天野千尋監督5年ぶり新作『佐藤さんと佐藤さん』、岸井ゆきの&宮沢氷魚主演で今秋公開
2020年のデビュー作『ミセス・ノイズィ』で注目された天野千尋監督の5年ぶりの新作で、俳優の岸井ゆきの、宮沢氷魚が主演する『佐藤さんと佐藤さん』が今秋に公開される。4月10日に開幕する第49回香港国際映画祭で若年層に向けた作品を特集するFantastic Beats部門への出品も決まった。
アウトドア派ダンス好きの佐藤サチと、インドア派で弁護士を目指す佐藤タモツがひかれ合い同棲を始める。サチの妊娠を機に結婚するが、タモツを助けるために一緒に勉強していたサチが司法試験に合格。タモツは主夫として家事、育児に奔走するようになったことで徐々に2人の関係性に変化が生じていく15年間を描く、天野監督と熊谷まどか氏との共同脚本によるオリジナルストーリーだ。
- 『佐藤さんと佐藤さん』出演の俳優・宮沢氷魚 ⓒ2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
- 『佐藤さんと佐藤さん』出演の俳優・岸井ゆきの ⓒ2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
天野監督は、夫婦をテーマにした理由を「立場が違うと眺める世界もちょっとずつズレてくる。そのうち相手の目にいったい何が映っているのか分からなくなる。理解できないと怒ったり、憎んだり、切り捨てたりする。これは社会の中で生きる私たち誰もが経験すること。他者をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを私たちはずっと考え続けなければならない」と説明。熊谷氏とのタッグについては、「オリジナルの醍醐味は、果てしなく広がる自由な世界の創造主になれることですが、それはこの上なく孤独で苦しい道のりでもあります。だからこそ共に歩んでくれた熊谷さんの存在が大きな力になった」と感謝した。
サチ役の岸井は、「私には夫婦の普通が分からないけれど、家族というのは普遍的でそれぞれがあまりにも特別なのだと思う。佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくてうれしい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように」と期待。天野監督は、「岸井さんは芯がある人、という表現ではもの足りない、芯そのものという感じ。ひとつもウソのない誠実でまっすぐな芝居を見せてくれました」と絶賛した。
タモツ役の宮沢も、「初めて脚本を拝読した時から2人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ちあふれていて引き込まれました。天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので共に作り上げた感覚がとても強いです」と満足げに撮影を述懐。天野監督は、「慈しみあふれる人で、佐藤タモツという人物に愛情を注ぎ大事に大事に育ててくれた」とこちらも賛辞を惜しまず、自信のほどをうかがわせている。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
【関連記事】
- 第48回日本アカデミー賞、最優秀作品賞は『侍タイムスリッパー』
- 【実態調査】ミラブルシャワーヘッドの口コミ徹底分析|悪い評判の理由とは?
- 香港アジア映画投資フォーラム:是枝裕和、スタンリー・クワンがプロジェクトを支援
- 【吸血鬼映画10選】血と闇の美学…80年代のカルト的名作、マーベル原作『ブレイド』ほか
- A24のおすすめ最新映画5選【2025年公開】ニコール・キッドマン主演『ベイビーガール』ほか