映画史の伝説『バック・トゥ・ザ・フューチャー』使用ギターを世界規模で捜索 ギブソンが情報提供呼びかけ

映画史に残る名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、マイケル・J・フォックス演じる主役マーティ・マクフライが「魅惑の深海パーティー」シーンで演奏した伝説のギターが40年間行方不明となっているそうだ。
劇中のタイムマシン・デロリアンやフラックス・キャパシター無しに無事発見されることを願う。
ギター製造大手のギブソン社は、マイケル・J・フォックスが映画で手にした、あの象徴的なチェリーレッドの”ES-345”ギターの捜索を開始することを発表した。同社は2025年6月3日、このギターの所在に関する情報を持つ人々に向けて協力を呼びかけるメッセージを公開している。
キャスト陣も捜索に協力、ドキュメンタリー制作も決定
ギブソン社が公開した動画には、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主演俳優であるマイケル・J・フォックス、ロレイン役のリー・トンプソン、ドク役のクリストファー・ロイドに加え、作品にカメオ出演し「パワー・オブ・ラヴ」を提供したことで有名なミュージシャン、ヒューイ・ルイスも登場し、世界中の人々に情報提供を呼びかけている。
「皆さんの協力が必要だ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で僕が演奏したギターを探している」とフォックスは動画で語った。「あのギターはどこか別次元で迷子になっているか、もしかするとトラック運転手のガレージにあるかもしれない」
この捜索活動と、再発見された際には、ギブソン社が制作予定のドキュメンタリー『Lost to the Future』で取り上げられる予定である。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』40周年記念プロジェクト
同社は今年、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の40周年に合わせてこの捜索とドキュメンタリー制作を開始した。ギブソン社は10月21日(「バック・トゥ・ザ・フューチャーの日」)にマイケル・J・フォックスのインタビューを公開し、捜索対象のオリジナル・ギブソンをモデルにしたカスタムギターも発売する予定である。
「我々は長い間、手がかりや噂を追って捜索してきたが、40年前のことなので人々の記憶も薄れている」と『Lost to the Future』のドク・クロッツァー監督は米『ハリウッド・リポーター』に語った。「当時はデジタル記録やレシートなどがある時代ではなかった。つじつまの合わない報告もある。人の数だけ異なる噂があるようだ」
ギターの軌跡と消失の謎
実際、このギターに何が起こったかについては複数の説が存在する。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』チームは最初の映画撮影時、ロサンゼルスの有名なギター店「ノーマンズ・レア・ギターズ」からこの楽器をレンタルした。撮影終了後にギターは返却されたが、クロッツァー監督とギブソン社のマーク・アニェシ氏によると、そこで手がかりが途切れているという。
クロッツァー監督は約10年前、アニェシ氏がまだギター店「ノーマンズ・レア・ギターズ」で働いていた頃にこのギターについて初めて尋ね、そして数年前に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の共同制作者ボブ・ゲイルと話した後、ギブソン社にいるアニェシ氏に再び本件に関して問い合わせたという。
様々な憶測と手がかり
アニェシ氏とクロッツァー監督は、1980年代にオークションに出品予定だったが実際には売りに出されなかったという噂など、いくつかの説を挙げている。
可能性の高いシナリオとして、誰かが単純に「ノーマンズ・レア・ギターズ」から購入し、その売買記録が失われてしまったということが考えられる。「ノーマンズ・レア・ギターズ」のオーナーであるノーマン・ハリス氏は過去のインタビューで、友人に売却し、その友人が最終的にある女性に売ったと示唆している。その女性は数年後に再び店を訪れ、100万ドル(約1億5000万円)での買い戻しを提案したという。しかしハリス氏は過去に、日本の誰かに売ったとも示唆していた。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』使用ギターの特徴
ギブソン社とドキュメンタリーチームは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の撮影で使われたこのギターのシリアル番号は控えていないが、幸いにもこのギターには際立った特徴がある。
通常、”ES-345モデル”はフレットボード全体にスプリット・パラレログラム・インレイが入っているが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のギターは12フレット目に単一のソリッドバー・マーカーが入っている。これは非常に稀なデザインで、特定するのに役立つようだ。
「それが決定的な証拠であり、12フレット目のインレイが、あの時のギターだと教えてくれる」とアニェシ氏は語る。
世界規模の捜索活動
捜索チームは、たとえ国外まで捜索範囲を広げることになっても、捜索は必ず成功すると確信しているようだ。
アニェシ氏は1980年代に日本でヴィンテージギターブームが起こったことから、ギターの所在について「日本説」を語っている。ギブソンの日本、中国、ヨーロッパの国際チームも情報拡散に協力するという。
発見後の展望
実際に見つけた場合の対応についてはまだ決まっていないが、クロッツァー監督は「このギターをマイケル・J・フォックスと再会させるというアイデアは感動的だ。それが1時間であれ、永遠であれ。このギターの持ち主が熱心な映画ファンであり、それを実現させてくれることを願っている。多くの可能なシナリオがある。そもそも持ち主は発見されることを望んでいるのか?そしてギターを貸してくれるのだろうか?」と語った。
アニェシ氏は、ギターを「できるだけ多くの人が見る機会を得られる場所」に展示したいと述べている。
映画史に残る名シーン
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のダンスシーンは映画史上最も記憶に残るギターシーンの一つである。
主人公マーティ・マクフライがロック界の伝説と呼ばれるチャック・ベリーの名曲「ジョニー・B. グッド」を演奏し、ヴァン・ヘイレン風のギターソロで観客を困惑させるシーンだ。
シンガーソングライターでギタリストのジョン・メイヤーや、コールドプレイのクリス・マーティンを含む多くのアーティストが、この映画のギタープレイシーンが音楽の道を目指すきっかけになったと語っている。
ギターの価値と重要性
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で使用されたギブソンのギターは1960年または1961年の”ES-345”と考えられているが、映画の大部分が1955年に設定されているのに対し、”345モデル”はその3年後まで発売されなかったため、歴史的には不正確である。
1960年代初期の”345モデル”は単体でも、ヴィンテージ・ギブソンの人気の高さから2万5000ドル(約375万円)から5万ドル(約750万円)の価値があるが、映画史上最も象徴的なギターの一つとしての付加価値により、計り知れない価値がある。
情報提供の呼びかけ
現在、ギブソン社は専用ウェブサイトと電話回線を設置し、このギターに関する情報提供を求めている。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の共同制作者ボブ・ゲイルが言うように、まずはギターを見つけることが最優先である。
「現時点では、ギターが良い手に渡り、大切に扱われていることを知りたいだけだ。それ以外のことはその後で考えればいい。まずはこの謎を解明しよう」とゲイルは語る。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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