっても挑戦だった」と述懐。「凄く力のある映画。どのエピソードも実話をベースにしたものなので、とてもドラマティックでした。全員が主役になっており、参加できたことを誇りに思います」と自信のほどを語った。

小栗とともに対策本部を統括する厚生労働省の官僚役で松坂桃李、DMATのメンバーで池松壮亮、窪塚洋介が共演。松坂は、「映像化して形に残すということに参加する意義がある。見た方の中に記憶として残り、この映画を心の中で持ち続けられる作品になってほしい」と語る。池松も、「製作に携わった全員の努力と献身に、そしてあの時この世界を支えてくれた全ての医療従事者の方々の勇気と献身に心から敬意を表したい」と話した。

窪塚は、小栗から直接オファーを受け「旬が声をかけてくれて、新型コロナの話なのでちょっと警戒したんだけれど、台本に感銘を受けてぜひやりたいと思った」と明かした。小栗は、「もともとリスペクトのある俳優さんばかりなので、こんな幸せな場所はなかった」と満足げに振り返った。

『フロントライン』は、来年6月に全国で公開される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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